第六話 発足!反恋愛同盟! 恋愛に反旗を翻す・・・
ここは都内某所。友達が一人もいない某国立大学二年生の金田慎太があるオフ会に参加している。慎太は等身大マニアのエロ中年、金田鷹章の甥である。鷹章は等身大ドールマニアだが慎太は1/6 1/3キャストドールのマニアである。友達がいないかわいそうな大学生慎太はネットのSNSだけが唯一の人との会話ができる場所である。1/3 1/6ドールのツイッターやインスタ スレッズで交流している人たちがオフ会をやる事となり慎太も招待された。会場は都内某所のガストで数十人が集まっている。慎太の隣には黒縁眼鏡でおかっぱ風ヘアスタイルの男の子が3人座っており又初対面という事もあり全く区別がつかない。「ええっと。シン君とレイ君とシュウ君とサウザー君だっけ?、。ええっとどれがシン君だっけ?。」「僕です。これで4回目です。」「すまんすまん。」この場をまとめているのは今回オフ会を主催した某私立大学の4年生ニックネーム”トキ”君である。しかしどっかで聞いたような名前ばっかりである。注意!あくまで1/3 1/6ドールのオフ会である。「しかしキャストドールは衣装代に金がかかるよな。衣装に数万なんてザラだしな。等身大ドールなら衣装は人間用だから安く済むよな。」なぜか慎太に注目が集まる。「どうして僕を見るのさ。」トキはあるツイッターの記事を見せた。「これ、君だろ、隣にいる人間と区別がつかないドールは等身大ドールメーカーアルティメットリアル社のドールだろ。」慎太は又かと言わんばかりの表情をした。「今は人と全く区別がつかないぐらいに進化しているのだな。」トキは何か含みのある言い方で話す。「実は君を招待したのはほかでもない。君のSNS投稿記事に我々は衝撃を受けたのだ。我々も等身大ドールを、しかもアルティメットリアル社の商品が欲しいのだ。その若さで学生の身分でどうやって入手したか教えてほしいのだ。」「そんなの自分で調べなよ。」慎太は呆れて答える。「我々のオフ会メンバーは20代前半と若い。しかし恋愛でいい思いをした者はいない。イケメンでもつまらない理由で捨てられたり、デートの度に数万円使わされたり、訳の分からない理由で突然切れられたり、察しが悪いと怒鳴られたり、etc.もうたくさんだ!。我々は恋愛に反旗を翻す!。1/3 1/6ドールに等身大ドールを!しかもリアルなアルティメットリアルのドールを加えれば無敵!もうあんな人間の女にに振り回されて地獄を見る必要はない!。」慎太ははめられたと思った。人恋しさにのこのオフ会に出て見ればアルティメットリアル社のドール目当てに呼び出されただけだと察した。「あーあ!人間不信になりそうだ!。それで!僕にどうしろというのさ。」「あのドールを格安で譲ってほしい。ここにいるみんなの共有の恋人として皆を癒したいのだ。」「心のよりどころが欲しければマヤ様の信者になれば。」「あああのYOUTUBEは見させてもらった。やっぱりマヤ様よりみゆうちゃんだよなあ。」慎太は一秒でも早くこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになった。「あの人形は僕のものではないよ。エロ中年のおじさんのものだよ。だから諦めてね。」トキはそれでも引き下がらない。「じゃあおじさんを説得しておくれよ。」慎太はこの場から逃げたい一心で説得する事を約束した。
一方こちらは慎太の叔父の鷹章の家。鷹章の家に中古車ディーラー経営者のタルカスこと高藤が来ている。何やら商談をしている様子だ。「今度うちのディーラーでクラッシックカーのモーターショー兼即売会を主催する事になったんだけどコロナ開けという事もあってコンパニオンのお姉さんが集まらないんだ。そこで等身大ドールを使って車に華を添えようと思ってね。」「それはいいアイデアだね。疲れ知らずで文句も言わないからうってつけだね。」「アイデアとしては回転式のステージに車とドールを乗せて裏側に回ってきたら別の車とドールを入れ替えてさらに回していくという演出だ。これなら様々なポーズを裏側で決めて様々な車をお客さんに見せられる。人件費も浮く。」「なるほど。ウチのドールを貸し出せばいいんだね。報酬は提示価格でOKです。」「商談成立ですな。わが国初の等身大ドールを使ったモーターショーを開催して歴史に名を残しましょう!。」人類初?等身大ドールによるモーターショーの開幕である。日時は夏休み中の8月末に決まった。鷹章は自宅兼職場に戻り早速モーターショーの女性コンパニオンに使うドールを選んでいる。現在7体のドールを保有している。「やっぱり造形を考えるとシリコン一択だよな。アルティメットリアル社のみゆうちゃんが一番人間っぽいのでみゆうちゃんは決定っと。次は最近お迎えしたSahfil社のまよねちゃんが可愛いので採用っと。ロリはダメだからパス。後はハツミとレミの4体レンタルで水着はビキニで決定だな。」鷹章は早速水着を着せて4体の写真と簡単な身長や体重スリーサイズなどのデータを高藤に送った。