見出し画像

RSGT2025に参加してきました!

DAY0も含めて1/7~1/10までRSGT2025に参加してきましたので、感想を記載します。
 RSGTは、終わった後に、『胸に残る残り火のような感覚がある』事がとても良い所だと思っていて、こういった感覚に向き合っていたら、つらつらとまとまりのない長文になってしまいましたがご容赦下さい。



集中して参加できたか?

 今回は、社内業務や次年度準備などが重なったため、集中しきれない状態での参加となりました。
 そのため、自分自身が完全には入り込めず、自分の感覚として、他の参加者や運営の方に申し訳ない気持ちを抱いてしまいました。
 RSGTでは「もっと集中して楽しむべき」と思っていた中で、「さていさん」の昨年のブログ記事に書かれていた次の言葉を思い出しました。

『自分の心の声に耳を傾けながら、「〜べき」の比率を少し下げた真の意志決定をする』

下記ブログ記事より記載


 RSGTの熱量は本当に素晴らしく、そのエネルギーに触れると「楽しむべきだ」と思わされがちです。そのことは大事だと思いますが、自分自身として、その熱量を感じる中で、かえって自分の「心の声」をもっと聴くことができたのは、良い経験だと思いました。
 集中しきれなかったことへの若干の後悔はあるものの、自分にできる範囲でその熱に流されつつ、ゆるく楽しむ姿勢で4日間を過ごせたのは良かったと思っています。

会社のメンバーとの参加

 今年も会社のチームメンバーと一緒に参加しました。オンサイトには8人が参加し、オンラインでは約7枚のチケットを購入して、バーチャルオフィスに15名程度集まって参加しました。仲間と一緒にセッションを視聴し、MIROでコメントを書いて共有するといった形で運営しました。
 メンバーそれぞれが自分のスタンスに合わせて参加できた点は良かったと思っています。翌週には全員で振り返りを行い、どのような成果や学びがあったのかを別途、報告したいと考えています。

何かしらの変化が生まれるといいなー。

参加したセッションについて

 個別セッションの報告は動画見てから、また、改めてしたいと思いますが、ざっくり参加したセッションのコメントです。

ジェームズ・ショアさんのDAY1基調講演

 「最高のエンジニア組織とは?」というテーマで、「人材」「内部品質」「愛され力」「可視性」「アジリティ」「収益性」の6点について説明がありました。それぞれが1つの講演に値するほど充実した内容で、盛りだくさんの贅沢な講演でした。
 特に「人材」についての話が印象的で、キャリアラダーを通じて各キャリア段階における「良いふるまい」を見える化し、それによって文化を形成するという点に強く共感しました。こういったキャリアラダーに関して、スキル定義が重視されるイメージを持ってましたが、むしろ「ふるまい」や「文化」に着目してキャリアラダーを整理しているように感じました。また、その「ふるまい」を固定化せず、柔軟に変化させていくという考え方がとても素敵だと思いました。自分の組織でも試してみたいです。

当然のことですが、最終的に収益性を確保しなければ良い組織は存続できないという指摘には、改めて重みを感じました。


アジャイル成熟度評価の陰と陽〜組織やチームがアジャイルかを評価する前に考えたいこと〜

 aki.mさんの講演を見ました。アジャイルコーチとして活動する中で、アジャイルプロセスや運営について評価を依頼されるケースを例に挙げ、問題点を詳しく紹介していました。
 どの例も「あるある」と共感できる内容ばかりで、問題については関連文献とともに整理されており、今後の参考資料として非常に役立つ形にまとめられていたのが印象的でした。
 特に「評価を学習のために活用する」という視点は、自分自身ももっと深く考え、実践してみたいと感じました。まずはColumunityを使ってチームでディスカッションを始めてみようと思います。 

"Badass" アジャイルコーチへの成長ガイド

 「Badass」というアジャイルコーチの成長に関する本を翻訳されている方々による登壇でした。今年中、もしくは来年には出版されるとのことで、とても楽しみにしています。
 コーチングについては、自分自身まだ苦手意識があり、もやもやした感覚を抱いています。そのため、もっと学びを深めたいと感じました。以前、和田さんが紹介してくれた「Agile Coaching Growth Wheel」などを参考に、コーチングを要素に分解し、言語化できるようになれば、自分の中のもやもやも少しは解消されるのではないかと思いながら話を聞いていました。
 おそらく、自分はコーチングに関する複数の視点を言語化し、認識する力がまだ弱いのだと感じています。これを改善していきたいと思います。

