失恋して落ち込んだら異世界に来たので世界を救うことにした第四話
翌日の朝
私は修練場というところにメイドのレトさんに連れられてやってきた。
修練場というにふさわしく的あてや剣などが並べてある。そういうものとは縁の無い生活を送ってきたから何だか不思議な気分だ。
「レトさんここに魔法を教えてくれる方が来るんですよね?」
「はい。もうすぐ来るはずですが、、、すみません何分、魔法騎士様は有名な遅刻魔でして、、」
どどっどどど
ん?なんか音がするような、、、それもどんどん近づいてくる、、
「来ましたよ。ゆかり様」とレトさんがいうと遠くの方から人が走って来たのだとわかった。その姿は茶髪のスポーツお兄さんみたいな感じだ。
その人が私の目の前で止まった。
「おはようございます!レトさん!勇者様はどこでしょうか!魔法を教えてくれとの殿下から命令でやってきたのですが!」
何とも元気な声だ。まあ勇者ここにいるけどね。まあ私より頭、二個分くらい身長は違うから見えなくて当然ちゃ当然なのか。
「ジャック様、貴方の目の前におりますよ。」
「あのう、一応私が勇者なんですけど、、」
ジャックと呼ばれた青年は驚いて青ざめた顔で下を向きやっと私の存在に
気がついたようだ。
「すみません!気が付かず!勇者様がこんなに可愛らしい方だとは思いもせず!」と言い頭を撫でられた。
それは身長のことだろうか。いや外見か?日本人は見た目の年齢が若くみられると思うけど、、まさか子供だと思って、、、
と思っているとレトさんがジャックさんの頭をごちんと上から拳を降らせていた。
「イッタいですよ!レトさん!」
「当たり前です」レトさんの笑顔が怖い。
「何でまた遅刻してるんですか!あとゆかり様に失礼でしょうが!」
「いや遅刻したのは走るのがついつい楽しくなってしまって、、そのうち時間も、、、でも失礼なことはしてませんよ!」
お、開き直った。
「しましたよ!いきなり女性の頭を撫でるなんて失礼にも程があります!」
まあそうだね。初対面だからね。
「それは、、、すまなかった。」と小声でジャックさんが言う。
「私にじゃないですよね?きちんとゆかり様に謝罪してください」
怖い怖いって目が全く笑ってないよ。
「あのそこまでしなくても大丈夫ですよ何も怒っていませんし、、」
と二人の間から手をあげて抜き出てみた。
とジャックさんが私の手を両手で握りしめた。
「勇者様は心の広い方ですね!ありがとうございます!」
と、ドンとジャックさんの頭に再度、拳が入った。
「イッタいですってレトさん!」
とジャックさんがレトさんの方に目をやると笑ってない。
数秒ジャックさんが黙り、私の手を解き、90度の角度で
お辞儀をし
「「すみませんでした!!」」とかなり大きい声で言った。
「改めまして、勇者様。魔法騎士長のジャックと申します!以後よろしくお願いします!」明るいというか眩しい。明らかに自分とはタイプが真逆だ。
大丈夫だろうか。などと思っていると
「ゆかり様。ジャックがまた失礼をしたら私に言いつけてくださいね
きっちり後で叱っておくので!」
「あはははは、、、」
いや苦笑いしかできない。
「レトさん怖いですって、、、」
もうジャックさんが怯えてる、、、ここはもう話題を変えてみるしか無いか
「で、今日、何ですけど魔法の練習をするんですよね?」
「まあそんなところですが、、殿下から勇者様は魔法を一度しか使ったことがないとお伺いしてますが、、今、使ってみることってできますか?一度、みてみたくて。」
「あの、こないだ魔法を使ったのが初めてで魔法が出ないかもしれないんですけどいいですか?」
「はい!一度やってみてください!的なども使っても大丈夫なので!」
私は的の方に向き考えた。えっと<強火>だったよね気持ちをこめて、、、
なんて思ってると振ったやつのことを思い出してきた。
え、今までいい感じだったよね?何で私のこと振った?
