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弓道 「通し矢列伝」読書感想 

弓道の書籍は様々出ていますが、弓具屋さんで見かけてもなかなか買う人は少ないのではないかと思う本。

京都三十三間堂 通し矢列伝
       弓道の心と歴史を紐解く

出版:メイツ出版
著:高柳 憲昭

今回はこの本の感想を書きたいと思います。

弓道をしていないくても、時代劇や歴史が好きなら楽しく読めると思います。
もちろん、弓道をしていると、より楽しめますよ。



概要

京都にある三十三間堂で江戸時代に行われた通し矢にまつわる逸話を、現存している資料を基に分かりやすく書かれた本。
ところどころ、想像で書かれた文もありますが、時代劇をみているような気分になります。


面白かったポイント①
吉見順正さんが出てくる


吉見さんは、どこの道場にも掲げられているであろう、「射法訓」の吉見さんです。

紀州藩の先生であったとこは知っていましたが、まさか、通し矢をしていたとは。知りませんでした。

9769射 6343本通過

すごくないですか。
人間ってこんなに弓引けるんですか?と思いました。

すごい先生なのだろうとは思っていましたが、想像よりすごい先生でした。


面白かったポイント②
現在の弽の形になるまでの遍歴を知れた

現在の弽は、親指の部分が硬い帽子になっています。
元々、弓は戦場で使用するものなので、手袋型で柔らか帽子だったようです。
接近戦では刀を使用するためです。

その後、江戸時代になり、戦がなくなったので戦うためというより、通し矢のために改良されていきました。

うんと強い弓を引き続けるために、帽子の部分に鉄板を仕込むように改良されたようです。

そんな歴史があって、今の弽になったのかーと、今と昔がつながったように感じて感慨深い気持ちになりました。


面白かったポイント③
コラムの内容が、現在でも応用できそう

章の間に、コラムがあります。
この本を書くにあたっての、資料の内容や江戸時代の様子、通し矢に臨むためのコンディション作りなどなど。

その中で我が家でも取り入れたのが、コンディションづくりに最適な食事。
本番前々日より「辛き物、かたき飯、かたき物、食すべからず」とのことです。

要は消化に負荷がかかるものは摂取しない。
ということなのだと思います。

我が家はその頃、玄米食を実施していたのですが、試合の当日の朝には白米を食べるように変更しました。
確かに、白米の方がお腹が重くならないので、良い感じがします。

その他にも、精神面のことなど、時代は違えど試してみたくなることがあり、興味深かったです。


面白かったポイント④
小山弓具店の弓「清芳」は通し矢のために作られた

江戸幕府の消滅とともに、通し矢も消滅。

その後、明治時代に1人だけ通し矢をした方がいたようです。
それから月日は過ぎ、昭和にテレビ番組の企画で現在の最高の弓と矢で通し矢をしたら!?というものがあったようです。

その際に、作られた弓が「清芳」
夫が清芳を使用しているのもあって、ちょっと馴染みのある弓が出てきたので、テンションがあがりました。笑


おわりに

他にも、忠臣蔵の赤穂浪士の討ち入りに弓がどう影響したか。江戸の武士が通し矢にかけた熱量。日置流と小笠原流の関係…などなど、面白いポイントはあるかと思います。

少しとっつきにくい感じがあるかもしれませんが、全体として楽しく読めました。

弓道関連の本で初めて通読したのが、この本。
「いや、教本を読みなよ…」と思われるかも知れません。
私もそう思います。笑

でも、弓道の歴史や吉見順正さんをちょっと身近に感じることで、射法訓を読む時の心持ちも少し違うのではないでしょうか。
あ、あと、忘年会で日置流の方と話す時に、単語を知っているだけでも会話が弾みました。


なかなか、射技の解説本は読むのが大変ですが、ちょっと逸れた本でも、どこかで役に立つかも知れません。

気になった本は、どんどん読んでみたらいいと思います。


教本も読まなくちゃなあ……


長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


ぷぷ

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