[ナイトセッション] これが私の生きる道 - 組織の中で自分らしさを貫くアジャイル実践者たちの物語

 藤村さん、ちんもさん、piyoさんのセッションでした。ユーザー系SIerとして働いている自分にとって、ちんもさんの働き方は非常に参考になります。
 また藤村さん、piyoさんといった三者三様の中で聴くと違いも際立って、余計に面白かったです。
 「色んな所に首を突っ込む」「実際に現場でやってみる」という事が個人的には改めての決意となりました

フレームワークを生み出すメタフレームワークという考え方 -適応型から生成型へ-

 kyonさんの発表でした。生演奏見たかったのですが、オンラインからの視聴となりました。
 難しくて分からない所も多かったですが、『部分をまとめても全体にならない。最初から部分の中に全体を見据える形でメタフレームワークとして考える。Why/What/Howのベン図のセミラティス構造で当てはめる』という内容についてアレグザンダーや、過去kyonさんたちのチームでやってきたとことからの繋がりや差異も踏まえて説明してくれました。
 今回のRSGTは夜の飲み会でも、『部分だけでは全体性は語れないけど、最初から全体性をもってセンターを置くことは難しく、どうセミラティス構造を作っていくのか?』みたいな話を何回かしたので、改めて、ヒントになる講演だった気がします。 

ジェフ・パットンさんの基調講演

 説明しながらその場で1枚絵を完成させるプレゼンスタイルは圧巻でした。見ていて「探検発見ぼくの町」のチョーさんを思い出しました。チョーさんは早回しでしたが、ジェフさんはリアルタイムですごいスピードで書いていて、すさまじいプレゼンテーションでした。
主な内容として、以下のポイントが挙げられます

・ウェイターの思考ではなく、医者の思考(顧客の真の問題課題を理解する)が大事
・ユーザー(使う人)とチューザー(プロダクトを選んで購入する人)は違う(ケースがある)。その際は、チューザーにユーザーが得る価値を可視化して伝えていくことが大事
・ビジネスのインパクトは遅行指標、先行指標としてAARRR(海賊指標)のファネルを使う。(獲得(acquisition)、アクティベーション(activation)、保持(retention)、紹介(referral)、収益(revenue))
・全ての機能に対してのROIへの寄与は計算しきれない。何の指標に集中するかを決めないといけない

新人マネージャーサバイバルガイド - 使いやすい便利なマネージャーになろう

KIROさんの講演でした。以下のポイントが特に印象に残りました。

  • 機嫌よく、邪魔せず、うろうろしていつでも声をかけられる状態を保つ
    これは頭では分かっていても実践できていない部分が多いので、改めて意識して取り組もうと思いました。

  • メンバーが「使いやすい」マネージャーであることが重要
    この点については、メンバーから直接フィードバックを得られる仕組みを作り、より自身が成長できるよう整理したいと思いました。


大企業をボトムからアジャイルにする~大きな企業で「アジャイルな組織づくり」はじめましたー~

 やすさんの発表でした。三菱重工において、1000人規模でアジャイルな組織づくりを始めた事例です。
 やすさんからは以前、「私の資料を参考にしながら進めています」と声をかけていただいていたこともあり、このセッションを楽しみにしていました。非常にスケールの大きな取り組みを、淡々と優しく語られており、実務者でありリーダーでもあるその姿勢に、本当に尊敬の念を抱きました。
 JTC文化あるある(日本の伝統的な大企業文化)についても共感する部分が多く、実際には多くの困難があったと思いますが、それを感じさせない前向きなトーンがとても印象的でした。
 また、今回のRSGTでは、やすさんの会社の方ともお話しする機会がありました。皆さんが非常に前向きで、素晴らしい組織であることが伝わってきました。どのようにチームを作り上げていったのか、また飲み会などでお話ししたいと思います。

Dynamic Reteaming: リチーミングのパターンとフォースを体験しよう!

