失恋して落ち込んだら異世界に来たので世界を救うことにした第八話!

私が魔王城に行くと言ってから二日が経った。
あの日の夜。リバーから様々な事実を聞かされ、驚き、、、は
あまりしなかったけど、話の勢いのまま、
「魔王城に行く!行くったら行くの!」とまるで子供が駄々をこねるように言ってしまった。もうちょっとマシな言い回しは無かったのか。
25歳が言う言葉じゃない。見た目的にはいいかもしれないけど。
それから、急に二日後に行くことになってしまったので、色々と大変だった。まずはレトさんに叱られた。一番に報告したんだけど、、、
「何で行くんですか!?こんなに早くなくったっていいでしょ!?」
と言われてしまった。この世界にもこんなにも心配をしてくれる人がいてとても嬉しい。もちろんリバーもだけど、、
「でも、もう決めちゃいましたから」と言うとそっと抱きしめてくれた。
次に、ジャックさんに伝えた。こちらはレトさんとは対照的に
「じゃあ、今日は総まとめですね!俺の伝えられることは今日中に全部お伝えします!」と元気いっぱいで明るいジャックさんらしい感じだ。
その日はガッツリ動くと言うよりテストみたいな感じでいつもより少しはやい時間に終わった。
それからリバーから説明、準備、、、なんて過ごしてたら一日が一時間で終わったような感覚だった。

そして、今。
私はささやかながらの出発式を終えて、魔王城の目の前、、、ではなくマジック国の山間部に来ていた。ここはもう魔王城の近くであるが何も見ることはできないと言ってもここにいるのは私一人じゃない。
王太子リバーを筆頭にレトさん、ジャックさんの計四人。ゲームでよくある勇者パーティみたいな感じだ。何でメイドのレトさんがいるかって?
それは、、後から聞かされた話。レトさんはメイドとしてだけではなく私の護衛としてもつけられた存在だったそうな。その実力は指折りだそうで、
ジャックさんが影の騎士団長はレトさんだと思いますよ!と言っていた。
暗殺やら勇者を守るために隠していたそうな。
ここまではリバーの魔法である瞬間移動を持って移動した。だから疲れはあまりない。 

するとリバーはこちらをみて「今は何も見えないけどここから入っていけば魔王城がすぐに現れる。心の準備はいい?ゆかり様。」
そんなのもう決まってる。
「大丈夫!行こう!」
こんなこと言うなんて自分が物語の主人公だと錯覚してしまいそうなセリフだけど、私は今は勇者だ。あいにく強固な鎧も銀色に輝く剣も持ち合わせていないが、、、そう、鎧のサイズが合わなかったからね。服はどうにでもなったがそこはどうにもならなかった。なので少しの強化魔法が入ったシャツにズボンスタイルだ。場違い感が半端ないけど。

私以外の三人が頷くと「じゃあ」と言いリバーから続いて一歩踏み出した。
踏み出すとそこには紫が掛かったオーラを放った何とも魔王城らしい建物が
現れた。周りの景色も何だか不気味な感じだ。
「the魔王城だ」
「僕も初めてみた。まるで別の世界に来たみたいだ。」
「俺もびっくりです!こんなのがマジックの中にあったんですね!」
とリバーに続いてジャックさんが言うとジャックさんの頭に拳が落ちた。
「声が大きいです。すぐに見つかったら計画が全て台無し」
「すみませんレトさん、、、」と言い近くの木陰に隠れた
この計画というのがまずは国王を探し、助け出す。無事救出した上で
安全が確保される所に避難させそこからは魔王と直接対決。
なんて単純だけど、なかなか難しい。
「国王様はどちらにいるのかな?ここまで広い場内を探すのは結構な時間がかかるし、体力もいざという時のために温存しておきたいし。」
そう、体力を強化したとはいえ私の体力は少ない。なるべく手短に終わらせときたい。