すると鷹章のLINEに慎太からメールが届いた。「あの憎い甥からメールか?。何々。今度はアルティメットリアル社のドールを買いたい人がいるから連れて行っていいかだって?。いやだね あかんべー。っと。」すると慎太からマヤ様そっくりの昇天ドールの販売ドールのリンクが送られてきた。「え!マヤ様ドール??よくあの人が許可したな?。」マヤ様モデルは10体限定でしかも抽選である。その抽選券があたったので鷹章に譲るという内容である。「おお!この抽選券で予約金受け取った上で転売すれば大儲けだ!。しかも少しぐらいならおさわりOKだよな。交渉には対応するがどうせ買えないだろう。交渉だけならOKっと。ついでにモーターショーのチケットやるからそいつらを連れてこさせてドールを見せてやろう。観客の水増しにもなるしな。」鷹章は慎太の条件をのみ交渉だけなら対応すると回答しモーターショーのチケットを贈る約束をした。鷹章の回答メールには水着姿のドール4体の写真が添付されている。それらをオフ会のメンバーに転送した。するとものすごい早さでモーターショーの見学を希望する旨の回答が返ってきた。「水着姿が本物の人間より魅力的でそそるね!。モーターショーで実物を見るのが楽しみだ。」トキからの返信内容である。
モーターショー当日。場所は高藤が提携している某外国車中古車ディーラーである。このディーラーは回転式展示ステージがあり小型車なら三台置ける大規模なものである。このディーラーのオーナーは高藤のビジネスパートナーでインド人の”ミカラ・デタ・サビー”氏である。クラッシックカーの即売会も兼ねているこのイベント!美女コンパニオンが車に華を添える事で売り上げ向上に貢献すると言っても過言ではない。舞台裏では世界中のクラッシックカーが並べられている。「おお!日本のスバル360にイタリアのフィアット500,英国戦前車モーリスにフォードマスタングか、世界の名車がそろっているな。さすがは高藤さんだ。これにセクシーなビキニの美女が加われば相乗効果でオークション価格が跳ね上がるかも!。」鷹章と高藤もスタッフに加わってドールのポージングやお着替えを手伝う。「ふうー。思ったより大変な作業ですね。暑いし重いし。腰がいてー。」若いスタッフはふらふらになりながらドールを車にセッティングする。「固定バンドは見えないように水着に隠してね。しかしきわどいマイクロビキニだな。こんなの人間のモデル嫌がるだろうな。そういう意味でもドールは使えるな。」いよいよモーターショーの開幕である。マスコミも多数集まっている。主催者の挨拶に高藤とサビー氏が呼ばれる。ステージ上で開催の挨拶を行った。「お待たせしましたーこれより世界の名車の即売オークション!アルティメットモービルショー2022を開始いたします。それでは開幕です。」会場に拍手が響き渡る。そこへ慎太たちがちょうどやってきた。「ここだここだ。高価なオークションはこの回転ステージで行われるんだって。」高級車は手が届かないステージに載せて回転させてオークションで落札者に販売し。それ以外の安い中古車はステージ外の広場に展示されている。「エントリーナンバー1番1972年式フォードマスタングです。」ステージ上には高藤のアルティメットリアル社のドールが金髪のヴィックを装着して車によりかかりながら屋根に手を添えてにっこり笑っている。「おお!誰もドールとは思っていないようだな。しかしよくできているな。綺麗だなーこれならドールでも全然OKだなー。」トキたちはすっかり高藤のドールに魅了されている。ステージ裏では鷹章と若いスタッフが熱中症でぶっ倒れている。「あちー。夏場のドールポージングは地獄だな。」「こんな苦しい思うをするぐらいなら人間の方がましだー。」「彼女がいる奴らはそう思うよな。」床にマットを敷いてスタッフ5人とともに鷹章も動けないでいる。「みなさーん。次のセッティングをお願いしまーす。」女性アナウンサーから鷹章たちが呼ばれた。「もう交代かよー。人手不足だー。」滝のように流れる汗を拭きながらスポーツドリングを片手に舞台裏までふらふら歩いていく。その姿はまるでゾンビである。4台目5台目のキャンバストップを開けたスバル360とホンダN360がステージに並ぶ。スバルにはあのみゆうちゃんが白いマイクロビキニで助手席に乗りドアを開けて笑顔で手を挙げるポーズをしている。口が稼働するので笑顔にできる。「おおおお!。みゆうちゃんだー。かわいいなー胸でかいなー。」トキたちが注目する。電光掲示板のオークション金額はみるみる上がっていく。「念のためですが美女は付きません。」観客席から軽い笑い声が響く。こんな感じでモーターショーのイベントは成功し、前回より売り上げも向上した。
