デジタル活用支援事業により進むデジタル技術への理解と利活用促進
社会全体のデジタル化が急速に進む中、地域の方々のデジタル利活用に関する格差、いわゆる「デジタルデバイド」を解消していこうという目的のもと、都城市では「デジタル活用支援推進事業」を実施しています。
総務省HPでは、事業内容と目的が上記のように説明されていて、デジタル活用に関する不安を取り除き、誰もが等しくデジタル化の恩恵を受けられる社会を実現するための取り組みとなっていることが分かります。
筆者は令和4年度より、都城市の地域おこし協力隊として、デジタルデバイド(デジタルの利活用に関する格差)の解消をミッションとして活動しています。
都城市では、スマートフォン等の使い方講習会や、デジタルに関することを何でも相談できるよろず相談会を、市内の中山間地域や温泉等の公共施設で実施しています。
デジタルデバイド担当の地域おこし協力隊として、日々活動するなかで、参加してくださる地域の方々とお話しながら感じたことをまとめてみました。
ある日、温泉施設で相談会のブースを設置していたところ、「何が始まるのね」と温泉に入りに来た年配の男性の方に声をかけていただきました。
相談会の内容を説明すると「スマホはよく分からん。今さら習ったところで覚えられないし、ガラケーで家族に電話ができれば、それでいい。」とおっしゃり、その場をさっと離れて温泉へ。
すると2人で話している様子を見ていた、他の年配の男性の方が寄ってこられて「スマホ、よく分からないし、怖いんだけどさ。どうしても息子が持てっていうもんだから…。去年ガラケーから変えたの。変なところ押しちゃって分からなくなっちゃって。息子に聞いても怒られるもんだからさあ…」と、かんたんスマホの基本操作とLINEのメッセージの送り方を聞いて帰って行かれました。
またある日、他の温泉施設で相談会をしていたとき、「ちょっといい?」と年配の女性の方に声をかけられ、相談内容を聞いてみると…
「テレビ見てたら、画面の端にごちゃごちゃっとしたマーク?あるじゃない?QRコードって言うの?それって私のスマホでも見れるの?」と。
QRの読み取り方法をお伝えすると、「ずっとどうやるのかなって気にはなってたんだけど、自分じゃよく分からなくて。お友達にも教えてあげなきゃ。」と笑顔でおっしゃった後、「普段はね、フリマアプリで日向夏とか好きな果物を買って、家族に送ってあげてるの。」「出品者の農家さんがどんな人かって詳しく書いてあるし、もし傷が入ってたら届いてすぐ写真に撮って送れば新しいの届けてくれるし、便利なのよ。」と、こちらが逆にフリマアプリ活用術を伝授していただく時間となりました。
5月20日(土)に高城生涯学習センターで実施された「中山間振興×デジタル化推進シンポジウム」での池田市長のお話の中にこんな言葉がありました。
というような内容で、確かに皆さんスマートフォンは持っていても、自分で必要性を感じて購入された方、家族に言われてしぶしぶ買い替えた方それぞれですし、使いたい・覚えたい機能も人それぞれです。
みんながみんな、デジタルを完璧に使いこなす必要はなく、それぞれのライフスタイルに合わせて、自分が便利だと思う使い方を何か一つでも習得できたなら、それだけで講習会や相談会を開催している意義があるのではないかと感じます。
支援の輪を広げ、多くの人を巻き込みながら活動を広げていくことで、一人一人にきめ細やかなサポートが行き届き、「誰ひとり取り残されない、人にやさしいデジタル化」の実現にも近づいていくと思います。
5月20日(土)のシンポジウムでご登壇された、若宮正子さんが
「88歳の今も発展途上」
とおっしゃっていて、「何歳からでも挑戦できるんだ」というメッセージを、ご自身が体現されていることに深く感銘を受けました。
「分からないけど、行ってみようかな…」
と、勇気を出して講習会場に足を運んでくださったり、興味を持って相談会に立ち寄ってくださる皆さんの、少しでもお役に立てるよう、1回1回の開催に心を込めて取り組んでいきたいと思います。
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