見出し画像

面白い作品にするための、キャラクター作りのコツって?~前編~

割引あり

「何であんなに魅力的なキャラクターが作れるんだ!」
 そう思い悩んでいる、そこのあなた。
 ちょっと寄っていきませんか?


 「はじめまして」の方もそうじゃない方も、こんにちは。
 私、2023年3月に角川ビーンズ文庫より小説家デビューしました、現在商業作家歴1年半くらいの、野菜ばたけと申します。

 実は先日、2024年7月25日に3シリーズ目、5冊目の商業小説を出版しました!

 「これからも可能な限り、小説を書いて本にしたいな」という野望を持ち続けたいなと思ってるお年頃です。

 さて、そんな私の『可能な限り一般的なものから一歩踏み込んだ創作論』第七弾。
 前回から期間が空いてしまいましたが、有料記事の購入が細々と続いているのが嬉しくて、「書くぞ!」という気になりました。(ちょっとだけ暇ができた、というものある。笑)

 というわけで今回は、物語の綴り手にとっては永遠のテーマとも言える「面白い作品にするための、キャラクターづくり」について、書いてみようと思います。

★他の「面白い」シリーズは、こちらから。

※先に読むも読まないも、読者様にお任せします。

【こんな方にオススメの記事です】
・初めての小説を書き始めたい方
・小説を書いているものの、いまいちキャラクターが生き生きとしない・キャラクターの魅力不足と言われた方
・執筆活動に行き詰まっている方
・その他、物語の書き手かつお暇な方

など

 は、試しに読んでみてください。
 これから書く事をその通りにやって、100%成功するという保証はありません
 しかし「そういうやり方もあるんだ」と知っておくだけでも、少なからず貴方の執筆の糧になるのではないかと思いますのでね。

 ちなみに、これまでの『創作論シリーズ』はこちらです。
 お時間のある方、ご興味がある方は是非チラッと覗きにいらしてください。



1.面白い作品のキャラクターとは

 面白い作品について論じる時、決まって話題に出るのがその作品のキャラクター。
 作品のストーリー性につくファンももちろん存在しますが、それ以上にキャラクターのファンだという方は多いのではないでしょうか。

 そのキャラクターがいるから、その作品が好き。特にSNSにキャラクターイラストによる二次創作が定着して以降は、そう主張するファンの方は、かなり多く見受けられるようになったと思います。

 面白い作品を作るためには、その作品のストーリーと、そこで生きるキャラクター。どちらが欠けてもいけません。
 両者の相乗効果を以って、初めて作品が盛り上がると言っても過言ではない。『キャラクター造形』というのは、それ程までに重要なファクターです。(※1)

 しかしだからこそ、キャラクターを作る事に難しさを感じている方もいるのではないでしょうか。
 実際、魅力的なキャラクターを作るのは難しいです。しかし作り方を知っていれば、貴方が感じているそのハードルも、かなり下がるのではないかとも思います。

 何事も、知る事こそ力……になる事も往々としてあるのが、今私たちの生きている世界です。
 なので今回は、魅力的なキャラクターを作るためのチェックポイントを綴っていこうと思います。

 ※1 俗に『世界系』と呼ばれる作品ジャンルや、推理やトリックが作品の楽しみの一つである作品、SFなどの世界観自体が作品の面白さになり得る作品などの場合は、そちらの作り込みも『その作品が面白いかどうか』の判断基準に含まれますが、今回は分かりやすさのためにそちらは敢えて割愛して記載していきます。 

2.いいキャラクターの条件

 まずは、キャラクターを作る創作者なら誰も一度は聞いた事がある、当たり前の事。
 しかしこれが土台になければいいキャラクターなんて作れる筈もないという内容を、上げてみようと思います。

2-1.初級編(性格)

 キャラクターを作る最初の取っ掛かりとして一番簡単なのが、そのキャラクターの性格でしょう。

 嘘が嫌いな性格、嫌な事はのらりくらりと躱す性格、無口だけど胸に熱い思いを抱いているキャラクター、etc。
 何でも構いません。まずはそのキャラクターの主性格を一つ作ってみましょう。

 主性格は一つに限定してください
 そのキャラクターの何よりも大切な物事。それを作中でしっかり読者に伝えられるかが、分かりやすいキャラクターを作るためには必要です。

 純文学やそれに近いジャンルの作品は横に置いておいて、大衆作品の大半は、デフォルメされたキャラクターの方が、読者にとって分かりやすく、個性的に映ります
 また、一本芯の通ったキャラクター、終始自分の大切なものがブレないキャラクター性は、最初についた読者のキャラクターへのイメージを悪い意味で崩す事を防ぎます。
 いい意味での変化はストーリーでしっかりと補完し、悪い意味での変化(作者が意図しないキャラクターのブレ)は防ぐ。そのための予防を、キャラクターづくりの段階からしておきましょう

