コートヤード・バイ・マリオット札幌 Courtyard by Marriott Sapporo ホテル日記007 2024.10.29-30
スクチャイのホテル日記007 北海道>札幌市
1.予約後に情報を得る
コートヤード・バイ・マリオット札幌は今年2024年7月23日に新規開業した。
更地から建築した新しいビルで開業からたった3か月目であり、かなり楽しみだ。
しかし、新規ホテルによくある運営オペレーションの未熟さがないことを祈る。
参考までに、建築は積水、運営はマリオット直営とのことだ。
2か月前に泊まったフェアフィールド・バイ・マリオット札幌は居抜きとして入ったホテルで、一見新しそうにリノベーションはしていたものの客室の換気や浴室タイル目地やシャワートイレの形式など旧式で年季が入ったものが目立っていた。
新建築のホテルは居抜きのような不安がなく、すべてが新しいはずで、そこが非常に楽しみだ。
宿泊日のおよそ一週間前に以下の文面のメールが届いた。
なお、吾輩のステイタスはライフタイムプラチだ。
今回は一泊15,500マリオットポイントで予約した。
簡単に言うと、プラチナメンバーは、
1.朝食は付かず食べたければ特別価格2,500円の有料(=お金払え)
2.コートヤード新大阪や白馬のようなクラブラウンジはない(=あきらめろ。さては1階のLoungeを見たな!そこは喫茶コーナーまたはカフェのようなもので都度有料だ。タダじゃない。甘えるな)
3.ウェルカムギフトは次から1個(=さっさと選べ)
1滞在1回のランチビュフェ
1泊あたり10米ドル(宿泊日現在1,500円の定額)のクレジット
1滞在500マリオットポイント
上記メールの文面にはない特徴として、
・スイート以外はバスタブはなく全室シャワーのみ(レインシャワー付き)
(=観念せよ)
・そのスイートは300を越える客室数のうち9部屋だけ
(=プラチナだろうがヘチマだろうがゴネずにアップグレードは最初からあきらめろ)
・大浴場がある
(=「大」ではない浴場でマナーのない外国人多数かもね。いやだったら入るな近づくな文句言うな聞き飽きた。部屋着で行くな。外出着で行け。部屋のタオル持参を忘れるな)
また予約後に電話とメールで得た情報として
・バスローブはスイートのみで頑として貸し出しも不可(=あきらめろ)
(ちなみに新大阪と白馬は希望すれば気持ちよく貸し出してくれる)
・冷蔵庫のミニバーは無料で飲める(=感謝せよ。クラブラウンジがない代わりだ。これで勘弁せい)
(当初ペプシを含む3本のソフトドリンク、と聞いていたが当日あったのは枕元の保温機※に入ったココアとコーンスープの2缶だった)
※註
(=)内は書き手である吾輩の予想も含んだ補足
※保温機については後述
一ヶ月ほど前の予約直後に最初は電話で、その後メールで担当者と2~3度やりとりした時の情報だが、メールの返信が催促なしでは1週間も来ないことがあったので不安になった。
メールの管理がきちんとされていないのか、はたまた業務多忙でメールなんかに返信できないのか?
2.プラチナウェルカムギフト選択はランチビュフェ
3.ランチ後にチェックイン
親ガチャ、ではないが、レセプションスタッフガチャ、があるとしたら、少しでも良いスタッフを選びたいのが人情だ。
手続きなどやることは同じでも、できるだけ優しく感じいい人に対応してもらいたい。これは誰でもそうだろう。
レストランからの階段を降りてきたら目の前がレセプションカウンターで、階段の途中から全体を見下ろすことができる。
カウンターにはそれぞれスタッフが立っているが、さあ、誰にしようか?
