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新コンプレックス Vol.4

ある稼動の悪い日に、由布院駅の観光案内所から電話があった。
「今日、空室はありますか?」
「ハイ、ありますよ!」
「では、ご紹介しますね!」

年配のカップルを紹介いただいた。
そこまでは、いいのである。

その日の夕方、
例によって、私一人でフロント番をしていたのであるが、
色々あって(内線で呼ばれたり)、
ちょっと席を外したりした時間もあったのは否めない。

フロントに戻ると、正面のエレベーターから女性が凄い形相で私に向かって突進してきた。
今日、案内所から紹介いただいた方である。
マジやばいと思った!
何かあったのは、空気が伝えてくれた。

「ちょっと。ここどうなってんのよ!?何回電話しても繋がらないし!!」
「あっ、すいません。ちょっと他のお客様から電話をいただき、対応していました。申し訳ありません。」
「なんで一人なのよ!おかしいんじゃないの?」
そう言われれば、グーの音も無い。

「ここの夕食、酷すぎるわ!鍋の出汁が味がしなかったのよ!あれ、本当に出汁なの?水じゃないの?とても食べられたものじゃないわ!」

そのゲストは、部屋食を希望され、部屋に料理を運んだのである。
一旦、そのプンプン怒っている女性とお部屋に行き、ご主人と思われる方にも話を聞いた。
「出汁に味が無い!」と、二人揃って、その一点を攻めるのである。

こちらから、「鍋を作り直しましょうか?」
と提案するも、
「もう、いい!しかし、お腹が中途半端なんで、なんか作れるか?」
「分かりました。」

その時間、既に料理人は帰っており、
しかし、緊急事態であり、料理長に状況を伝えて出てきたもらった。

「お客様は、1人前でいいので何か「ご飯もの」が欲しいそうです!」
というと、うどんでも作ろうか!と作ってくれ、私がうどんを部屋に持って行った。

この案件、ただのクレーマーだったのか? 本当に怒りを買うくらいの料理だったのか? 今となっては真相は分からない。

ただ、その後、まだ採用になったばかりの料理長が
「お疲れ様でした!これ、食べてください!」と豪華な寄せ鍋を私に用意していたのであった。

私は、その後、観光案内書からの紹介は受けるな!と指示を出した。
旅館のオペレーションは、ややこしい!色々と闇があるのである!


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ササピー
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