午後6時、オークションも終了し閉幕時間がやってきた。落札された車はその場で契約書が交わされ出品した車の7割が売れた。鷹章が観客席の折り畳み椅子を片付けていると慎太たちが鷹章を見つけて近づいてきた。「おじさん、お疲れ様。」「おお慎太。来ていたんだね。モーターショーはどうだった。」「すごいね。ステージも少し遠かったおかげで誰もドールだとは気が付かなかったね。」「おおそうか!。ショーは大成功だな。来年もやれば貸し出しで儲かるな。」鷹章は嬉しそうである。「おじさん紹介するね。オフ会で知り合ったトキ レイ シュウ サウザー君だ。みゆうちゃんをお迎えしたいんだって。商談大丈夫?。」「今ちょうど終わったところだ。ドールの回収と積み込み手伝ってくれればドールちゃんに触れるよ。」鷹章はついでに積み込みを手伝わせようとしている。「はいはい!喜んで。みゆうちゃんに触れる。」トキはでれでれしている。マイクロビキニ姿のみゆうちゃんを持ち上げようとしたが。「おおおお重い。」「40kgあるからね。」素材も柔らかいので持ちにくい。それでも何とか車に4体のドールを積み込むことができた。「手伝ってくれてありがとう。向こうにドリンクバーあるから行こう。飲みながら商談しよう。」鷹章は会場内のVIP席のドリンクバーの余りを慎太たちにふるまった。「手伝ってもらったのは理由がある。ドールオーナーにとって最大の難関は重いドールを扱えるかだ。どうだった?。」鷹章はお迎え前にドールを持たせてドールの扱いに耐えられるかテストしたようだ。鷹章はこれで諦めてくれると思っていたが・・・。「確かにすごい重さですね。でもあれほどリアルで魅力的で触った感じも人間に近かったし。近くで見る事が出来てその造形美も理解できたし。良かったです。まだ若いしジムにでも通って体鍛えれば何とかなります。」鷹章は意外な答えに少々困ったような表情になった。「このドールは新品は人気オプション加えると80万近いよ。これはゼリー胸に口稼働 植毛まつげに眉毛で新品は80万超えているよ。これは1年落ちだけど未使用で展示のみだから高いよ。こっちのSanfilなら半額だからこっちがお勧めだよ。」トキに迷いはなかった。「いいえこのみゆうちゃんが欲しいのです。おいくらですか?。」食い下がるトキ。「この価格だよ。」鷹章はスマホの電卓を見せた。「えええ!厳しいなあ。ローンもむりですよね。」「ドールは新品でもローンないんだよなあ。何故か。」トキは考え込んだ。「バイトで買った車を売ってバイトを増やしてそれから・・・。」もはやお迎えする気満々である。「鷹章さん。我々4人で共同購入すれば買えます。売ってください。」「えええええ!。」「このみゆうちゃんをお迎えさえすればどんな美女にも負けない。マヤ様に勝った子だし。お迎えして人間との恋愛に反旗を翻します!。」大変なことになった!。又少子化を促進してしまった。日本政府に申し訳ないと鷹章は思った。
ACT1 END
2022年9月。某私立大学に通うドールマニアのトキ(仮名)とその仲間レイ シュウ サウザー(仮名)は新学期を迎えていた。4人で資金を出し合って彼らが設立したドール同好会の部室に鷹章から購入したアルティメットリアル社の等身大ドール みゆうちゃんをアンティークな椅子に白いドレスを着せた状態で座らせて展示している。ピンク色のシーツを敷いたベッドまであり白いカーテンでおおわれている。退屈しないようにFMラジオまで流している。4人はドール同好会を結成して有料で部室を借りておりドール作成や衣装の作成や改造などもここで行っている。定期的に1/31/6ドールのフォトコンにも参加しており入賞経験もある。彼らはドールの作成や写真撮影を熱心に行っており決していい加減な気持ちではないのである。彼らは今日も部室に集まり1/3 1/6ドール作成や写真撮影を熱心に行っている。会長のトキはデジタル一眼レフでみゆうちゃんを撮影している。写真撮影の練習をしているようだ。「やっぱり被写体がいいと映えるよなー。1/3や1/6と違った感じのボリューム感とリアル感が新鮮だな。」「会長、ずるいよウチらも撮影したいよ。」ほかのメンバーも写真撮影がしたくてうずうずしているようだ。「よし、今日はここまでだ。この後みゆうちゃんの歓迎飲み会をやろう!。」「待ってました!。同好会の新メンバーみゆうちゃんの歓迎会だね。嬉しいなー初めての女の子との飲み会だ!。マヤ様に勝ったドールちゃんと一緒に飲み会が出来るなんて幸せだなー。」同好会のメンバーは缶ビールや缶酎ハイにつまみ、みゆうちゃん向け?にオレンジジュースやウーロン茶も持ってきている。みゆうちゃんが座るベッドを取り囲むように同好会のメンバーが座り、宴会が始まった。そこに他のサークルのメンバー数人も宴会に加わる。「よく来たよく来た。漫画サークルのみなさんようこそ。」となりの部室に漫画サークルがありそのメンバーは時々ドールをモチーフに漫画を描くことがあり交流が盛んで仲がいい。「おお!これが噂のアルティメットリアル社の等身大ドールか!本物は初めて見た!。いやー人間にしか見えないな。ドール道極めたな!。これほどのリアルな美女なら人間の彼女興味なくなるよなー。」漫画サークル部長はみゆうちゃんのリアルさと美しさにすっかり魅了された。「俺も欲しいなー。バイトして買おうかなー。」 