 ダイナミックリチーミングに関するワークショップに参加しました。リチーミングについてチームで考えながら、実際にワークの最中にリチーミングを行い、その時の受け入れられる側、受け入れられる側の行動や感情について考えるというワークショップでした。
 メンバーが移動する際の心の動きや、受け入れる側の心理的変化を認知できたのは、とても貴重な経験でした。ファシリテーターの方の問い掛けのおかげで気付けた内容もあったので、とても良かったです。
 マネージャーとして、普段からメンバー異動についてはよく考えていますが、こうした感情の変化をチーム全体で共有しながら進めることで、よりスピーディーに成果を出せる組織になると感じました。ぜひ自分の組織でも、このワークをどこかで実施してみたいと思います。(下記はワークの参考にした本とのことです)


本間さんのクロージングキーノート

 スクラムの源流の論文「The New New Product Development Game」で紹介されているHONDAさんのシティを作ったケースについて、当時の若手がイノベーションを起こしていった物語を紹介いただきました。非常に胸アツの事例でした。
 本間さんご自身は現在は児童福祉に携わっているという話でその話もアツかったのですが、その中でも抵抗勢力(お局さん?)に悩むといった現在進行中の話も聞け、「いつの時代でもこうした悩みは共通なんだな」とリアルに感じました。
 ただし、結局は「そういった分からない人にも伝わるくらいドキドキわくわくする発想を伝えるという事が大事」という話がありました。
 難しいですが、非常に勇気をもらえましたし、しっかり伝えることが出来るようになるために、自分自身のケイパビリティを高めていきたいと思いました。このノリに「巻き込む」戦略については最近意識しており、少しずつ自分のケイパビリティもレベルアップしていると感じています。今後も引き続き形にしていきたいです。

その他ギャザリング

 3日間色々な方とお話しすることが出来ました。話せなかった方も何人もいますが、引き続き、ちょこちょこスクフェス等のイベントには参加するので、またワイワイできると嬉しいです。

 一番思い出に残った内容を記載すると、「公立小学校でのチャレンジ」について登壇いただいていた磯西さんと「"Badass"」に登壇された吉田さんと教育と制約理論(+アジャイル)についてお話しできたことです。
 これはとても刺さり、飲み屋で泣きそうになりました。磯西さんの発表自体は見れていなので、動画が出たら真っ先に見たいと思います。

・小学生も大人同様に考える力はある。ただ言語化する力だったり関係を整理する力は経験が少ないので、一定フレームワークを提示するとものすごくクリエイティブに考えられる。
・むしろ大人は答えを求めてしまい、自分で考えるという事が馬出来ないケースが多い (この辺は東南アジアの方は大人でもクリエイティブな方が多いので、日本の文化で悪い学習をしてしまっている)
・小学校6年生が、運動会のダンス/組体操の出し物について自分たちで考えたいと言ったので、自分たちで考えさせた。
 前日ギリギリまで考えたり、当日も自信を無くしたりするが、大人がアチーブしながら責任はとるという姿勢を示しながらやらせ切った。(その小学校では普段から「マインドマップ」や「ふりかえり」はやっていて、自分たちで考えることにポジティブになっている)
 運動会を成功させると自身がついて、自分たちで学校ルール等も考えたいだったり、5年生にうまく引き続きたいだったり、問題に対して自ら考え解決に動くようになっていった

 このような小学生の自己組織化の事例を聞く事を聞けました。またそういった事を進める上では、ファシリテーションは大事だが、ファシリテーションする時には内容以上に想いが重要で、そういったファシリテーターの想いが伝わって、ワクワクする場が形成できるといった話もしました。
 私自身、組織でワークショップファシリテーションすることは多いのですが、自分自身のスキルが足りないと思っていながら、わりとうまくいくケースが多いのはこの想いの部分が根本にあるのかもと感じました。

自身の発表について考えたこと


登壇について

 今回はRSGTに登壇することが出来ました。事前にLIKEもそんなに多くなかったですし、二ッチなネタなのでRSGTじゃない所で発表で良いかなと思っていましたが、まさかの採用いただくことになりました。
 発表自体は、まだまだ改良点は沢山ある状態ですが、発表に加えて、持ち帰って使えるような動画紹介サービスも案内出来たので、価値は提供できたと思ってますし、見てくれた方の小さな変容に繋がるという手ごたえは感じています。