「それなら大丈夫。レト。お願い。」
「はい。王太子殿下」
レトさんはリバーにそう言われると地面に手をつけ目を瞑った。
「地下に国王陛下がおられると思われます」
へ?今のでわかったの!?
「レトの魔法は自分の知っている魔力なら探知できるから」
「すごいですね。」
「いえ。それはどではございませんよゆかり様っ」
とは言っているものの嬉しそうだ。
「とはいえ地下か、、となると裏道ルートがわからないんで正面突破しかなさそうか。ジャックはどう思う?」
体力ゲージがすぐ無くなりそうな予感、、、
「多分、こちらが来ていることもバレるのも時間の問題かと思いますが、、、
ここは俺の出番かと思います!俺の魔法で一階部分を切り抜けます。その間にレトさんに探知してもらいながら国王様を探すのはどうでしょう?」
「それしか方法としては残されてなさそうだ。その案で行こうと思うが
これでいいか?」
「同意します」
「はい。大丈夫です」
そういうのはわからないからもう私的にはお任せコースなんだけどね。
「じゃあ行ってきます!」と言いジャックさんは自身の足に触ると
リバーがジャックの方に手を置き
「ジャックあくまで平和的な解決だからな魔族にあっても気絶させるだけだからな」と言った
「了解です!では!」と言い高速で魔王城の入り口である門まで走り去っていった。
「では、私たちもいきましょうか」とリバーに促され門まで走っていく。
しかし、ジャックさんが騎士団長とはいえ大丈夫だろうか。一人対大勢じゃあまりにも不利すぎる。
それを見透かされてしまったのか
「そんな不安そうな顔をなさらないで下さいゆかり様ジャックは大丈夫です
騎士団長ですし、実力はこの国1強いですからそこは私も認めてますから」
なんてレトさんから聞いているともう門が見えてきた。
そこには門番であったであろう骸骨が倒れていた。
「これが魔族、、」
みた感じもう人ではない。
門の中に入るとたくさんの魔族が倒れていた。その数ざっと100ぐらい。
これを一人でやったと思うと単純にすごいと思う。

ドドド、とジャックが走ってきた。
「一階部分の魔族は全部気絶させました!あと走っている途中に地下への階段も見つけてきました!」
「ジャックのくせにやるじゃないですか」とさっきの私へ向けた態度とはかけ離れた態度を見せる。
レトさんに褒められたのが嬉しいのかニコッとジャックさんは笑っていた。
「じゃあ、そこから行こうか。ジャック案内頼む!」
「わかりました!殿下!」
と言いジャックが先導して長い廊下を走るとそこに地下へと繋がる階段があった。
そこを降りるとジャックが止まり
「見張がいます」と小声で言う。
「ここは私がジャックばかりカッコつけるのは嫌ですからね」
とレトさんが前に出る。するとどたっ
「片付きました」
一瞬の早技だ。
地下の中は灯りがついているだけなので暗い
ここには牢がいくつもあるが何も捕らえられていない
「レト。国王様はこの近くにいらっしゃるか?」
「はい。もうすぐそこです」
レトさんについていくと、こじんまりとした独房があった中の様子は鉄の扉なため見えない。