「おお!それはいい。お迎えしたら連れてきてね。」歓迎会は漫画サークルとドール同好会メンバー総勢6人が参加である。酔っぱらった部員がみゆうちゃんに抱き着こうとすると他のメンバーが阻止する。「さわるなよ。塗装がはがれるだろ。」「そうかそうか、ごめん。」もちろん部室で酒を飲んだり宴会を行う事は禁止である。しかし時々ゲリラ的に行うサークルも少なくないようでなかなか取り締まっても宴会が無くならないのが現状のようだ。ドール同好会の部長トキはみゆうちゃんを見つめながら何やら考え込んでいる。「実はこのラブドールと呼ばれる等身大ドールの販売代理店”昇天ドール”という店で今度フォトコンテストが行われる。優勝するとなんと!賞金100万円副賞はアルティメットガールと呼ばれるブランドの新品ドールが貰えるらしい。」「それは豪華な商品ですね。会長参加するのですか?。」「参加したいとは思うのだがプロの宣材写真カメラマンの”黒犬akatan”がエントリーしているのだよ。」「え!あの有名なプロカメラマンの!ウィキペディアによると戦場カメラマンとして2年間フランスの特殊部隊を取材していたらしいね。特殊部隊で訓練も受けたと書かれているよ。」どうりで強いわけである。「みゆうちゃんを使ってフォトコンで優勝すれば等身大新品ドールがもらえる上に賞金100万円だ!賞金でドール2体買えばメンバー全員に等身大ドールが行きわたる。我ながらいい作戦だが強敵がエントリーしているな。これは大変だ。」トキ君はみゆうちゃんを使ってフォトコンに応募して優勝し、新品ドールと賞金を使って人数分のドールをお迎えする計画のようだが思わぬ強敵出現に戸惑っている。宴会は深夜まで続きその日は全員部室に泊まった。
一方こちらはマヤ様。またしても私設教育機関に来ている。新メンバーとなった黒犬akatanも一緒である。黒犬akatanはプロカメラマンで格闘技の達人であり、マヤ様のボディーガードで戦闘隊長のテシター君という巨漢の男を倒して海に流してしまい、今はテシター君に代わってマヤ様のボディガード兼戦闘隊長兼グラビア撮影カメラマンとして雇われている。元は昇天ドールという等身大ドール代理店の専属宣材カメラマンであった。黒犬akatanは今度発売されるマヤ様の写真集に掲載する写真を撮影する事も決まった。今日はその打ち合わせである。「お前は変態だが写真の腕だけは確かだよな。どの写真も見事だな。」「ありがたき幸せ!ちゅっちゅしてください。」「やだよ!。ところでお前昇天ドールのフォトコンにも応募したらしいな。」「マヤ様モデルの等身大ドールを撮影してプロモーションを行おうと思いましてねえ。」あれから昇天ドールの年老いた店主とも和解してギャランティーは50%貰うこととなっていた。「フォトコンで私をモデルにしたドールが優勝すれば2連敗のリベンジになるな。私の分身がにっくき等身大ドールを破る!。優勝すれば売り上げも向上する。しかもマージンが50%入る。悪くないな。」マヤ様は何が何でもこのフォトコンで黒犬akatanを優勝させたいようである。マヤ様が黒犬akatanと話していると施設長の氷室空子が緊急連絡の為マヤ様に会いに来た。「マヤ様ご報告です。葉山で波にさらわれたテシター君が見つかりました。命は無事です。」「え?すっかり忘れていた。あいつもしぶといな。」冷たいマヤ様である。「報告を続けます。見つかった場所は台湾沖の無人島です。先日漁船に救助されました。本日午後こちらに戻る予定です。」「黒犬akatanの方が強いし、クビにしてやるかな?。」「そんなーかわいそうですよー。命がけで戦ったんですよー。」空子はテシター君に同情的である。「冗談だ。黒犬akatanの下につけて副戦闘隊長にしよう。」どうやら第五話で波にさらわれたテシター君は無事だったようだ。アルティメットリアル社のみゆうちゃんVS昇天ドールオリジナルマヤ様レプリカ”マヤヤ”ちゃんのフォトコン代理対決!戦いの火ぶたが今切って落とされた。マヤ様のリベンジなるか!。
翌日某私立大学。一日の講義が終わりトキ君たちは同好会の部室に向かって歩いている。すると女子大学生のグループが彼らを指さして何やら話している。「きゃーきも過ぎ四天王が歩いているわ。きもー。」「あいつらこんなところ歩いてんじゃねーよ目障りな!。」わざと聞こえるような大声で言った。トキたちドール同好会は大学内で女子大生に大変嫌われており”きも過ぎ四天王”と呼ばれている。見るからにオタクっぽい黒縁眼鏡をかけており服装も裸よりはマシと言われるほどダサい。服代節約してドールを購入している為である。恋愛など夢もまた夢。ドールに夢中だからダサいのかダサいからドールに夢中になったのか?。今となっては謎である。いつもならうつむいてそそくさとその場を立ち去る”きも過ぎ四天王”だがその日はみゆうちゃんをお迎えして満足している事もあり彼女らの暴言も耳に入らず胸を張って歩いている。「JD共のいつもの罵声も我らとみゆうちゃんを祝福する賛美歌にしか聞こえんな。」