 ✅初級編(性格) チェックポイント

 もしすぐに主性格が定められないようであれば、熱血系、冷静(冷笑)系、武力系、知能系、ボケ、ツッコミ、トラブルメーカー、説明役など。系統や役割で考えても大丈夫です。
 一つの作品に同じ系統のキャラクターばかりが存在するとキャラ立ちしなくなってしまう(※2)ので、もし「どうしても好きな系統のキャラクターが多くなっちゃう」タイプの創作者さんである場合は、系統別にキャラクターを分けて、作品内のバランスを考えながら作っていく事をオススメします

※2 読者に好いてもらえるようなキャラクター作りには、キャラクターが他のキャラクターの中に埋もれない個性を持っている事や目立つ事、つまりキャラ立ちが必要不可欠です。個性を持たせる、目立たせる方法については後述していきます。

2-2.初級編(外見)

 外見も、最初に手を付けるキャラクターづくりの要素の一つではないでしょうか。
 「別に好きな外見にすればいいじゃん?」と思っている、そこの貴方。ちょっと待ってください。これが意外と奥が深かったりします。

 例えばノリの軽いヤンキー学生のキャラクターを想像してみてください。
 髪が金髪や茶髪だったり、ピアスを開けていたり、制服を着崩していたりしませんか? または、既存作品にはそういうキャラクターが多いと思いませんか?
 それは、「こういう見た目をしている人は、こんな人」という固定観念が、人間にはあるからです。

 その固定観念を利用して、

語らずとも見た目から性格を補完してもよし。

②そんな見た目をしていながら、実は真面目なキャラクターである、弟の面倒を見るいいお兄ちゃんであるなどの、ギャップを活かしたキャラクターにしてもよし。

 前者は保守的に、後者は革新的に、外見を使った印象操作が可能です。
 殊物語において、「語らずともどんなキャラクターなのか説明できる事」というのは、結構重宝します。
 どうやって外見を使うかも考えた上でキャラクターを作っておくと、後のキャラクターをストーリーで生かす時に個性的で印象的なキャラクターにしやすくなるのでオススメです。

 ✅初級編(外見) チェックポイント

 また、服装や人相以外にも、良くも悪くも『色』にはそれぞれ連想される印象が付き纏います

 例えば淡い色にはピュアさ、濃い色には芯の強さが、明るい色には元気さが、暗い色には落ち着きが連想されますし、紫は神秘の色、金色は特別な色、緑色は穏やかな色など、色の濃淡や明暗以外にも、色単体についている印象もあると思います。
 外見を作る際には、是非参考にしてみてください。

2-3.中級編(特異性、特別性)

 魅力的なキャラクターには、特異性や特別性が仕込まれている場合が多いです。

 たとえば

・ちょっと危ない感じ/ミステリアスな感じのキャラクター
・キッパリとモノを言ってのけるキャラクター
・優し過ぎるくらい優しいキャラクター
・ずば抜けて頭がいいキャラクター

など

 初級編でも少し話しましたが、大衆作品においては登場キャラクターは少し極端な特徴を持つくらいがちょうどいいです。
 早い話が「キャラクターに強い個性をつけましょう」という話です。その代表例が上記だと思っていただければいいと思います。

 尚、特異性や特別性を出すための材料は、必ずしも性格である必要はありません。

・特別な生まれや境遇(地位や親、置かれた環境)
・特別な異能(念力のようなものから、目や耳など、身体機能の一部が他より優れている場合まで)

など

 これらの逆張りで、『他より極端に劣っている特徴を持っていて尚、目標や目的に向けてがむしゃらになれるキャラクター』であってもよし
 苦難は、物語を盛り上げるための必須項目です。それが先天的でも後天的でも、物語に活かせるようにストーリーが作れれば、そこでキャラクターづくりは大成功です。

 ✅中級編(特異性、特別性) チェックポイント

 ここで頭が痛い問題があるとすれば、平凡なキャラクターを描きたい場合ではないでしょうか。

 私も過去にそういうキャラクターが書きたくて、しかし没個性になってはいないかと、悩んだ記憶が結構あります。
 平凡なキャラクターは、読者からの羨望こそ得られなくても、共感性の高い人物になり得ます。物語におけるツッコミ役や常識枠に当たるキャラクターは、そういう傾向がどうしても強くなるのではないでしょうか。

 なのでここでは、平凡なキャラクターに特異性や特別性を持たせる方法を書いてみようと思います。

ここから先は

2,280字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?