こういう場合、経験上いち早く視線をくれた人がまず間違いないスタッフだ。
何かの事情で今対応したくない人はまず客に目を合わせてこない。
いや、事情がなくても最初から目を合わせてこないスタッフもいる。
客が手続きを終えてその場を立ち去るまで画面や自分の手元ばかり見てまったく目を合わせてこないスタッフもいる。
目は心の窓で、目が合わない人とはお互い心は通じない。
そのような人は、ホテルスタッフである以前に、人間的に疑問だ。
客には少なくとも対応スタッフを選ぶ権利がある。
階段から見下ろしたところ、カウンター内に少なくとも3人入っていて、カウンターの外にもスタッフが3人ほどいた。
選り取り見取りで迷うほどいた。
吾輩は向こうからさわやかに挨拶してきた一番手前のカウンターの男性スタッフの所についた。
まず向こうからさわやかに声をかけてくるスタッフは間違いないだろう。
吾輩の関心は、どこまで希望の部屋が得られるか?ということであった。
幸い、予約以降のメールでのやりとりと、さっきレストランに行く前に女性スタッフに伝えた簡単な要望は伝わっているようだった。
スイートへのアップグレードは残念ながら叶わなかった。
そりゃそうだろう。
全約300室のうちの9部屋だから確率3%、スイートの有償予約者がいたら当然動かせないし、無償アップグレード対象としても、私のプラチナ以上のアンバサダーやタイタニウム(チタン)ステイタスの人の方が優先だからだ。
それでも本当に空いていれば可能性はないわけではないが。
ちなみにこの時対応してくれたスタッフもそうだったが、一流のホテルマンでも日本人は「スイートルーム」と言う人が多い。
正式にはスイート(suite)だ。
まさかのsweet roomではない。
スイートには部屋の意味が含まれる。
頭痛が痛い、違和感を感じる、チゲ鍋、の類の重複言葉になるのでプロの発言としては要注意だ。
ともかく「本日はあいにくスイートルーム満室のため・・・」とわざわざ言及してくれ、可能性を当たってみてくれたことだけでも吾輩は満足であった。
4.(挿話)あるアメリカ人のアップグレード秘策話
以前アメリカ人のマリオットエリート会員と話した時、チェックイン時の無償アップグレードを得る奥義をどや顔で聞かされたことがあった。
彼によれば、ホテル側が「スイート満室」と言っても、易々と信じてはいけない、演技で嘘を言うことも多いからだ、とのことだ。
ウソを言われていたら元も子もないが、しかし客はそれを信じるしかない。要望もそこで止まってしまいあきらめるしかない。
しかし彼はすぐに公式サイトでスイートが販売されている(on sale)かどうかを確認するのだ、と言った。
チェックして販売されていたら空室ありということだ。
面倒くさそうだが、彼はともかくその手法で何度も無難にスイートを得ていると話した。
実際、満室(fully booked)と言ってしまっても売れ残って販売中が公開されていればfully bookedと言ってしまったスタッフが今度は返す言葉がなくなり、その部屋を提供せざるを得なくなる。
スタッフ側にウソをついてしまった自戒の念を発生させる効果もあるのだそうだ。
しかし、とそのアメリカ人エリートは続けた。
その手法で上位部屋へのアップグレードを要望する客が増えるか、またはその手法を駆使する特定客を覚えられホテル側にマークされた場合、ホテル側は自衛手段に走ることもある。
つまりスイートが販売中かどうかを確認しそうな人物がチェックインする場合、スイートを含むすべての上位部屋を販売済(sold out)にして、あたかもあなたにあてがえた部屋が今あるすべての部屋の中で最上だ、と見せかけてくるのである。
一時的にでもsold outにするとその間新規客が受けられないのであるが、ホテル側はその損失を承知で客に目を付けられそうな上位部屋をすべてsold outにする。
客がさすがにあきらめてあてがわれた部屋に入ってしばらくした後、ホテル側はsold outにした部屋を元に戻して販売を復活(on sale)させる。
もしその後、その客が再度スイートの空きをチェックして販売中を見つけたとしても、客側がすでに部屋を使い始めているということで部屋の変更は困難であることを主張できるし、販売しているのはキャンセルが入った部屋だ、など、それらしくホテル側は説明できる。
しかしここまでして強引にアップグレードを要求してくるような客はまあほとんどいないということなのだ。
そういうわけでホテル側にとってsold out設定戦法は結構強固な自衛手段となるらしい。
さらに・・・、今みたいにインターネットを介してのシステムがなかった時代・・・
または、今でもあるようだがネットで販売せず隠し球としてスイートなどの上位部屋をいくつか確保し、電話などの直接対応で販売するホテルの場合・・・
と、アメリカ人は話し始めた。
アップグレードが叶わなかった客が、夜な夜なそのスイートに人の気配があるかどうかを外からや廊下から様子を窺う。
廊下からはその部屋に人の気配がするかどうか、外からは窓を見て照明がやTVの明かりがついたり消えたりして人の影が動いているかどうか。
それでスイートに客が入っていないことを確信した時点でホテル側にアップグレードを要望する。
「あの部屋、空いてるじゃないか! 今からでもアップグレードしてくれ!」と・・・
・・・アメリカ人エリートにこれらの理屈を聞かされたとき、吾輩は非常に疲れた。
話を聞いてるだけで、客とホテルの両方が使った分のエネルギーが自分の身体から吸い取られたような気がした。
そこまでしてアップグレードされたいのか?
結局のところ、客がお金を出さずに少しでもいい目にあいたいということだ。
単なるエゴではないか?