「あんなやつらみゆうちゃんに比べればただのブス共にしか見えん。」「しかもフォトコンに優勝すれば等身大ドールが2体に増える。賞金でドール買えば4体になる。人数分のドールちゃんをお迎えすればもう人間の女との恋愛など必要ない!。今まで散々キモイだの汚いだの言われ続けてきたがフォトコンに優勝さえすれば我らの勝利だ!。さあ撮影の練習練習!。」4人はこれまでの恋愛敗北人生をフォトコンの優勝賞品であるドールをお迎えする事で挽回しようと企んでいる。「あいつらなんだかうれしそうだな!。」きも過ぎ四天王の様子が嬉しそうで堂々としているのでJD達は不思議に思った。きも過ぎ四天王は写真部を訪問した。大学の写真部で撮影機材を借りつつ撮影技術を学びフォトコンに備えようというのだ。「今日から一週間宜しくお願いします。」写真部部長に深々と頭を下げるきも過ぎ四天王。写真部部室の外にある一人の女子大生が中の様子を見ている。先ほどの女子大生の群れの中の一人である。彼女の名は田中亜美マヤ様の信者でこの大学の学生である。きも過ぎ四天王が等身大ドールをお迎えしたという情報を聞いて等身大ドール撲滅運動を行っているマヤ様の為に情報提供するつもりのようである。「無理を聞いてくれてありがとうございます部長。今日教えてもらった内容はしっかり記録しました。写真撮影したら見せに来ますね。」「ああ、コンテスト頑張ってね。」きも過ぎ四天王が写真部部室から出て来たので田中亜美は部室入り口から逃げた。「昇天ドールのフォトコンってマヤ様の部下黒犬akatanさんが参加するコンテストだったっけ?。黒犬akatanさんが勝つに決まっているけど念のためマヤ様に報告するかな。」亜美はこの事を報告すべくマヤ様にメールを送った。
ここはマヤ様の自宅のタワマン。男性イケメン等身大ドールに囲まれてソファーに座りワインを飲んでいるとスマホに田中亜美からのメールが届いた。「何よ今いい所だったのに。なになに?某私立大学のドール同好会が昇天ドールのフォトコンに参加するだってさ。くだらないそんな奴ら脅威であるはずがないわ。私には変態狂暴だが腕だけは確かな黒犬akatanがいるのだから負けるはずがないわ。そんなごみ共ほっときなさいっと。」マヤ様はすっかり油断している。特に何もする予定はないようである。「マヤ様!こいつらは過去にミニドールのフォトコンで入選したことがあります。しかも被写体はアルティメットリアル社のみゆうちゃんというドールです。油断大敵です。」返信内容を見たマヤ様の表情が険しくなった。「なにー。あの悪夢を思い出したわよ!。」マヤ様は田中亜美にある指令内容を送った。「これで奴らも終わりよ!。」イケメン等身大ドールを抱きしめてちゅっちゅしながら不気味な笑みを浮かべるマヤ様だった。
さらに翌日、ドール同好会のメンバーは写真部から習ったテクニックを駆使してドール撮影に熱中していた。「うーんどうしてもポーズが固い感じがするんだよなー。自然なポーズをとるためにはどうすればいいんだろう?。」きも過ぎ四天王はどうしても納得がいかない様子である。「なら私が手伝ってあげようか?。」4人が振り向くとそこにはマヤ様の信者であるこの大学の女子大生田中亜美が立っていた。「えええ?いつの間に入ってきたの?。」「鍵が開いているので入っちゃった。」田中亜美は笑顔で答える。「女の子の自然なポーズはやっぱり本物の女の子を参考にしなくちゃね。」田中亜美は様々なポーズを取って見せた。「おお!なるほど!これは自然でリアルだ。」4人は田中亜美のポーズを写真撮影し、ドールのポーズも彼女のポーズを参考にして変えてみた。「なるほど!椅子に座るポーズもこれなら自然でかわいいな。」四苦八苦していたドールのポージングの答えが出たようである。田中亜美はこの大学の2年生で八重歯の可愛い美女である。以前は目立たない腐女子だったがマヤ様のメイク教室に通い技術を学びこの大学のミスコンに出場し3位になる事が出来た。それ以来マヤ様の信者となったのだ。実は百合で女性にしか興味がなくマヤ様を愛している。何故かきも過ぎ四天王に突然ポージングのアドバイスを行っている。「君は確か2年生の田中さんだよね。突然何故我々の撮影を手伝ってくれたのだ?。」トキ君は不思議でならなかった。「私はっきりって百合よ!百合が撮影手伝っちゃいけないっていうの?。」「百合は関係ないだろうって、ええええ!百合いー。」突然のカミングアウトに驚く四天王。田中亜美は等身大ドールのみゆうちゃんに近づいて突然抱きしめた。「お姉さま💛。っていけないわ。私にはマヤ様という心に決めた人がいるのに。でも辛抱たまらん。お姉さま💛」「こらこらこらこら!持ち主の我らだってそんなことしていないんだぞ。塗装がはがれる。型付きが起こる!色移りするから放れろ。」田中亜美はみゆうちゃんにしがみついて放さない。「お前赤い服着てるだろう。最も色移りする色なんだぞ放れろ。」4がかりでやっと引き離した。「私は美しいお姉さまが大好きなのよ。マヤ様に勝ったみゆうちゃんが見たいと思って来たのよ。撮影手伝ってあげるからこれからも私をみゆうちゃんに会わせなさい。」「おお!そうだったのか!。ポージングのアドバイスは助かったから会いに来るのはいいよ。でもなるべく色移りしない白い色の服着てくださいね。」「はーい。」こうしてきも過ぎ四天王はポージングを手伝う代わりに田中亜美の出入りを許可する事にした。
