ウオン・カウアイの映画<花様年華>を見て来ました
先日日本橋の東宝シネマズでウオン・カウアイ監督の映画<花様年華>を見て来ました。これはトーホーシネマズが午前10時の映画祭としてやっている一本ですが、近頃は観る人が多いのか、夕方や夜もやるようになりました。
あまり大人向けの面白い映画は少なくなってきているし、又、都内の名画座も減り、大人が映画を観たいと思っても観たい映画は少なくなってきています。こういう時こそ過去の名画を特集に組んで見せる良い機会です。
女子高校生向けの映画を観に行って、終わって明るくなったら回りは女子高校ばかかりだったら、私だったら恥ずかしいです。(笑い)そういう映画は女子高校生が見る物なのです。
でも大人で面白い物を観たいという人は沢山います。映画館がそういう現実に対応できないとしたら、それはそれで仕事が出来ないという事になるのではないでしょうか。
<花様年華>はもう何回観たか分からない映画です。ウオン・カウアイの代表作と言っても良いのではないかと思います。何回観ても必ず心が震える様な感動がやってきます。少しも古臭くならないのです。凄いとはこういう事です。
権中納言敦忠の歌に<相見ての 後の思いに比ぶれば 昔は物を思はざりけり>というのがあり、私はこの歌が恋愛を歌った歌としてはとても優れていると思うのですが、<花様年華>を観るたびにこの歌が浮かんできます。
どうしても一線を越えられない人妻と、どうしても強引に迫れない男と女の悲しい恋の行く先は、結局、男がその状態に耐えらなくなりシンガポールへ行ってしまうという結末になります。
流れて行くアジアの男をやらしたらこんな名優はいないだろうというトニーレオンは、最後はやっぱりアジアを流れて行くのです。彼はシンガポールからシアヌーク殿下のカンボジアに渡り、カンボジアの遺跡の穴に自分の思いを語ります。
女(マギー・チャン)は何時も素敵なチャイナドレスを着て(あんなにカラーの高いチャイナドレスなど本当に売っているのかしら。)何時もとても素敵です。男はいつもスーツにネクタイ姿でアジア一の色男とキムタクが絶賛したカッコ良さです。
でも二人の恋愛は上手く行きません。人生は難しいものです。
和歌を紹介したついでにもう一首。これは70年代の学生運動の盛んな時期に読まれた学生女流歌人の歌です。<君が死に 私が生きる二十歳とは 有り余る風 水たまりの花>どういう訳か私はこの歌も忘れられず、よく覚えています。そうい時代だったのです。