「ここです」
「この中に国王様が、、、」リバーも緊張した面持ちだ。
「鍵なんてものはないしどうする?リバー?」
「そうだね、、」と少し考えるように言うと
「勇者様!出番です!」と元気のいいジャックの声がする。
「私ですか!?」
「そうです!勇者様の魔法であれば鉄の扉くらい吹き飛ばせますよ!」
なんか怪力なやつみたいじゃないか。でも、、、これまでのことを思いだすといけるかもしれない。
「やってみます!」
「では勇者様!中くらいでいきましょうか。今までの特訓の成果の見せ所です!今のお気持ちをどうぞ!」
「私が勇者なのにーージャックさんの方が勇者っぽいんですけど!」
と言い放つと鉄の扉はあっけなく破壊された。
「そんなこと思ってたんですか勇者様、、、」
ジャックは苦笑いしてる。
「扉と共に俺のハートも砕けたような、、、」
「ごめんなさい!」
「あはっ大丈夫ですよ〜勇者様〜」
そんな会話をしていると目の前に白い囚人服のようなものを着た髭の長いおじいちゃんが出てきた。この人がもしかして
「これでわしも自由の身!」とかなり大きな声を出してと同時にリバーに口を押さえられていたが。
「モゴモゴなんじゃ誰なんじゃってあれ、リバーじゃないか」やっとこちらに気がついたようだ。遅い。
「父上ご無事で。でも今はあまり大きな声を出すと他の魔族にバレてしまうのでお静かに」
「ああ、すまん。でなぜここに来たんだ。騎士団長にメイド長まで引き連れてあとはどなたかの?」
「父上を助けるためと、魔族との交渉をしにです。あとその方はゆかり。勇者です」
「勇者、、、、禁書に手を出したな。、、、あれはいかんと幼い頃から教えたわけだが忘れたのか!」
かなりのお怒りである。止めることはできないけど。
「忘れてなどおりません!ただことがことだったので、、、」
と国王から視線を逸らすと
「それを何とかするのが王のつとめ一時の感情に惑わされてはならん!」
この話、永遠と続きそう。ここらで止めないと、、、あ、、、
私が後ろを見ると骸骨と目が合った。
「皆さん!話てる場合じゃないみたいです!後ろ!」
「魔族!父上逃げますよ!みんな手を僕に」と言うと一階部分まで瞬間移動した。
「レト!父上を連れて魔王城の外の安全なところまでお連れしろ!」
これじゃもうバレている。早く魔王のところにいかなくては国もどうなるかわからない。
国王も観念したのか
「勇者様。息子がすまないことをした。これのことはまた後できっちり叱る
どうか我が息子をよろしく頼む」
と王様らしくないお辞儀をした。
「もちろんです。全員で必ず帰るのでその時また紹介させてくださいね」
「ああ。リバー。魔族との交渉はわしがすべきことなのに任せてすまん
良き結果を期待している」
ただの優しいお父さんじゃん。
「任せてください!必ずやいい結果を持って父上のもとに帰るとお約束します!」
「ゆかり様、、、どうかご無事で。このレトもお待ちしております」
「はい!レトさんもどうかご無事で!」
と言い私たちは魔王がいるであろう上に登り続けた。

