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座敷わらし体験2016年8月・金田一温泉仙養館
スピリチュアルなスクチャイさん 004 岩手 > 二戸市金田一温泉
1.予約の日付が違う!?
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15時頃に宿に着いて玄関の戸を開けるとニコやかな女将さんが出てきたが、
「あれ、スクチャイさん、明日の16日ですよね・・・」
と、訝しげに訊いてきた。
昨日も予約確認したけど、この旅館の予約はお盆の中日の15日のはず。
その予約メールを女将さんに見せようとすると・・・
あれ!? 16日やん・・・_| ̄|○
ガーン! こんな間違い、今までしたことないぞ・・・_| ̄|○
2.東北遠征撮影旅行の最中だった
夜間の星空撮影やドローンの航空撮影のために、2016年の夏は車で東北遠征旅行をしていた。
7月の中旬に家を出てすでに1か月経とうとしていた。
日本海沿岸沿いに秋田の象潟(陸の松島)、青森の龍飛崎やら下北の先っちょの大間崎やら仏ヶ浦やら恐山やらむつ市の夜景やら奥入瀬やら十和田を通り、ニンニクの聖地田子町に立ち寄るなどしていろいろ巡ってきて、約一ヶ月後の今、ここ岩手の二戸市に到着したのだった。
旅行中は駐車場が無料で設備などの勝手も知っている全国チェーンのルートインホテルがスクチャイの常宿だった。
しかし時折ホテルがない地域もあり、その場合はなるべく早めに廉価な旅館を見つけて予約していた。
撮影目的の長期旅行なのでまずは廉価であることが優先で、特別な料理や温泉は必要なかった。
8月15日に二戸市で宿泊するスケジュールとなり宿を探したところ、さすがにお盆の中日だけあって空きがないか、または途方もない宿泊料金が付けられたりしていた。
そこで見つけたのが金田一温泉の仙養館(せんようかん)だった。
なんとか経済的な価格で8月15日の一泊を過ごせそうとわかり、空き部屋の1室を早めに予約した・・・つもりなのだった。
このように吟味した予約だったので、まず第一に予約日を間違えたりするはずがないのだった。
後にも先にも(2025年2月の現在までとして)スクチャイが宿の予約の日付を間違えたのは人生上この時の一回限りだ。
しかも、自分ではどう考えても間違えようがなく、また、間違えていないと確信するものであったが、結果的に宿の女将さんに指摘されてから見たメールの文面の日付は翌日の16日になっていた。
昨夜見たときは8月15日だったのに・・・。確かにそうだった。
そんなマヌケな予約ってあるか・・・
・・・これが、このたびの宿泊の「不思議」のひとつだった。
3.お盆の中日に空き部屋なんてないでしょ
今は子供の夏休み中で、さらに今夜は最高に混むはずのお盆の中日だ。
そんな時期の予約で失敗すると致命的だ。
今夜の予約を明日に間違えていたのなら、今夜は満杯で泊まれないだろう。それが一番の心配事だった。
路頭に迷い、今から空いてる宿を探すことになりそうだ。
やれやれ・・・
しかし、女将さんは始終ニコニコしていて、「良かったわね!」と言った。
(何が?)と思った。
今夜部屋あるのよ!
人気のある部屋でね、数ヶ月前、いや、一年も前から部屋指定で予約が入る部屋が偶然今日だけ空いてるのよ!
明日だったらその部屋に入れないし、さっき見たメールの明日の予約は別の小さい部屋だったの。
人気の部屋は昨日も明日もずーっと予約済みよ!冬まで!
それが、今日空いてるのよ!
不思議なのよ!
・・・これが、このたびの宿泊の「不思議」の2つ目だった。
4.その部屋とは?
で、その、特別に人気のある、今日がたまたま空いてる部屋とは?
まさかスイートのような特別室で何万円もする、というのかな?
と、スクチャイは身構えた。
「暁の間」ですよ。料金同じですよ。ご案内しましょうか?
その「暁の間」という部屋が、特別人気の部屋で一年前からも予約で埋まる部屋なのだそうだ。
先に書いたがスクチャイは長旅なので廉価で泊まれればそれで良く、温泉や料理やその他付随することは一切調べてない。
で、そもそも「暁の間」がなぜ人気?
暁の間は有名な座敷わらしが出る部屋だそうな・・・
そこでスクチャイも思い出した!
二戸市の金田一温泉は座敷わらしの伝承がある地域だった!