そんなにスイートやら上位部屋に入りたければ素直にその部屋を予約して素直にお金を出して泊まればいいことだ。
空きがないように見せかけるためのホテル側の手間暇も相当なものであろう。
迷惑以外の何ものでもないような気がする。
執念も恐ろしい。
廊下や外から人の気配を感じ取るだと!?
ストーカーのような犯罪のニオイさえしてくる。
そもそも「客」とは、アンタ、いまその理屈や方法を吾輩に説明したアンタ自身なのか?
と吾輩がそのアメリカ人に問い詰めてみたら、
「ハハ! オレはそんな小細工してまでアップグレードなんかしてもらいたくないよ!」
と言い放った。
彼は、欧米人がよくやる両手のひらを上向けて肩のところまであげ、首を傾けて肩をそびやかす仕草をした。
「オレは忙しいんだ。良い夜を!」
と言って彼は少し酔っ払った足取りで自室の「スイート」に去って行った。
とある国のマリオット系列ホテルのクラブラウンジでの出来事だった。
5.チェックインして11階に案内される
さわやかなホテルマンK氏は、初めてこのホテルに泊まる吾輩をニコニコしながらエスコートしてくれた。
新しい未知の部屋に入る瞬間、この瞬間はいつもワクワクする瞬間だ。
特に今回は新しく建った建物で営業開始から3か月しか経っていない。
どんな素晴らしい部屋が吾輩を待ち構えてくれているのであろう。
その前に・・・
このホテルでは手持ちのスマートフォンのブルートゥースでエレベーターのセキュリティーキーと客室のドアキーを操れる。
マリオットでは「モバイルキー」という呼び名のようだ。
それをさっそく使ってみたいとK氏に言ってみた。
作ってくれたカードキーなしで、その代わりに自分のiPhoneでエレベーターに乗ったり部屋を開けたりするのだ。
何年も前だがバンコクのコンラッドでスマートフォンキーを使っていて、すこぶる便利であったのだ。
コンラッドでは結構離れていてもキーが効いた。
例えばエレベーターではセンサーに着けなくても、20-30cmほど離した距離でも認証され、また自分の部屋に入る時は廊下を歩きながら5mほども手前でドアキーに反応して扉を開けることができた。
魔法使いにでもなったような得意な気分になったものだ。
それを久しぶりに日本の札幌でやってみたい。
まずはエレベーター内のセキュリティーの解除だ。
・・・反応しない。
吾輩は未だにiPhone6sのユーザーだ。
モバイルやタブレット端末はこれまで海外にいたせいもあるが日本で買ったことがなく、今持っているiPhone6sはタイのバンコクで買ったもので、鞄に入れているiPad2 retinaは南米コロンビアのカリのアップルショップで買ったものだ。
共に買った時の懐かしい思い出も詰まっているのだが、いかんせん古い。
古いのだ!
古すぎる!
スイカのモバイルタッチなんかも使えない。
コンラッドで使っていた時はまだしもこのiPhone6sも新しかった。
残念でした。7以降の機種からね!
などと言われることも、大いに予想していたのだ。
まあ、その時は素直にあきらめてカードキーを携帯しよう。
・・・・・・やっぱり反応しないではないか!
にこやかなK氏が吾輩のiPhoneでやってみたいと言い出したので貸した。
すると、反応して11階が点灯した!
以前のバンコク・コンラッドのようにセンサーから距離をあけるとまずダメらしくて密着させる必要があり、さらに吾輩の場合バッテリー付きのケースなので背後では反応しないのであった。
つまり画面側をセンサーに密着させる必要があるようだった。
吾輩は一人になった時のために練習をさせてもらった。
自分でセンサーに当ててみると問題なく感知して11階がONになった。
センサーでは部屋のある階が自動で点灯し、関係のない階には行けないようになっているとのことだ。
コンラッドではエレベーターのセキュリティー解除だけで行き先は自分で押さないといけなかったので、このホテルではその目的階のボタンを押すひと手間が省けることになる。
さすが、新しいビルディングのホテルだ!
なかなか気分が良かった。
次は部屋の扉だ。
こちらは・・・
反応しない・・・
あきらめてスマートフォンを離そうとしたところ、緑のランプがすでに点いているのだった。
取っ手を動かすと、開いた!
