その3「ここは隔離病棟。」

案内された部屋は異質だった。

頭の高さより高く立ち上がったフロア材
ステンレス製の上蓋のない水洗トイレ
敷かれている薄い布団とマットレス
鍵がかかって全く開かない北向きの窓
二重窓の間に挟まったデジタルの小さな置き時計
扉は見る限り内側から開く様子もない

そうか。これが話に聞いていた隔離病棟か。

窓から見える鉛色の空と濃い緑の芝生を眺めながら改めて違う世界に来た事を何となく理解する。時計は12時を少し回っていた。

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