5.暁の間
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その「暁の間」に案内してもらうと、なぜか明日の2人分の寝具がすでに用意されているのだった。
・・・これが、このたびの宿泊の「不思議」の3つ目だった。
スクチャイはひとり旅だ。いったい誰が隣に寝るのだ?
と考えるや否や、女将さんはあたかもスクチャイの考えを読んでいたかのようにすかさず、
「座敷わらしが出たら、隣で寝るわね!」
と屈託ない笑顔で言った。
(なぬ!?)
「昨夜この部屋にお泊まりになったお客様ね、動画で座敷わらしを撮られて、見せてもらいましたわ。ピョンピョン飛び跳ねて、写ってましたわよ!」
(なぬ!?)
「この部屋になさいますか? それとも少し狭いですが、普通部屋もありますのでそちらになさいますか?」
(人生の分かれ道・・・)
女将のおばちゃんは無邪気だった・・・
予想もしてなかった展開だ。
寝て食べて疲れを取って明日出発できればいいという長旅の最中なので、その他、例えば宿での深夜~明け方のイベントなどは特に欲していなかったのだが・・・
かなり躊躇したが、これも何かの縁だと思って、(意を決して)ありがたくその「暁の間」に当てがってもらうことにした。
ここまでご縁があって、少し怖いからと言って、普通の部屋にしてもらったりしたら、それこそ一生悔やむことになりそうな気配がしたからだ。
泊まりたくても泊まれない、予約したいけど予約できない悔しがってる人がゴマンといるところ、ひょんなことで何もワケがわかってなかったスクチャイが今夜泊まれることになったのだ。
こんな機会を逃したら、実際今後は泊まりたくても泊まれないだろうことが目に見えていた。
6.宿帳
帳場前のソファーテーブルに置いてあった宿帳をペラペラめくっていくと、その「暁の間」で宿泊客が体験したことが山と記載されているのだった・・・。
※貴重な宿帳への書き込みの一部をご覧いただきたく、名前を伏せてここに公開させていただきます。書かれた方々には、貴重な資料としてここで公開させていただくことに深く感謝いたします。
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ノートは何年間もの集大成で、別冊まであるほどで、読むだけでも無理な量だった。
ペラペラとページを繰り、読み、目に付いた記事だけを撮影させていただいた。
ほんとうにこれらは貴重な資料だ。
で、これらすべてが今夜寝るスクチャイの部屋での出来事なのだ。
実はさっき女将さんに一瞬「怖い」と言ってしまったのだが、その時女将さんは非常に残念そうな表情をして「怖いと言って欲しくないの」と言った。
座敷わらしに会うと幸運が訪れる神様だから、という以前に、女将さんにとっては長年一緒に暮らしている家族の一員だからだ。
「お客様はみんな、会いたいな!って泊まりに来てくれるのよ!」
スクチャイは女将さんの仰るとおりだと理解した。
スクチャイは何の前触れも目的もなしに、ただ泊まりに来ただけの客だった。それで他の客が垂涎する部屋にひょんなことで泊まれることになったのだ。
その運の良さを棚に上げて「怖い」などと言ってたらそりゃあ女将さんの心証を害するだろう。
スクチャイも「会いたいな! 今夜来てね!」という気持ちになろうと・・・努力した。
(いや、努力すること自体が間違ってるとはわかっているのだが・・・)
7.温泉
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想像以上に、まことにいいお湯の温泉だ。
源泉掛け流しで、こんこんと24時間いい温度のお湯が湯船に注がれ、湯船からあふれ出している。
しっぽりと包まれる柔らかい泉質だ。
温度も実にしっくりした気持ちよさで、非の打ち所がない温泉だ。
こんなにしっくりくる温泉も珍しい。
大学生の時の卒業論文は地下水の分析の研究で、日本各地の温泉地を巡り、成分表などを記録して歩いた。
当然数百という湯船に浸かっているので、気に入る気に入らない、肌に合う合わない、しっくりするしない、などの違いがあることはわかっている。
それぞれが温泉の個性であり、良いか悪いかではなく、結局のところ当人の好みになるのだ。
そういう意味で、この金田一温泉仙養館の温泉はこれまで浸かった数百もの湯船の中でもスクチャイとしてはトップクラスだ。
なんだろう、この母胎回帰と言ってもいいくらいのお湯に包まれる安泰感は。
ほんとうに芯からリラックスする温泉だ。
8.晩ご飯
いよいよ晩ご飯だ。
部屋に持ってきてくれた。
せっかくの静寂の温泉宿で、TVを点けるのが好きでなく、しーんと静まりかえった部屋の中でひとりで喰う晩ご飯。
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そろそろ童(わらし)さん、やってくるかな?