ピッという音もなく(あるいは小さい音で鳴っていたか?)、密着させることでiPhoneと重なって緑のランプが見えないのだ。
コンラッドのように5m離れても認証する、というわけにはいかなさそうだったが、何度か出入りして慣れれば「モバイルキー」も違和感なく使えるようになり、便利だと感じた。
6.モバイルキーの使い方
ここでモバイルキーの使い方を簡単にまとめておく。
レセプションでモバイルキー利用の準備が整うと、マリオットボンヴォイのアプリにメッセージが届く。
(そのメッセージの瞬間のスクリーンショットは撮ってないのでここで見せられない)
部屋が決まるとアプリで以下の画面が表示される。
レセプションでチェックインした直後の状態だ。
Doneをタッチしておく。
あらかじめBluetoothをONにする。
(アプリを立ち上げると)以下の画面になる。
吾輩の場合バッテリー付きのカバーをしていたので背面では認識されなかったが、ここに書いてあるように一般にはモバイル端末の背面をセンサーに近づければいいようだ。
吾輩のように事情で背面が使えない場合は前面(画面側)を近づけて認識させれば良いわけだ。
7.11階デラックスキングルーム
さて、そんなわけでモバイルキーで入った部屋。
入って感じる、新築のような清潔で非日常感のある匂いとインテリア・・・良いではないか。
スイートでない部屋では上位部屋で、国外のホテルのように決して広くはないが、まあ日本では健闘している部屋の広さだろう。
面積はスタッフによって言うことが違ったが24平米もしくは24-26平米とのことだった。
まあそのくらいの広さの部屋にキングベッド一台と奥にテーブルとソファーがあるわけだ。
そして窓からの景色・・・
左右に壁・・・
右側は最初はなかったビルで、最近ニョキニョキと建ち上がってきた来年2025年秋にオープン予定のインターコンチネンタルホテルとのこと。
窓外の右側の水平視野角ほぼ30%が「インターコンチネンタル壁ビュー」なのだった。
そして左側約30%は「当ホテルの壁ビュー」。
ここは11階であるが、右側のインターコンチネンタルの壁も左側の自分のホテルの壁も今いる視点よりも高く聳えている。
左右を壁で遮られた中央付近の隙間、水平視野角の残り40%ほどから豊平川が見えている状態だ。
こちら側の客室は、特に右側の建物が建って視野が狭くなってから部屋の価値が下がってしまったのではないだろうか。
真っ正面の隙間からかろうじて豊平川が眺められるが、ソファに腰掛けてどちらか斜めから窓外を見れば、もれなく右側はインターコンチネンタルの壁、左側は我がホテルの壁が見えるだけなのだった。
吾輩はK氏に振り向いて、これは吾輩が1つのベッドを最優先に希望を挙げてしまったからに違いない、と言った。
実際、メールに書いた希望順は、
1.キングベッドなどのワンベッドルーム
2.高層階
3.おすすめの眺め側
であった。
まあ、それに忠実に決めてくれた部屋であることがわかる。
しかしたった一夜を過ごす部屋としても・・・
吾輩は自分の心と相談してみると、眺望を結構重視していたことに気付いたのだった。
札幌でここまで視野が遮られるビルがあるとは予想していなかったのだ。
最近は札幌も高層ビルが多くなってきていることを実感した。
先に書いた強引貪欲アメリカ人のアップグレード手法ではないが、ダメ元で、
「反対側はどんな景色かしらん?いっぺん覗いてみることができそうかしらん?」
と吾輩もK氏に負けないほどニコやかに言ってみた。
すると俠気のあるK氏は動揺することもなく、表情で「よっしゃ任しとき!」と燃える闘魂を垣間見せ、
「このソファにかけて少々お待ち下さい。電話がなったら応答ください」
と言い残して部屋を出て行った。
移動するかもしれない部屋なので、吾輩はこの部屋では余計なものに何も触れず、借りてきたネコのようにソファにじっと座っていた。
電話が鳴った。
「13階の反対側の部屋にご案内します。今お迎えに上がりますのでもう少々おまちくださいませ」
なかなか素早い対応ではないか。
まさかスイートではあるまいが、ちょっとだけ期待の炎が心に灯ったりした。
吾輩は、あんな強引強欲なアメリカ人みたいな振る舞いは絶対にしたくはなかった。
無理難題を言ってスタッフを困らせたくなかった。
吾輩は常に心のある人間でありたいのだ。
8.13階デラックスツインルーム
まさかのスイートではやっぱりなかったが、ベッドが2個になっただけで部屋の広さは同じ感じだった。
しかしベッドが分かれた分、窓側の空間が削られソファがなく丸テーブルに向かい合う2脚のソファ椅子(一個は背もたれなし)があるだけだった。
さっきの部屋で応答した電話の位置には、こちらの部屋では電話がなかった。
つまりさっきのキングベッドの部屋では電話はベッドサイドテーブル上とソファ脇の2台だったが、ツイン部屋の方ではベッドサイドテーブルの上1台だけだった。
まあ実際のところ、電話の台数が二台でなく一台だけでも特に不自由することはないだろう。
これ以上駄々をこねるわけにはいかないし、それよりも最上階の13階にあてがってくれたのだ。
今回はここまでのアップグレードが最良ということで良しとしよう。
吾輩はK氏に窓からの景色を誉め、気に入った旨を伝えた。
しかしこの側でキングベッドの部屋はないのかしらん?