ACT2 END
2022年10月某日、年に一回のマヤ様信者が全国から集まる集会が行われていた。参加者は1万人を超え、某球場を借りて行われている。その日の天気は晴天でまだ夏の日差しは残っているものの風は爽やかで過ごしやすい昼下がりである。制服を着たマヤ様の私設教育機関の施設長氷室空子とその配下の職員、戦闘隊長兼専属カメラマンの黒犬akatanと元戦闘隊長テシター君も制服を着てステージの上でマヤ様を警護している。空子がマヤ様に挨拶をする。「偉大なる我らが美しき支配者!飯能マヤ様!太陽は今日もマヤ様の為に上りました。それではお待ちかね!これよりマヤ様より諸君らに挨拶がある!。」集会に集まった信者たちは一斉に歓声を上げる。「偉大なる我らが美しき指導者!支配者!荒野の英雄!女神!飯能マヤ様!。我らマヤ様のお言葉を直接聞ける事を無上の喜びと感じています。」一万人の信者が一斉に右手を挙げてマヤ様に敬礼した。「かわいい我が信者達よ!良く集まってくれた。この飯能マヤ心から礼を言う。」マヤ様は微笑みを浮かべ両手を広げて高く上げ、皆を抱きしめるかのようなポーズを取った。「さて、今回は信者のみんなに提案がある。日本社会は腐っている。年老いた醜い心を持つ年寄りや中高年が私利私欲の為だけに権力の座に座っている。そして、その権力と財力で若い女性や少女たちを誘惑し、性的搾取を行う。若い働き盛りの労働者も奴らに蝕まれている!。こんなことが許されるはずがない。我々はそのような醜い欲望に戦いを挑む!。皆の力を貸してほしい。」「そうだそうだー。マヤ様の言うとおりだ。喜んで力を貸すぞー。」「日本の腐った権力者たちにうんざりしてるわ。」「俺たちが低賃金で搾取されているのはあいつらのせいだー。あいつらがいるからだー。」信者からの賛同の声が上がる。マヤ様の演説は続く。「我々”マヤ軍団(仮名)”は醜い権力者を倒し、皆が受けるにふさわしい対価を得られる平等な世の中に変えていくことを目指している。その為にはまず未来ある子供たち、特に女の子を醜い権力者から守る活動から開始する。幼い少女を題材にしたポルノメディア、等身大ドール、同人誌の類をこの世から抹殺する。あんなものがあるから少女たちが性的搾取を受けるのだ。又若い男子にも悪影響を及ぼすのだ。そして恋愛に興味を失うのだ。断固撲滅する。」マヤ様の信者の約7割が女性である。「そうよそうよ。だから私たちに彼氏ができないのよ!。マヤ様に協力するわ。」1万人のマヤ様の信者の心が一つになった。いよいよマヤ様のドール撲滅運動が本格的に開始される。
一方、こちらは某私立大学のドール同好会。鷹章からアルティメットリアル社のドールみゆうちゃんを4人で共同購入したドール同好会のトキ君達4人は昇天ドールという等身大ドール販売店が主催するフォトコンテストに応募する為の写真撮影を行っている。今日は持ち寄った機材や資料を見ながら撮影研究の為のミーティングを行っている。ここに同じ大学の2年生、田中亜美も加わっている。マヤ様の命令でドール同好会に潜入してその活動内容をスパイしているのだ。マヤ様の手下の黒犬akatanも同じフォトコンテストにエントリーしている。その黒犬akatanを勝たせるために情報取集を行い、逐一その情報をマヤ様に報告している。今日も情報収集のために田中亜美は同好会の部室に来ている。その部室にある1/6ドール展示コーナーをじっと見ていた。「へーこれがキャストドールなのね。写真で見るよりずっとかわいいわね。どこで買ったの。」田中亜美がトキ君に質問した。「ああそれは俺が作ったドールだよ。秋葉原で部品買ってきてここで作成したものだ。」「えええーこれをトキ君が作ったの?すごーいい。」田中亜美は百合である。生まれつき男性に興味がなく女性しか愛せない。しかも小さな女の子も大好きなのである。それゆえ可愛い少女の小さなドールに目が釘付けになった。「市販の作家物ドールは数万~数十万するからうちらには買えなくてね。仕方がないから部品買ってきてうちらで作成しているのだよ。品評会で入選したこともあるんだよ。」「あなたたちって顔に似合わず凄い技術を持っているのね。」「顔に似合わずはひどいなー。」田中亜美は口が悪いようだ。亜美はあるドールを先ほどからずっと見ている。「ああそれね。トキ会長の初期の作品だよ。最初の入選作品だったっけ?。」トキ君は亜美がそのドールをずっと見つめているのでそのドールを手に取って亜美に手渡した。「気に入ったのならあげるよ。」亜美は驚いた表情でしばらくあっけに取られていた。「えええええ!そんな大切なもの受け取れないよー。