と思いつつ、チラチラと部屋の隅から隅まで見渡しながらの食事であった。
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9.寝る!
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寝る前にもう一度風呂に入ってきた。
スクチャイはもうひとつの布団に寝かした。
・・・そもそもこの文章の主語は「スクチャイ」なのに誰が寝かしつける?
2人いるじゃないか!
・・・と叱られそうだが、まあ温泉に入ってきたのは詳しく言うとスクチャイの飼い主・・・いや、スクチャイの分身の魂かも。
まあ、細かいことは置いておいて・・・
よく考えると、このスクチャイのようなかわいいぬいぐるみは子供が好きそうだ。
きっと今夜はこのスクチャイ目当てに出てくれるであろう、と期待できるではないか!(若干唇が震えているのが自分でもわかった)
10.わらしさんは撮影好き!
女将さんによると、わらしさんは写真が好きなのだそうだ。
遠慮無く写真でも動画でも撮ってね! とのことだ。
そもそもスクチャイは撮影旅行をしているのだ。
対象は星空、夜景、ドローンでの航空写真・・・
決して夜の部屋の中を一晩中撮るなんて考えたこともなかった。
しかし、スクチャイは女将さんの言葉に甘えて・・・
11.一晩中撮影してみよう
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カメラをセットすると、なにやらものものしい雰囲気になった。
わらしさん、警戒して、むしろ出にくくなったかも・・・
でも撮影好きなわらしさん、出てくれるといいな。
カメラは一晩中自動のインターバル撮影で、角度を変えた1カメ2カメの2台をセットした。
・・・ということで、スクチャイは寝た。
(・・・寝付けず、何度も電灯を点けた)
(今日はお盆の中日ということをふと思い出したりする・・・)
(・・・夜中2時頃に、トイレのついでにお風呂にも入りに行った。なんでわざわざ丑三つ時に風呂行くねん?)
(温泉から部屋に戻って来てからが正念場であった。もし留守の間にわらしさんがスクチャイと遊んでいたら、布団から顔を出していたスクチャイは少しでも動いているはずである)
(あっ! ・・・1mmも動いてなかった)
(・・・寝ようと電気を消すが、ちょっとした物音で何度も蛍光灯を点けてしまう)
(なにビビってんねん?)
(はよ寝らなあしたしんどいで・・・)
さすがに明け方は少し眠ったが・・・
12.朝ごはん
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朝風呂も浴び、ご飯は昨夜同様おひつを空にしてしまった。
ここのご飯はほんとうにおいしい!
え?
わらしさん?
出ませんでしたね。
あるいはスクチャイが気付かなかっただけかもしれないが。
ま、後で撮影した写真を見てみましょう。
でも、スクチャイは子供の時から写真を撮ってるけど、心霊的なものを撮影したことはまったくないのだ。
ま、わらしさんは幽霊ではないので、また対象が違うだろうけどね。
と、そんなことを考えつつ朝ご飯を食べ終え、ふと正面に目を向けたところ・・・
「!?」
「なに!?」
「君は???」
向こうの壁際に、縞模様の服を着た髪の毛をおかっぱに切った小さな子供がこちらを見て笑って立っていた。
あたかも、夜中は怖がりすぎてたので、怖がらせたら悪いと思って・・・と言いたげな表情で・・・
「え?」
「今、なにか言った!?」
ふっと消えた。
音もなかった。
縞模様って、横だった。
黄色っぽい色の縞だった。
それが何を意味するのか、その姿が普通なのかどうかも知識がないのでわからない。
しかし、スクチャイが目にした姿はそうだった。
「横縞が縦縞になるのね」のあれか?(マギー司郎)
いや、横縞から縦縞にはならなかったよ。(≧∇≦)
13.女将さんからのメッセージ
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上の写真は部屋を出るときに、最後に思い出として撮影したものだ。
そして宿を出るときに、夜中はまったく感じなかったが、朝食後に不意に出てくれたことを女将さんに話した。
女将さんはとても嬉しそうな表情をしてくれ、その顔を見て、スクチャイもなんだかとても嬉しくなったのだった。
この宿に泊まって良かった、と心の底から感じた。
宿泊後、数日経ってから、女将さんから丁寧なメールをいただいた。
以下。
この度は金田一温泉当館にご宿泊を賜り誠に有難うございました。
心よりお礼を申し上げます。
(スクチャイ)様には、わらしさんのお部屋にお泊していただきましたが、初回にもかかわらずお姿を現してくれたことは凄いです。
(スクチャイ)様がわらしさんを怖がらずお心を寄せてくださったのが、通じたのかもしれませんね。
じゃらんさんにはわらしさんのお部屋は登録いたしておりません。
会えない方が大方ですので。
会えても会えなくても、わらしさんを思う方にのみお泊りいただきます。
末筆ではございますが(スクチャイ)様のご健勝をお祈り申し上げ、またの御縁を賜りますようお待ち申し上げます。
かしこ
金田一温泉 仙養舘 (女将さんの名前)
14.ありがとう、わらしさん!