あればこの種類の部屋としては吾輩にとって最高に違いないのだが・・・
K氏に言うと、残念ながらこの側はスイートを除きすべての部屋がツインの2ベッドルームだと答えた。
同様に反対の豊平川側はすべてキングベッドルームとのことだった。
どこの誰が間取りを設計したのか知らないが、多少とも部屋の向きとベッド数に変化を持たせておけば今回のような客の要望を満たすことができるのに、と思った。
なぜそのように均一的に部屋を作ってしまったのだろうか。
9.窓からの景色と「キャバレーミカド」
スタッフK氏は、吾輩が納得したことで安堵したようだった。
するとなぜか急に嬉しそうなドヤ顔になり・・・
「ここはキャバレーミカド跡地なんですよ!」
と得意げに言った。
「タクシーに乗って、コートヤードって言ってもまだ知らない運転手が多いんです。そんなとき、キャバレーミカド跡地、と言ったら一発です!」
そういえば遠い昔子供の頃、親や親戚の男達が集まってキャバレーがどうのこうのと喋っていたのをなんとなく覚えている、懐かしい言葉の響きではある。
ただそれだけで何があって何するところかも全然知らないのが実際のところだ。
吾輩は大阪なので札幌以上にキャバレーはあっただろう。
しかし吾輩はそのころガキンチョでキャバレーには指一本触れたこともないのだ。
ま、酒と女が絡む男の歓楽場所とは子供心にもなんとなく想像はついていたが・・・
それにしても「キャバレー」という言葉!
何十年ぶりに聞いたような気がする。
今や死語のような気もするし・・・
さらに「ミカド」という砂から掘り出した金属のような言葉の響き・・・
きっと「帝」だろうと思うが、高度経済成長期に生きていた、黒縁メガネで会社に忠実なしがないサラリーマンたちが「おんな」と「さけ」を傍らに、一時の「夜の帝王」ごっこで夢を買うような場所だったのだろうかな・・・
今想像する当時の映像はセピア色に色褪せたモノクロ写真か傷だらけで雨が降る活動写真だ。
K氏はキャバレーミカドの後、キリンビール園になったと得意げに言った。
K氏よ、あらゆる客に同じセリフを言って、客を感心させて嬉しがってるのでない?
ホテルマンも重労働中に何か自分も楽しめることを見つけて存分に楽しめばいいのよん。
それなら、コートヤードを知らないタクシーの運ちゃんに「キリンビール園があった場所」と言ってもいいではないか?
ま、でも、「キャバレーミカド」の方がインパクト指数が「大」なのかもしれない。
10.部屋探訪
探訪するほど広くはないが・・・
10.1.なんとなくConrad BangkokのTV画面
Conrad Bangkokで見たようなレイアウトの画面だった
Conradでは客の名前まで表示されていた気がするが、ここには部屋番号のみで名前はなかった。
10.2.フロアマップによる部屋位置
配置図を見ればよくわかるが、エレベーターホールの部分だけ建物が太くなっている。その壁のせいで豊平川側の部屋の窓外左側の視野が狭くなるのだ。位置図にはもちろん描かれてないが右隣はインターコンチネンタルホテルのでかい壁が接近している。配置図を見る限り豊平川側の部屋はやっぱり壁に挟まれているのだ。
やっぱりこちら側、公園自体はほとんど見えないが中島公園側の方が見晴らしは良いと言えそうだ。
ちなみにエレベータの方向に向けて靴を脱いでおくと、出たときに右か左かを迷わなくてすむ。
廊下に出た瞬間に右に行くべきか左に行くべきか案外覚えてないことが多いからだ。
吾輩は自分の脱いだ靴先を左方向に向けて置いた。
10.3.ベッドはConrad Bangkokそっくり
ベッドは非常に寝心地が良く、どこかのベッドメーカーかホテルが言っていた「雲上の寝心地」だった。
ベッド脇に深く腰掛けると足先が着くか着かないかの高さで、この高さのベッドに出会うのも久しぶりだ。
鮮明に覚えているのはかつて長期滞在したバンコクのコンラッドホテルのベッドだ。
一晩使ってみて、コンラッドのベッドとまったく同じではないかと思うほど快適だった。
(参考)Nong Sukjai’s presidential suite at Conrad Bangkok
Can you find Nong Sukjai in each photo? :)
10.4.部屋でパソコン作業は無理と結論
部屋の壁付けのTVは飛び出してこない。
コートヤード白馬ではTVは飛び出してきて右左に角度を調整可能だ。
