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読書メモ「エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方」

表記本を読んだので感想を記載します。

いやぁ、ちょうどいま読みたい良い本でした。「はじめに」から感動してしまいました。リーダーシップの旅でもリーダーは旅を経てだんだんリーダーになっていくみたいま話がありましたら、ちょっとずつ良いリーダーになれたらよいと思います。

専門家はいない。私たちしかいないんだ。
(中略)
私はソフトウェア開発に関する書籍を読み始めた。その中には『人月の神話』や『ピープルウェア』といった書籍も含まれていた。そして周りを見渡して良く分かった。それらの本で言及されていた問題は、まさしくすぐ目の前にあった。
 だが、周りにいる人たちは、自分たちが作っているゴミや、マネージャーや顧客から出てくるたわごとについて、誰も何も言わなかった。そしてもちろん、マネージャーや顧客に自分たちが提供しているものはゴミだと告げることもなかった。彼らはただ沈黙していた。不注意で頼りないプログラマについて触れる人はいなかった。すべてが順調だった。コメディアンのLouis C.K.が言う有名なセリフを(逆に)言い換えると「すべてが最低で、誰も気にしなかった」。

はじめに より

はじめにからかなり引き込まれる衝撃的な記載でした。まったく同じ状況で本は読んでいても行動しきれないまま10数年過ごしてきた自分としてはだいぶ心を揺さぶられました。結局は自分で考えて自分が動くことが大事なのですが、そういった際にはこういった知識を得ていることは大事で一歩を踏み出す後押しになるなと思っています。この本は後ろの方に色々なリーダーのコラムが付いているのですが、その中でも元クックパッドの庄司さんが「リーダーについてもプログラミングを学ぶときと同じように本を読んで実際に試して学んでいくべき。さらにそのように学んでいるリーダーは少ない」といった話をされていますが、本当にそうだなぁと思います。

貴方とチームはいつだってよくなっていかなければならないし、新しい事を学ぶために安全地帯から出ていかなければならない
(中略)
人間で実験する
そう、人体実験だ。あなたにはチームがある。そして本書に書かれている目標や制約、異なるリーダーシップを試すことができる。こうした実験は、最も楽しく興味深い事の1つで、私がリーダーであることを愛している理由でもある。

1章 チームリーダーマニフェストに向かって努力する

リーダーとしてもチームとしても、学びながら変わっていく。このことは仮説検証やテスト駆動の考え方ともにているなぁと思っています。チームとプロダクトをともに実験対象として更に、自身も実験対象として日々仮説検証のサイクルを回すことが重要だなと思いました。
 そう思うと下記コミットメント言語は非常に重要だなと思います。

不可能なコミットメントを可能なものに変える
 チームメンバーが、特定の時間内にバグを修正することにコミットしたとしよう。私がチームリーダーなら、彼らが応えられる、彼らの制御下にあることにコミットメントを変更するよう依頼する。
 制御下にあるとはどういうことか、メンバーの制御下にあるのは、通常は彼らの時間と何に取り組むかを選ぶことだけだ。誰かが制御下に無いことにコミットしたとき、それに気づくことが重要だ。そして、その代わりに、目的の達成につながる1つ以上の手段にコミットするよう依頼しよう。
例えば次のような具合だ。
「来週、これらのバグを修正します」
こうした発言は次のように直す。
「来週、少なくとも毎日5時間ずつは、これらのバグ修正に取り組みます。」

6章 コミットメント言語より

このコミットメントの感覚は非常に重要だと思っています。なんとなく今までやってきた事や違和感を感じていたことだったのですが、しっかり言語化してもらってとても腹落ちしました。本書ではこの後でコミットメント言語を重視したクリアミーティングのケースが出てくるのですが、その内容もとても良いと感じ、考え方を導入してみたいと思いました。

感想

 Elasticとは「弾力性のある」といった意味ですが、チームの状況(サバイバルモード、学習モード、自己組織化モード)でリーダーシップのスタイルを変えて行くことの重要性が説明されていて、とても実践的な内容と感じました。

惜しむべきはこの本が現在購入できないという事ですが、また再販されるのを期待しています。ありがとうございました。

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