夜中は、さすがに警戒しすぎて、わらしさんも出にくかったのだろうと思う。
わらしさんに気を遣わせてしまったに違いない。
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
しかし、朝ご飯の時は、おいしいご飯を目の前に、完全にわらしさんのことが頭の中になかったのが幸いしたのかもしれない。
不意を突いて、出てくれたのだ。
あと1時間程度で出発、という時に。
もちろん、全然怖くなかった。
それどころか、出てくれて嬉しかった。
出てくれなかったら、これまた心残りになって、一生悔やむことになったかもしれない。
ありがとう、わらしさん!
感謝しかない!
15.また泊まりに行くよ
女将さんからの挨拶メールで、
「わらしさんを思う方のみお泊まりいただきます」
との言葉が忸怩たる思いだった。
スクチャイは、あの日、「わらし」の「わ」の字も関知せず、何の心づもりしていなかったのだから。
後日思うに、よくスクチャイ御一行を泊めてくれたものだ。
今回、この記事に使う自分で撮った写真をダウンロードするために、久しぶりにFacebookを開き、そこに上げていた自分の記事を検索した。金田一温泉仙養館の場所では、他の人が上げたいくつかの記事も見ることができた。
(スクチャイのFacebookは友達限定だがpublic公開の記事は知らない人のものも見れる。場所を指定するとここ泊まった人の写真や文章が読める)
動画も上げている人もいた。
最近のものは今年2025年の1月で、動画にはいくつものオーブが舞う姿が映っていた。
今も暁の間では座敷わらしさんが活躍してるのだと嬉しくなった。
オーブは動くものは初めて見たが、ものものしくも美しく感じた。
撮影は1月なので冬だ。小虫が部屋に舞う季節ではない。
しかも深夜に一斉に飛ぶなどは考えられない。
スクチャイは当夜、気配を感じると蛍光灯を点けたので気付けなかったのだろう。
その点、今となっては残念だ。
宿帳にあるように、部屋を真っ暗にしておくと、オーブの光で満たされていたかもしれない。
上に載ってきたり、足音を響かせたり、手や足に触れてきたり・・・
この部屋では、それが普通の姿なのだろう。
また機会を作ってぜひ泊まりに行きたい。
そんな気持ちだ。
なお、夜通し撮影した写真は、実は今の今まで、まだ見ていない。
枚数が4,000枚ほどもあってたいへん多く、その中の1枚でも何か映ってくれていたら嬉しいと思うのだが、なんだか紐解くのが畏れ多くてそのまま保存しているだけなのだ。
でも、きっと何枚かには映っているはずなのだ。
16.スクチャイさんを奉納
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町を出る前に、町の座敷わらしさを祀っている神社にお参りをした。
また、座敷わらしさんへの奉納ができる場所も訪れた。
以前は、わらしさんへのおもちゃやぬいぐるみなどの奉納物が山と積み重なっていたらしいが、その後、さすがに増える一方で困り、奉納後はお持ち帰り下さい、というルールになったとのことだ。
そこで・・・
このたび、スクチャイさんを座敷わらしさんに奉納することにした。
どうぞ~! と言って、わらしさんの像の前に置いてあげた。
気に入ってくれたら嬉しい。
かわいがってね!
ということで、その後、スクチャイさんは引き取って連れて帰ってきた。
スクチャイさんは、実は、この時から座敷わらしさんの所有物なのだ。
もっとも、本当にさしあげてしまってそのまま置いてきてしまうことになると、さすがに持ち主(あるいは飼い主)としては寂しいので、それは出来ない相談だった。
持って帰ってくるというルールがあることをいいことに・・・
ちょっと発想がずるいような気がするが、座敷わらしさんにあげた、ということになっているノン・スクチャイさんなのよん。(≧∇≦)
17.宿帳「座敷わらし体験ノート NO.11」
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きったない字は大学生からだ。それ以降現在に至り、ますます汚くなってきている。
それはともかく、よく読むと、わらしさんは2人来たと書いている。
この文章を書いていた記憶では1人だったが、こちらのノートの2人が正しい。
(おわり)