さらに下部にはパソコンを置けるほどのテーブルが付いている。
つまりこの部屋ではどこを探し回っても、パソコンを操作するに相応しい場所はなかった。
丸テーブルは透明ガラスだ。マウスパッドを用意するとマウスは使えるとしても、椅子の高さとテーブルの高さがパソコン作業に向いていない。
それにパソコンを開くと飲み物など別のものを置くスペースがほとんどなくなるだろう。
よってパソコンを使うビジネスで宿泊するのは厳しいと思った。
(チェックアウト時にそのことをスタッフに伝えたら、ロビーにビジネスコーナーを作ることを検討していると言ったがそういう問題ではない。公共スペースでパソコンを使えても部屋からパソコンを携えての移動や服装や他人の目など自室で作業する便利さとは全然違う。)
ちなみにこれもチェックアウト時にスタッフに話したが、海外でもこういう部屋に当たったことがあったがその時スタッフは、
「リラックスに特化したホテルだからむしろパソコンを開かないで欲しい。滞在中はパソコンのことは忘れて存分にリラックスして余暇を楽しんで欲しい!」
などと屈託のない笑顔で言うのだった。
開き直りの言い訳にしては堂々としていたのでその考えも確かにあるな、と納得したほどだ。
それでも滞在中どうしてもパソコンを使わねばならないことになったとき、仕方なくベッドの上でラップトップパソコンを開き胡座をかいて使った。
その時の体勢は到底長時間耐えられるものではなかった。
すぐに肩や腰に負担が来た・・・_| ̄|○
今回の札幌では先の海外でのスタッフの言葉を思い出してパソコンの使用はまったく諦めることにしたのだった。
やれやれ、リラックスに専念するしかないか・・・
10.5.洗面トイレシャワー
フェアフィールドでは頑として固形石けんはないと言ってくれなかったが、ここでは準備してくれていた。
ちなみにコートヤード白馬で提供される石けんと同じだった。
上部にレインシャワー付き。
真上から降る南国のスコールを体験できる。
椅子は蓋が開いて中にはなぜか赤い液体が貯まっていてゾッとした。
後で責任者に電話で伝えた。
タオル掛けにかかっているのはバスタオルだ。
(ナガノのくまの場合)
ナガノのくまの漫画では、ホテル泊のシーンで、足ふきマットとバスタオルがわかりにくいというのがネタだった。
ナガノのくまは以下のように足ふきマットで顔を拭いた。
10.6.高性能そうな空気清浄機
洗面所付近でアルコール入り化粧水をつけただけで数秒後に自動の空気清浄機が激しく活動し始めた。
さすがにすべてが新しいホテルは違う。感度が抜群だ。
連泊しているIHGホテルにも同じメーカーで同商品タイプの空気清浄機があるが、同じ化粧水を機械の目の前でつけても、いつも一向に反応しない・・・_| ̄|○
効いてるのか気休めか?
10.7.ベッドサイドテーブルの装置類
そもそも最初から物を置きすぎで私物を置く余地がない。
せいぜいメモ用紙の上にスマートフォンを一台置けるだけだ。
枕元に置きたいものはスマートフォンだけでなく本などもあると思うのだが。
それにスマートフォンを置くとしても2人利用の場合もう一人のスマートフォンはどこに置けるのだろう?
スペースを最も占領している張本人は缶が入っている2台の黒い物体、スタッフの説明によると缶飲料の加温/保温機とのことだ。
それぞれUSBで電源供給されるため、すでにUSB端子も使用済みの満員御礼だ。
本体横にCourtyardロゴが入っているホテルオリジナルとのこと。
夢グループのTVショッピングで出てきそうなこのUSB式缶飲料の加温/保温機は1台20,000円でレセプションで販売中との札が置いてあった。
1台2万円ですぜ2万円!そこの奥さん!
夢グループの保科有里さんだったら
「社長、高〜い。なんとか安くして〜」
と懇願するだろう。
吾輩は4,980円でも買わない。
たとえデーブイデー付きでもだ。
そもそも日常缶飲料を飲む機会はほとんどなく、しかもそれを保温しておいていつでも飲めるようにしておく必要性も感じたことはない。
よく調べなかったが、飲料を入れたマグカップも加温/保温できるのだろうか?
もしそうなら少しは便利かもしれない。
2台の保温機に入っていた缶飲料はそれぞれココアとコーンスープだったが、手で持てる限界付近の温度にまで加温されていた。
言ってみれば、自動販売機のホットで出てくる温度くらいだった。
それにしても何で枕元に?