高いんでしょう。」「フォトコンでポージングに悩んでいたうちらを助けてくれたお礼だよ。」「でもこれほどのどーるちゃんならオークションで売った方が高値が付くし活動費の足しになるんじゃない。」トキ君の表情が少し曇った。トキ君は少し考えてから重い口を開けた。「実は昔腕試しのつもりでオークションに出した事があるんだけど・・・。信じられない高値で売れたんだけど・・・。数か月後にひどい姿で転売されていたんだ。それ以来絶対に売らないと決めていたんだ。だけど数多くの作品を抱えているとやっぱり扱いがおろそかになる気がして・・・。でも亜美ちゃんがとても愛おしそうにその子を見ていたから里親になってもらいたいなって思ったんだ。」亜美はそのあまりにも意外な言葉を聞いて驚くと共に作品に対する純粋な気持をトキ君が持っている事に気が付いた。「ありがとう。でも私は最近までトキ君達をほかの女子と一緒にばかにしていたのよ。だからやっぱり受け取れないわ。」トキ君は笑顔で答える。「それはうちらに対してだろう。そのドールちゃんに対してではない。だから問題はないよ。大切にしてね。」トキ君はそのドールをタオルに包んでトートバッグに入れて改めて亜美に手渡した。「ありがとう。本当に嬉しい。大切にするね。私の妹にするね。あとこれは私のメールアドレス。後でインスタにUPするから案内のメール送るね。」亜美はトキ君以外のメンバーともメールアドレスやLINEの交換をした。「やったー生まれて初めて女の子とアドレス交換したぞ!。」4人は大喜びである。しかし亜美の表情は曇っている。マヤ様の命を受け潜入してスパイ活動をしているのに高価でかわいいハンドメイドドールを貰ってしまった事にひどい罪悪感を感じているのだ。実は亜美は奨学金で大学に進学した。亜美の父が失業し、学費が払えなくなったところをマヤ様がある財団を亜美に紹介して奨学金を受け取る事が出来るようにしてくれた上にマヤ様が保証人にもなってくれたので無事進学できたのである。よってマヤ様にも恩義がある。マヤ様は良い事もしているのだ。亜美はトキ君達とマヤ様の間で悩むことになった。
翌日、ここはマヤ様の私設教育機関。黒犬akatanが施設の一室を借りて機材を運び込み、昇天ドール主催のフォトコンに応募する写真を撮影している。マヤ様をモデルに作成された”マヤヤ”ちゃんというドールを撮影している。テーマは”秋”である。清楚な白いワンピースに麦わら帽子を被せて背景写真は紅葉を撮影したものを使っている。「うーん。マヤ様の鋭い目と男を魅了する形のいい巨乳がどうしてもイメージに合わないな。」「何を言っている!。私の清楚で可憐なイメージにぴったりだろう!。」マヤ様は意外と自己分析が下手である。黒犬akatanとマヤ様の意見が度々食い違うようだ。「マヤ様の魅力は”そのいやらしい見るからに悪女っぽい目と不必要にでかい胸と、ふてぶてしい態度と他人をゴミでも見るかのように見下す態度。”でございます。こんなアイドルっぽい衣装は似合いません。」「なんだと!もう一度言って見ろ。私のどこが悪女っぽいんだ?。」マヤ様は第三者の目を全く自覚していないようだ。「困りましたね。マヤ様は悪のカリスマっぽいので清楚は衣装はダメですね。やっぱり普段通りで行きましょう。」
「だめだ!。私のイメージカラーはホワイトだ!。」「いいえ!赤とブラックでございます。」「なにー。」こんな感じで撮影は延々進まないのである。そこへ亜美から定時連絡のメールが届いた。トキ君達が撮影したみゆうちゃんの応募写真候補が数枚添付されている。「お!亜美からだわ。なになに、応募写真?えええええ!。」マヤ様はそのクオリティーの高さに驚いた。「私にも見せてくださいよ。えええええ!。」写真はプロの黒犬akatanでさえ驚く出来栄えであった。白いワンピースを着て恥じらいながらデート中の食事シーンでカメラ目線という作品である。「マヤ様とは対照的なキャラだわ。強敵ね。」「フォトコンはネットの投票で決定するんだったわね。ウチの信者全員に投票させれば私の勝ちねおほほほほ。」「マヤ様。私の腕を信じてくださいよ。こうなったらマヤ様の悪の魅力でこれに対抗します。」「なんで私の魅力が悪の魅力なんだばかもの!。」両者の意見の食い違いは続く。
一週間後、いよいよ昇天ドールのフォトコンテスト第一次審査の日がやってきた。黒犬akatanは四苦八苦しながらマヤ様の魅力を最大限に生かし、しかも秋というテーマにも合った作品を応募した。真っ赤な右足が見えるドレスを着てガラス越しに紅葉が見える豪華な部屋で赤ワインを口にするという姿を撮影した写真である。たちまち8000人以上が投票した。ほぼマヤ様の信者の投票である。第一次審査は”あらあら、黒犬akatan、断捨離、トキ君、ダーノバッキー、UMI、スマトラ、にゃーくん、わっひい”の9名に絞られた。どっかで聞いた名前である。この投票結果をマヤ様も見ている。「ふん。うちの黒犬akatanが勝つに決まっているわ。私の分身が他の等身大ドールを駆逐するのよおほほほほ。」