発表について考えるきっかけとなったギャザリングトーク

 また、今回飲み会の中で発表することについて考えを深めるきっかけがあり、それがとても良かったです。

 DAY1の夜、matsushitaさんとお話ししました。ご自身の組織でアジャイルを導入し、変革を進めた事例について伺いました。その話が非常に良い内容だったので、「ぜひ登壇で発表してほしい」と伝えたところ、「登壇する際は再現性のある成功事例をパタンとして整理してから発表したい。」という話になりました。こういった再現性のある「パタン」という形にすることで、生き生きとした再現性のある事例の証明にもなるといった事をお聞きし、アレグザンダーの理論についても話が広がりました。
 DAY2の夜には、aki.mさんと「フラクタルに発信/学習するケース」について議論しました。毎日のブログをまとめただけでは登壇に繋がらないし、登壇内容をまとめても次の発信や学習のステップにはならない。もっと深く考え、自分の中に「個別ケース」をまとめただけではない、別の概念を持つ必要があるという話になりました。
 DAY3に、石丸さん、ASOさんとお話しして、「やってみた系での発表ではなく、再現性のある内容でないと発表する意味はないのでは」といった話をしました。
 3日間を通じて、偶然にも発信活動について様々な方と話す機会を得られたのは、とても良い経験でした。

自身の登壇について考える事

 今回登壇させていただきましたが、正直、自分の発信内容に対してコンプレックスを感じています。「自分の内容には本当に価値があるのか?」さらに言えば、「自分やその周辺の世界を十分に表現できる全体性があるのか?」という問いに対して、まだ足りない部分があると感じているのが現状です。このような観点から、自分の発表に対して最近はネガティブな感覚を抱くことが増えています。

一方で、今回の発表の中でRSGTやスクフェスなどの発表回数ランキングを作ってみたところ、自分がベスト10に入るほど多くの登壇経験を積んでいることに気付きました。また、コミュニティの方々から発表内容について前向きなフィードバックをいただくこともあり、少なくとも一部の人にはニーズを満たしているという感覚もあります。

 これは、発表における自分なりの戦略の成果だと思っています。発表のたびにキャンバスを作成し、「誰に届けたいのか?」を整理したうえでプロポーザルを書いています。このようなニッチ戦略によって特定の方々には確実に届いていると感じています。

RSGTのプロポーザル出す時に作ったキャンバス

 このように、発表が一定の手応えを得ている一方で、手応えと同時にネガティブな想いを抱えているというのが、今の正直な気持ちです。

発表に関するスタンスについて

 私は、発表を自身の探求と学習の手段として捉えている点が大きいです。また、そういった文化を組織に作りたいとも思っており、そのためにも自分自身が多数発表しています。そのため、しばらくは前向きにカンファレンスのプロポーザル提出は続けたいですし、チームメンバーの登壇をサポートしていきたいと考えています。
 発表に関しては「書くのがしんどい」で紹介されていた出世魚理論が特に気に入っています。これを参考にしながら、2025年はブログや登壇に加えて、新たな形式での発信も試しながら、どちらかというと細かい発信を増やしたいと考えています。

竹村 俊助 (著) 「書くのがしんどい」より

 細かい発信やテーマを膨らませる作業が「再現性のある全体性を持ったテーマ」にはつながらない場合もあるかもしれません。しかし、自身のケイパビリティを考えると、現時点ではこのアプローチが良いと感じています。(まずはブリの手前の美味しいハマチ/イナダを一定作れるようになってから来年考えたい)

 全体性/再現性のあるテーマという点についてはポイントとしておきながらも今年は二ッチな内容をまとめて行きながら、自分自身のコンプレックスの声に向き合っていきたいと思います。

まとめ

 凄い楽しい気持ちになりました。前向きなフィードバックもらえてうれしい気持ちになりました。自分達よりも進んでいる事例や進んでいる方を見てすごく羨ましく、悔しい気持ちも持ちました。また一緒に冒険している仲間といった感覚も持ちました。また、あんまり、嵌りすぎず、落ち着こうといった感覚も持ちました。

 来年は羽田という事で、私は自転車でいける範囲です!!!!終電気にせず飲めますが、自分の声をしっかり聴いて落ち着いて楽しみたいと思います。

 運営の方々、ステキなカンファレンスをありがとうございました。お疲れさまでした。

いいなと思ったら応援しよう!