バーコーナーかどこか別のところに置いていてもいいと思うのだが。
朝起きて寝覚めの暖かい飲み物一杯を想定してる?
しかし実際翌朝見たら勝手に電源が切れていて、缶は常温だった。
なんか、意味ないやん・・・_| ̄|○
吾輩は翌日起きてから、せっかくなので常温のコーンスープをいただいた。
缶のコーンスープを飲むのも数十年ぶりかもしれなかった。
相変わらず最後のコーン粒がいくつかへばりついて出てこなかった。
後で聞いたスタッフの説明によるとこの「ホテルオリジナル缶飲料加温/保温機」には専用のアプリがあって、スマートフォンを使って遠隔で細かな温度設定が出来るとのこと。
芸が細かい!
想像以上に機能が豊富なのかもしれない・・・
が、本当に日常に必要な物と機能か?
本体に印刷されているQRコードで取扱説明書が読めるので是非読んでね・・・とスタッフは言ったが、なかなか滞在中はしたいことがいっぱいあるのでQRコードにわざわざスマートフォンをかざしたりして読むかどうか・・・
まあだいたいやね、楽しい楽しい札幌滞在の時間を缶飲料加温/保温機をじっくり理解するために使えるかどうか、っちゅうところですな、問題は。(竹村健一氏風の言い方になる)
さて、ベッドサイドテーブルでさらにくせ者だったのは、写真に写っている手前の時計だ。
こいつも時計にしてはどでかくデスクのスペースを取りすぎだ。
こいつが設定していないのに朝10時に勝手に鳴りだしたのだ!
朝10時だと一般人だと怒り狂わない時間だと思うが、吾輩は前夜ホテルに戻ったのは午前3時でシャワーを浴びたりしたので寝たのは午前5時近くだった。
(行きつけの焼肉屋さんの閉店時間まで居ておいしいものを食べていた)
寝てから5時間程度で起こされたのだ。
チェックアウトは15時なのでゆっくりと12時くらいまで寝ようとしていたのだ。
ともかく最初何が鳴ってるかもわからず、時計が鳴ってるとわかるまで時間がかかり、ボタンだらけでどれを押してもアラームが止まらなかった。
ともかくうるさいので適当に上部を叩きまくったらとりあえずアラームは止まった。
寝ぼけ眼で画面を見るとスヌーズのようなマークがチカチカしていた。
5分後にまた鳴りそうな気配だった。
迷惑な時計!
このホテルに泊まって最悪の出来事だった。
枕灯をつけてじっくりボタンを見るが細かな文字でいろいろ書いてあって何がなんだかわからない。
最後の手段で背後の電源ケーブルを抜いた。
壊したのではなく、差し込みになっていたから抜いたのだ。
ともかくこういう所に設置する時計は直感で使えるシンプルなものにして欲しい。
11.チェックアウト時の感想タイム
いいホテルではチェックアウト時に必ず
「ご滞在はいかがでしたか?」
と声がかかる。
マネジャークラスのスタッフで、後日のアンケートよりも生で新鮮な意見を聞くためだ。
今回、ホテルを去るとき、マネジャーっぽいI氏というさわやかな男性スタッフが吾輩を呼び止めた。
関西弁っぽいので聞いてみると奈良産であった。
関西ではヒルトン大阪にも経験ありの人だった。
吾輩は遠慮無く関西弁で以下の感想を述べた。
・レストランの水がまずい!
・枕元の時計、最悪!
時計についてはI氏は得意げな顔で、置くだけでスマホの充電ができたりするので便利なんですね~
他にもアレコレアレコレの機能があって・・・・・
などと言ったが、それは機能をすべて把握して使えるようになってから便利さを感じるもので、急に初めてみた機能一杯の時計を瞬時に使いこなせるわけがない。
機能性の高い時計を理解するためにホテルに泊りに来てるわけでもない。
たとえアレコレの機能を理解して使えるようになっても翌日チェックアウトすると当分その時計は使うことはないのだ。
一生使わないかもしれない時計なのだ。
まあだいたいやね、楽しい楽しい札幌滞在の時間を枕元の時計をじっくり理解するために使えるかどうか、っちゅうところですな、問題は。(竹村健一氏風の言い方。2度目の登場)
そんなややこしい時計を置かないで欲しい。
時間の無駄だ。
そもそも勝手に鳴るな!
誰が10時にセットした?