はぁ?もうそんなん
「「意味わかんないわーー」」
と渾身の声で言い放つと
的が吹き飛び地面が抉られた。お母さん私、魔法使えるみたいだよ。
後ろを振り向くとジャックさんはあんぐりと口を開けレトさんはにっこり笑ってる。
「何なんですかこれ!やばいじゃないですか!」
ジャックさんが興奮気味で話す。
「いや私も初めてなので、、ていうか色々壊しちゃって申し訳ないです!」
「いやそんなこといいんですよ!殿下から強い思いを持って言葉を言うと魔法が使えるとは聞いていたのですが何を思って魔法を出したのですか!?」
ジャックさんの顔がグイグイ近づいてくる。のをレトさんが手で遮ってくれ
「近すぎです。」と一言。
「ああ!すみませんでした!いあ〜興奮してしまって!」
とジャックさんが少し下がってくれた。
「それでどのような感じで、、、」
これ言わなきゃいけないパターンかな?そうですよね。何となくわかるけど
これ言うと色んな人に伝わるんじゃないかな〜なんかそれ恥ずかしくない?
「じゃあ、ここだけの話だけで誰にも言わないと言うことだったら構いませんが」
「そうですね、、殿下には報告しなくてはならないのですが、、、」
「いいではありませんか。そこのところはジャックがうまく誤魔化してくれますよ。誰にも聞かれたくないことなど人間一つぐらいはありますから。ましてやプライベートなこととなれば尚更。」
とレトさんが言うとジャックさんがまるで俺が何とかするの!みたいな表情になってる。
「はい。じゃあ俺がどうにかします。」
レトさんに頭が上がらないのかなジャックさんって、、
「わかりました。それなら、、少し話が長くなりますが、、」
と異世界に来る前の振ったやつとの思い出話をした。
「なので、そう言ったのですけど、、」
「「・・・」」
二人とも黙っちゃた、、話が少し重かったからな、、、
「いやでも今はここに存在すらしていないのであまり気にしてないというか、、」
と私が言うと、ガバッとレトさんが抱きしめてくれた。
「ゆかり様!辛かったですね、、、私がそいつに一発ビシッと言ってやりたいくらいです!」
「いや、でも友達と言われればそうだよな。俺もそれくらいは行ったかもな、、」
「「ジャックさんは黙っててください!」」
とジャックさんの方を向いてレトさんと言うと
衝撃波みたいなものがジャックさんに当てられ少し飛ばされてしまった。
え、、、まさか、、
「ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
「ああ、大丈夫です!伊達に鍛えてませんから!でもこれも勇者様の魔法なんですかね。さっきとは違って威力はそこまでではないように思えますが、、、」
と立ち上がりながら言う。
「それにジャックにだけ当てられたようにも見えますね。先ほどのように地面を抉るほどのものではないですが。」
と冷静に分析するレトさん。
「てことは今のはそんなに気持ちが大きくないっていうことだと思うんですよね。ほら、俺たちはまだ会って間もないじゃないですか。
受けた時に心の方にもなんかちくっとしましたし、となると気持ちのコントロールが重要かと思うんです。気持ちで魔力を動かしているようなもののように見えるので!」
気持ちね、、多分だけどうまくできる気がしない。いつも落ち着いたように話してみせるけど実際、結構、感情の起伏は激しい方だと思う。
「大丈夫ですよ。ゆかり様!ジャックはこう見えて魔法騎士団長ですから
魔法にことに関しては安心して任せられますから!」
「こう見えては余計ですけど、、、レトさん、、勇者様が魔法が上達できるように頑張りますのでよろしくお願いします!」
期待のオーラがすごいけどね。頑張るしかないよね!
「はい!よろしくお願いします!」
「では今日はここまでにしましょう!ゆかり様も大量の魔力を使ったせいで疲れているように見えますので!」
確かになぜか疲労感が強い。運動した訳でもないのに、、、、なんて思っていると
「では宿題を出しますね!」
え、学生以来、宿題なんてしたことないけど、、
「勇者様の中で気持ちが揺れ動くことを三つ考えてきてください!何でも構いませんので!で、明日会った時に教えてください!」
「わかりました、、、」
「では私は殿下に報告もあるのでこれにて失礼します!」
と言って走り去って行った。
「では、私たちも戻って休憩にしましょうか?」
「そうですね」
と自室に戻って行った。