大漁旗の文化と技術の再興 新しい需要、受け継ぐ担い手を残す【STORY 4】
和づくりメンバーでの大漁旗工房で大漁旗づくりの技術と文化に触れる
なんともお恥ずかしいことに、私の体調の管理不足で新型コロナウイルスにかかってしまい、本当に久しぶりの投稿。いや気仙沼に来ることじたいが以前の訪問よりだいぶ時間が経ってしまった。
今日は和づくりのメンバーと宮城県に最後の1人となった大漁旗職人菊田氏の工房見学に訪れた。その菊田氏の新しい製品開発と担い手を残すための取り組みのための活動を始めた私達には必要なこと。
今回の工房見学は以前新製品開発のために仮のデザインをお渡しして、色の入りなどの細かい再現性などの確認も兼ねてになるが、詰まるところ大漁旗の技術と実態と可能性をきちんと把握するための訪問となる。
工房内は私がイメージするよりもずいぶん広く思えた。工房内には以前菊田氏が話していた【趣味といってもよいほど好き】という薪ストーブがまず目に入った。
菊田氏:【仕事をするのは半分、半分は薪ストーブの前でのんびりする。それが好きw】
私:【なるほど、気分転換といったところですね。キャンプにいって癒されるのみたいなw】
菊田氏:【そうですね。同じような感じですねw
】
そういうと菊田氏は笑った。
そんな会話をしながら工房内を見渡すと作業中の作品いわゆる作業途中の大漁旗が吊るされているのが目に入った。
私は率直にいってそのスケールの大きさに正直驚きを隠せなかった。
【これが江戸時代より受け継がれてきた技術の一部か。こんなにも大きいのか】
ダイナミックなものにこそ迫力が出る。それこそ大漁旗。
私:【このサイズが大漁旗のサイズなんですね】
菊田氏:【サイズは色々ありますが、まあこれが大漁旗ですね。私が受け継いだもの】
私:【なるほど。ここまで大きいとは】
菊田氏:【大きいほど色ムラがでやすくて大変な部分もあるのです。一部分を塗って乾くとその境目がムラになる。だから一気に塗らないといけないので、そこは大変ですけど、そうじゃないと迫力もでない】【もともと大漁旗は間近でみるのではなく、芸術的なものというよりも、祈りとその想いが込められていればよいので。友禅染のような芸術的な着物とは違う。技術も作業も想いも】
私:【なるほど。そうなるとまずは船乗りの持つ想いや航海への祈願が旗にのっていないと。ということですね。それが受け継いできた技術と伝統】
菊田氏:【そうですね。強い想いがあったり、遠くからでもしっかり見えることで、メッセージになったり。だから迫力というか。強いメッセージというか。その強さは大切にしたいんです】
私:【なるほど。つまりサイズの大きさも魅力の一つですよね?】
菊田氏:【そうですね。小さいものになるほど、きれいで美しく細かくなるのでキレイにはみえるかもしれないですけど。私自身にはあまり制作に気分がのらないというか。迫力が消えていってしまうので。大漁旗の魅力が伝わらない。そういう作業であれば正直、作るのは私ではなくてもよいかと。正直思います。】
【ダイナミックで迫力がでるもの。それが大漁旗です】
大漁旗の存在をしてきた意義を改めて共感した。確かに芸術作品というよりも文化作品。
歴史的な意味は確実にそこに存在をした。そしてそれを菊田氏は県内で1人守り続けてきた。
そこはきちんと私達和づくりメンバーが理解しないといけないことだ。その理解ぎないのであれば、この先にこの文化の再建はないだろう。
文字もダイナミックに
私:【今現在もあまり小さいサイズの大漁旗はやらない?ということですね?】
菊田氏:【はい。今ある大漁旗デザインでも特に複雑なデザインや細かいデザインのものはある程度サイズが大きいものでしかしてないですね】
私【なるほど。そのあたりは十分理解しました。ありがとうございます】【他に色入れも型抜きでも大事にしていることはありますか?】
菊田氏:【文字です】
私:【文字?というと】
菊田氏:【文字の書体です】【文字の書体は今はコンピューターでゴシックや明朝体など色々あるのは知っていますし、その書体でやってほしいと頼まれれば、型を作ることで対応はできます】ただ。
私:【ただ?】
菊田氏:【ただ、果たして自分の航海の安全を海から伝えたり、海にかがける大漁旗にその文字を載せたら、果たして伝わるのか?】【果たしてそんな細い文字でよいのか?。もちろん、それは海の上でみるからということもありますが】【想いや願いの象徴がゴシックや明朝体でよいのか?それはすごく疑問があり。文字もダイナミックなものにいつもしてしまいます】
私:【なるほどですね。大漁旗の役割という感じですね】
菊田氏:【そういうことです】
私:【ありがとうございます。こうして工房で実際の作業内容を見ながらお話ができたことは貴重な時間でした。この機会があって良かったです 。】
そう言葉を交わしながら
私達は工房の見学を終え菊田氏の事務所に戻った。テストデザインに関して会話をするためだ。
次週…
大漁旗の文化や歴史を組んでいくプランとは
実際のテストデザインを仕上げてみての菊田氏とのデザイナーとの協議の様子を掲載します。
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