その後、吾輩は連泊中のIHGホテルに戻ったのだが、狭くて古いホテルでも、バスタブがあって使い慣れた部屋の方がよっぽどホッとしたのだった。
古巣という表現が相応しいかもしれない。
札幌での主滞在ホテルはまだ当分すすきののIHGホテルだと再認識した。
12.後日譚・謎の番号から電話を受ける
チェックアウトして数日後、見知らぬ電話番号から2度着信が入っていた。
夜の食事中と移動などで2度とも電話には気付かなかった。
市外局番は011で札幌の固定電話だった。
固定電話では、札幌のホテルや飲食店関係など関係機関は登録しているので該当すればその名称が出る。
心当たりのある登録の番号と比較してみても連番でもなく、まったく心当たりのない電話番号だった。
折り返して掛けるのが不安だったが、恐る恐る掛けてみると・・・
かなり長い間呼び出し続けても、出なかった。
1分ぐらい経ったと思う頃、
相手「もしもし?」(不機嫌そうな中年女性の声)
しまった!どこかの民家にかかったのか?
たまたま間違い電話だったのだろうか?
・・・と頭をよぎった。
不機嫌そうな声なので、こちらが悪いことをして怒られそうな雰囲気さえした。
しかし、掛けてきたのはあくまで向こうだ。
恐れることはない。
着信があって折り返して掛けた旨を言っても、相手は反応せず聞いてるだけで何も言わずに名乗らない。
あたかも何で掛けてきた?と言わんばかりの無言の抗議のようにも感じた。
(なんという電話の出方だ・・・)
こちらからどちらにかかってますか、と聞いてようやく、
「経理ですが・・・コートヤード札幌の・・・」
女性にしては野太い声で、ひたすら機嫌悪そうな物言いだった。
(感じ悪)
この電話番号で掛けてきたのはそちらでしょ!
と言いたい気持ちだったが、コートヤード札幌としたら可能性としては心当たりの「Iさんかも?」と言ってみた。
しばらく待たされて男性が出てきたが、男性も名を名のらない。
「どちらさんですか?」と吾輩から再度聞かねばならなかった。
「Iです」
電話に出たらまずは名のって欲しい!
二人とも、いちいちこちらから聞かないと組織名も自分の名も名のらない?
先日のホテルでのハキハキしてさわやかな対応と裏腹ではないか。
先日数分立ち話しただけの人が、声だけでわかるとでも思っているのか?
こちらは名のったので向こうは吾輩の顔を思い浮かべて電話に出たのかもしれないが。
そもそもなぜホテル代表番号から掛けてこない?
先に書いたように、着信した電話番号はホテルの番号とは連番でもなく関連なさそうな電話番号だったので想像もつかなったのだ。
どれだけ不安を覚えたものか。
電話の出方にしても。
出たらすぐにホテル名を言えばまだしも・・・
機嫌悪そうな野太い女性の声で「もしもし」か・・・_| ̄|○
少し弁護してみると、開業3か月めでオペレーションがいろいろうまくいってないこともあるのかもしれない。
I氏が「経理の電話番号で」電話してきた用件は、吾輩が2度目の電話で伝言した風呂の椅子の中に溜まっていた(血にも見える)赤い液体の件だった。
こちらからはチェックアウト後に2度電話していたが、2度目もI氏が捕まらなかったので2度目に電話に出た人に用件を使えておいたのだ。
「業者に確認したところ、本来あの椅子は上部が開かないようになってるのですが、それが開くようになってしまっていまして。前のお客様が使用中に何らかのことで中に水が入ったんでしょうね・・・」
まあ、もう戻らない部屋なので理由はいいが・・・
そもそもその「赤」は何の色やったねん!?
という疑問は残るが・・・
椅子の中の赤い水を発見したのはチェックアウト前にシャワーを浴びたときだった。
シャワーの終わりの頃に、椅子に座ったときに上部がずれた気がして持ち上げたら蓋が開いたのだ。
それで中に赤い液体があってギョッとして仔細を見ずに蓋をしめてそのままにしてシャワーブースを出たのだった。
チェックアウト時にスタッフの誰かに言うつもりだったが、I氏と話したときにもそのことを言い忘れ、あとで思い出したときに外から電話したがI氏は会議中で後で電話をもらうことになった。
しかしその日は電話はなく、翌日2度目を掛けた。
その時もI氏は呼び出せなかったので電話に出たスタッフに風呂の椅子の赤い水について伝言を頼んだ。
吾輩はもう戻らない部屋でもあるし特に返事要らないし、事実を伝えることだけお願いした。
そうしておかないと、赤い水を残したのが吾輩のせいと思われるかもしれなかったからだ。
「結構人騒がせで、話題に欠かないホテルだと思った」
この一行がホテルに対する吾輩の感想のまとめだ。
13.旅のノート公開
14.資料 ホテル案内紙片(英語・日本語)
(おわり)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?