マヤ様は早速他の応募写真も見だした。虎柄のビキニを着せているドール、可愛い幼女とミニドールの写真、ビールを飲むレースクイーンの写真やうさみみドールの写真など様々である。このフォトコンの第一次審査結果のページを亜美とトキ君達も見ている。「やったー。第一次審査通過したね。おめでとう。」「ありがとう。等身大ドールは初挑戦だから通過できるとは思っていなかったから嬉しいよ。亜美ちゃんのポージングアドバイスのおかげだよ。」トキ君が応募した写真はみゆうちゃんがデートでレストランでサンマと松茸(レプリカ)料理を目の前にして微笑んでいるというものである。「この写真かわいいね。みゆうちゃんとっても嬉しそう。」「こんな子と本当にデート出来たらいいなー。」「私もこんな綺麗な女性とデートしたいなー。ってライバルね!。」亜美が微笑んだ。
「こんなにリアルで綺麗でかわいいドールちゃんがもっと安価で大量に売り出されたら本当に恋愛しなくなる男の子と百合が絶対増えるわね。私たちはその先駆けになるのね。反恋愛同盟が世界中に広がるわね。」亜美は百合なので可愛い女性ドールを愛する人の気持ちがわかるのでトキ君達に共感している。亜美は黒犬akatanの応募作品もじっと見ている。恩人であるマヤ様にも勝って欲しい、しかしトキ君達が応募した作品にも優勝してほしいと思っている。複雑な心境に揺れ動いている。「亜美ちゃんもマヤ様ドールが気になるんだね。確かに綺麗な人だよね。このドールも本当に良くできている。コリャかなわないかな?。」亜美は無言でじっとマヤ様ドールの写真を見ている。
翌日、第二次審査が開始された。今回もネットでの投票で決定する。最終的に黒犬akatanとトキ君達の作品が最終審査対象となった。マヤ様と黒犬akatanは審査結果をじっと見ている。「トキとかいうやつが9500票で黒犬akatanが9500票!同点じゃないか!。」マヤ様はまだ投票していない信者達に投票をするように指示を出した。その指示が亜美にも届いた。「あ!マヤ様から投票の催促が着たわ。どうしましょう?。」亜美はまだどちらに投票するか決められないでいた。「このままどちらにも投票しないようにしようかしら。」亜美はマヤ様の指示を無視する事にした。スマホを待ち受け画面に戻した。待ち受け画面はトキ君からもらったドールの写真にしてある。亜美はその待ち受け画面を見つめている。「純粋な気持ちで作ったドールは本当にかわいいな・・・。」さらに翌日。昇天ドールのフォトコンテストの結果が出た。優勝はマヤ様レプリカ等身大ドールを撮影した黒犬akatanである。マヤ様は早速そのコンテストの結果を手下にYOUTUBE向けに動画作成させて発表した。「おほほほほ。私の分身が優勝したわ。私の美しさが他のドールに勝ったのね。」1万人の信者を使って投票させたので勝つのは当たり前である。しかし指示を守らなかった信者が一人いた。マヤ様はその投票の指示を守らなかった信者を摘発した。私設教育機関でその信者の裁判が行われている。「被告!田中亜美を連行しろ!。」施設長氷室空子が叫ぶ。全裸にされた田中亜美が施設内の簡易裁判所に連行された。「お前はマヤ様に恩義がある身でありながらマヤ様の指示を無視して事もあろうに敵側に投票するという憎むべき裏切り行為を行った!。よって奨学金を打ち切って信者を除名する。以上。最後に言い残す事は無いか?。」亜美は微笑みながら答えた。「私は生まれつき百合だけど今度生まれ変わったらトキ君みたいな男の子と恋がしたいな。」空子は鬼のような表情となった。「連れていけ!。」
数日後、某私立大学。ドール同好会部室。「この間のドールコンテストは惜しかったなー。まあ次があるさ。それまでみゆうちゃんがうちらの恋人だ。」「そういえば最近亜美ちゃん来ないけどどうしちゃったのかな?。」トキ君が尋ねると会員はすぐに答えた。「トキ会長知らないのですか?。亜美ちゃんは大学を辞めて実家がある北海道に帰りましたよ。」トキ君はものすごく驚いた。「なんだって!。なぜ・・・さよならも言わずに・・・。」トキ君はあれほど仲良くしていた亜美ちゃんが突然別れも言わずに去っていったことがショックだった。交換したメールアドレスも音信不通でインスタのアカウントもいつの間にかなくなっていた。「女心って分からないな。やっぱり俺の恋人はドールだけだな・・・。」トキ君はとてもさみしそうに等身大ドールのみゆうちゃんを見つめる。
一方、ここはマヤ様のマンション。マヤ様はコンテストで優勝したマヤ様レプリカの等身大ドールを動画にしてYOUTUBEにUPしている。その様子をスマホで確認していた。するとマヤ様の表情が鬼のように恐ろしい表情となった。「なにー。私のレプリカ等身大ドールの方が本物のマヤ様より綺麗で美しいだとー!。私のレプリカが他のドールに勝ったのに私自身がレプリカに負けたというのかあ!!。」マヤ様はスマホを床にたたきつけてハイヒールで踏みにじった。またしてもドールに負けたマヤ様だった。
END