だが階段なので疲れは出るそれに襲ってくる魔族もいる。
もう疲労困憊。誰かエレベーター欲しいんですけど、、、

「はあっ、、、」
「ゆかりどうした?疲れたか?」
おっしゃる通りだけど、ここで「はい、そうです」なんていえない。
「ううん。大丈夫。早く行こう!」
と言うと足が宙に浮いたリバーがお姫様抱っこしてくれたのである。
「大丈夫だから!一人で行ける!」
「いやだめ。魔王に会ってこんな疲労困憊じゃ魔法も碌に出せなくなる。
ジャック!悪いが一人で道を開いてくれるか!?」
譲らないな〜正論ちゃ正論だけどさ
「わっかりました!このジャックにお任せください!」
と言いどんどん前に進んだ。

そして登り進めると目の前に初めの門と同じような扉が見えた。
多分ここが魔王のいるところだ。ここだけ禍々しさが他のところと比べて別ものだ。
「そろそろ下ろして。ここ多分魔王がいるから。」
「ああ、そうだね」と言い下ろしてくれた。
「緊張の瞬間ですね!ワクワクします!」ジャックはニコニコしている。
「じゃあ、行くか」
と重い扉を開いた。


そこは大広間だった奥に椅子に座っているのが魔王だと思われる
人間の顔にツノが生えてマントを被っている20代くらいの男性ぽい。魔王の隣にもフードを被った人がいる側近だろうか
周りを見渡すとたくさんの魔族がこちらを見ている。これで交渉がうまくいかなかったらジ・エンドだ。
「魔王!父上は返してもらった!」とリバーが言い放つと
「わざわざそれを報告しに来たのか。おめでたいやつだ。」
人質のことは気にしていないのか?
「僕はここにお前と交渉しにやってきた!」
ケラケラと周りから笑い声が聞こえる。
「交渉?今になって何を交渉すると言うんだ!?散々我ら魔族を蔑ろにしたお前らが!」
そうだよね怒る気持ちもよくわかる。さてリバーはどう出るか
「我々と一緒に暮らしてみないか?」
「は?おかしいことを言うなお前は頭にお花畑でも咲いているのか!」
「いや、最初はもちろん苦戦するだろう。皆、魔族という存在すら知らないからな。だが時間をかければ、きっと一緒に暮らせると僕は思う!
お前らも僕らも同じ感情がある人間同士だって争うでも仲直りすることもできる。だからきっと!」
その瞬間、魔王が立ち上がりリバーに剣を向ける。
「聞くに耐えん!それはタダの夢物語だ!ここで俺はお前を倒し、勇者も倒しマジック国を我が物として他の魔族らと共に光を浴びて生きるのだ!
行くぞ暗黒勇者!」
魔王との最終決戦だ!て、、勇者?私だけじゃなかったの!?しかもなんか中二病くさい名前。
「そちらに勇者がいるとの報告を受けてなこちらも魔王に伝わる魔法で呼び出したのだ!」
そう、魔王が言い終わると、隣の人がフードをとった。薄暗くてよく見えないけど私と同じ人間、、、、ん?なんか見覚えあるような、、、あ
「どうしてこんな所にいるの!?ゆうと!」
「え、、ゆかりさん?」
それは最近私のことを振ったゆうとだった。
「二人知り合い?」リバーがこちらをびっくりとした目で見る。
「知り合いというかその、、ほらあの人だよ」
「ああ、、、」
「勇者様を振った人ですね!」
「ジャック声が大きい!」
「でも何か効いてますよ」
目の前のゆうとはやっちゃたみたいな顔をしている。
「そこ!どうでもいいが行くぞ!」
と言い魔王がこちらに襲いかかってきた。もちろんゆうとも
こちらは渋々だが
「勇者は私が相手します!二人は魔王をお願いします!」
と言い私はゆうとの方に向かった。タダ戦わないといけない雰囲気なのでまずは、、
「なんでいるの!」と一声それは大きな衝撃波を生んだ。
ゆうとの近くまで来た途端
「呼ばれたからだよ!」と言うと大きなバリアが生まれた。
まさかとは思うがゆうとの魔法は私と正反対。攻撃が防御になっただけか!
「なんで、私とデートに行くみたいな所二人で行ったの!?」
「それは、、友達だから。」
「異性の友達とはそんなとこ行くわけないでしょ!」
「そんなことないんじゃない」
私たちは世界の命運なんて忘れてお互いに言い合ったと同時に攻撃を打って返して避けての繰り返しだ。
そんなことをどのくらいやっただろうか。

「わかった。もう友達ってことで。いい人見つけるから。」
「そうしなさい」
と話に決着がつくとリバーとジャック魔王が三人揃ってこちらを見ていた。
え、なに、はずかしっ
「なんかこんなの見たらどうでもよくなってきた。人間。俺らよりバチバチに争ってるじゃん」
争うっていうかタダの喧嘩、、、、には見えないか。
「俺らも仲良く出来るか、、、」
「ああ、出来るさ勇者たちが今見せてくれただろう?」
「そうか」

なぜか私たちのタダの喧嘩を見て解決しそうだ。
「これでいいのかな?」とゆうとのほうを見る
「いいんじゃない。丸く収まったみたいで」



この事態が終わり魔族の存在はマジック国の国民全体に知れ渡った。
最初こそ、困惑したものの街の中に魔族たちもうまく溶け込めるようになった。
私はというと帰れる方法は国王様から教えてもらったがここに残ることにした。ゆうとは元の世界に帰って行ったが。
「どうしたんだ?こんな夜にバルコニーなんかに出たりして、風ひくぞ」
「いや、最初に会った時を思い出してただけ」
私とリバーは婚約をした。国王様が褒美を聞かれた時にリバーが真っ先に
私と婚約したいなんていったから。
これはハッピーエンド、、なのか?まあでも、この先長い時間を一緒に過ごせるのは嬉しい。

めでたしめでたしと言うことで私の少しの冒険が終わった。





















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