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年利のひみつ(後編)
実際に実質年利を計算してみよう
前回も記載しましたが、実質年利の計算方法は、「 (元金×年利)÷365×返済日数」です。
この計算式に基づく実質金利自体は、ネット上に無数に存在するシミュレータ等により容易に算出可能です。(例えば、金融広報中央委員会のサイトなど。他にも銀行やローン会社のサイトなど、沢山ありますね)
しかし、この計算式に入っている値が具体的にどういう仕組みになっているのか。そこまで示したサイトは意外に少ないように思います。(少ないというか、今のところ私は見つけられてないです)よって、せっかくなのでそこも可視化した情報を載せようと思います。エクセルで作っているので、実際の行列番号なども参照しながら見てみてください。
なお、この表では前提条件として各月の日数に差異はないものとし、1年365日を均等に割っています。(ご承知の通り、短くて2月の28日~長くて1,3,5,7,8,10,12月の31日と実際は違いがありますから、この辺りはシミュレーターや各社の金利計算テーブルによって細かい違いはあると思います)
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御覧の通り、「(元金×年利)÷365×返済日数」となっていることがお判りいただけるかと思います。(もし分かりづらかったらそれは私の表現力に問題があります)前回も書きましたが元本の減少に伴い、利息もちゃんと減少していっていますね。
もしかしてアドオン金利は高い?
何かこうやって考えると、 実はアドオン金利って、いわゆる実質年利に比べて多く利息を払っているのではないかという気がしますが、その通りです。
アドオン金利で支払う利息の額は、 実質年利でいうと何%に相当するのかを知ることで、その差が明らかになります。 先に述べた、アドオン金利12% での支払利息を実質年利と比較したものを添付します。
前回の冒頭で記載したものと同じ表になりますが、年利12%・返済期間1年間(12か月)は、アドオン金利では1年間で利息が¥14,400、返済合計額が¥134,400になります。
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上記のアドオン金利と同じ利息を実質年利で算出すると、以下のようになります。ちょっと表がややこしいですが…。
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計算方法の関係で若干 (十数円) 差異が出ていますが、 アドオン金利12% は、 実質年利でいうとだいたい21.46% になるというのが、 お判りいただけるかと思います。
一口に金利といっても
ということで実質年利とアドオン金利について整理してみました。 こうして見ると、アドオン金利は計算が容易である一方、 実質年利に換算すると思った以上に高い利率になるということが判ります。
これにより、 消費者にとっては、思っている以上の支払いが生じるという恐れがあることから、 現在ではアドオン金利のみの表示は禁止となっており、実質金利での記載が義務付けられています。
また、 この計算方法の違いによって、 他にもちょっと問題が発生する恐れがあります。それは、上限金利です。前述の通り、借入金額¥120,000、 利息12%、 返済期間12か月をアドオン金利にした場合、 実質年利ではだいたい 21.46%になると記載しました。今後の投稿で改めて記載予定ですが、 これは実は法定金利の上限 (20%) を超えています。
ということで、法律での処罰の対象になりますから、消費者の思い違い云々以前に、このような利息を設定すること自体、法的にそもそもNGということになります。金利と一口にいっても、計算の仕方一つ次第でこうも変わってくるのですね。
実際には
とはいえ、ちゃんとした業者からお金を借りたりローンを組んだりする場合は、先述の通りまず間違いなく実質年利による利息の説明がなされるはずです。 ですので、まず無いとは思いますが、 金利の話をする際には、いかにも一見わかりやすい計算方法を提示されたら、あれそれで合ってたっけ、 と、 ちょっと疑問に思っていただければと思います。
今回は以上です。