音楽屋の楽屋話(mikepunch × dot. Colaboration)
dot.さんとmikepunchさんのマスク・プロジェクト。
noteのつながりから、また一つのコラボレーションができ上がりましたね。
その、そもそもの始まりについては、mikepunchさんがこちらで触れられています。
私は、このコラボレーションには直接関わっておりませんでした。
そのプロモーションビデオ(PV)に使うBGMの制作をdot.さんに依頼されましたのを契機に、やったこともないPVの制作まで、引き受けることになりました。
私はこれまで、音楽作品の背景画像に飼い猫のスライド写真を使ってYouTubeにアップしたりはしています。けれども商品のPV制作は全く経験がありません。そこで、その二つの違いは、製品を表に出すか、音楽を表に出すかの違いだけと思うことにしました。けっこう大きな違いかもしれませんが、私は乗り掛かった舟には乗ってしまう性分。しかも、船頭さんがdot.さんですから、大船に乗った気分で参加させていただきました。^^
この記事では、私がこのプロジェクトに関わった顛末を、楽屋話として時間軸に沿って紹介させていただきたいと思います。
9月3日
dot.さんから、マスクプロジェクトのPV制作の依頼を正式に受けました。
この時点で聞いたこと。
① mikepunchさんのデザインがだいたい決まって、もうすぐ生地になる
② それをdot.さんが購入してマスクとかトートバッグを作る予定
③ 売り上げの一部を、noteで繋がる保護猫団体に寄付するという提案
9月6日
dot.さんから中間報告がありました。
パンチさんの生地デザインが終わって、今日生地の注文入れたので、近々発送されてくる予定。届いたらすぐに取りかかります!
おっ、気合十分だね♪^^
このメールで、mikepunchさんのデザインによる生地のサンプル画像を初めて拝見しまして、そのコンセプト「猫たちはお魚の夢を見る」を知りました。
「猫たちはお魚の夢を見る」
猫たちが並んで寝転んでいます。
猫たちの周りは魚の影でいっぱいになっています。
眠っている猫たちが魚の夢を見ているのです。
そのとき、私の手持ちのオリジナル「子猫のパヴァーヌ」が合いそうだと思いまして、dot.さんにタイトルを伝えました。
その時のお返事。dot.さんらしい。^^
パバーヌってなぁに?
テリーヌとかマドレーヌとかの仲間かなぁ
パヴァーヌとは何か?
それは、この記事の最後でご説明いたします。
9月12日
dot.さんから生地が届いたというメールを頂きました。
メールには、早速マスクを一つ作ったので、参考までに送るという言葉と、そのマスクの写真が添えられていました。
現物がなくても、写真だけで生地の質感がわかりました。
立体的なマスクの上でお魚の夢を見ている猫たちを拝見しまして、曲は「子猫のパヴァーヌ」に決めました。
よし!左側にピアノの鍵盤があるから、ピアノ版を使おう!
9月13日 9:37
dot.さんからのメール
とりあえず生地の組み合わせが終わったとこ!
これから裏地なども作って縫い合わせていきまーす
柄は全20種類
添付の写真には、生地の組み合わせが、ずらりと並んでいました。
これを全部作るのは、何日もかかりそうだと思ったのですが、なんと翌日の午後に・・・。
9月14日 16:42
dot.さんからのメール
できた!
画像送るね
画像は、全部で27枚ありまして、6通のメールに分けて送られてきました。
先のメールから30時間しか経っていない!
寝る時間と食事の時間、noteの時間、その他諸々差し引いたら・・・・。
何とまた、すごい早業だ!
メールには次のメッセージも・・・。
音学長のPV完成次第、記事アップと販売開始しまーす!
私も負けてはいられない。
即、Movie Makerを立ち上げて、送って頂いた画像を張り付けて、「子猫のパヴァーヌ」ピアノ版を張り付けて・・・みたところ、曲が短いのでスライド一枚あたりの時間が短すぎる。
マスクの画像は送って頂いた順序で並べたのですが、あることに気が付きました。
最初の9枚はモノクロのマスク。
10枚目からカラフルなマスクに変っている!
そこで、閃きました。
モノクロのマスクのところは、ピアノ版を使う。
カラフルなマスクのスライドから、ストリング・アンサンブルにする。
カラフルなサウンドはカラフルなマスクに合いそうだ。
同じ曲のストリングス版も作ってあったんです。
同日18:30
dot.さんから追加の画像が送られてきました。
そこに添えられていたメッセージです。
1つ送り忘れてた
円で縁
音学長好きそうなヤツ笑
これをどこに使うか考えまして、縁も円(お金じゃないよ)も好きな私のクレジットのスライド用に使うことにしました。もちろん「円で縁」というフレーズも付けて。
その時、家内から夕飯のコールが入って作業中断。
ここからしばらく、家庭サービスの時間です。^^
19時から、CATVの遠山の金さんシリーズ。(高橋英樹さんが金さん役です)
20時から、子連れ狼3(阿部頼母は前週にやられてしまったので、残るは柳生烈堂との宿命の対決。これは見ないわけにはいかない・・・)
で、21時から作業再開して、30分ほどで終了。
できたテスト版のスライド動画を限定版としてYouTubeにアップして、そのURLをdot.さんにメールしたのが、21時48分。
10分後、dot.さんから「めちゃめちゃイイではないかーーー!!!」というお褒めのメッセージ。
mikepunchさんに私のメアドを伝えて頂くように、dot.さんにお願いしてから就寝。(私は普通22時過ぎには寝ますので)
9月14日
朝、mikepunchさんからのメールが昨夜のうちに入っていたことを知りました。早速mikepunchさんにも、テスト版PVのURLをお伝えして、問題がないかどうかのチェックを依頼しました。
同日10時39分
mikepunchさんから、感動のメールが・・・。
PV拝見しました。
素晴らしいです!パソコンの前で号泣してしまいましたよ・・・( ;∀;)
そのあと、スライドの順番調整と、クレジット用のスライド画面の作成をやって、もう一度音楽を聴いてみたら、どうもピアノ版の音にBGMらしい優しさが足りない。
後ろに弦楽合奏の優しい響きを持ってきたので、そう感じるのか?
あらためて、ピアノ版を作った時に使った音楽制作ソフト(DAW)の構成をチェックしてみたら、音響効果の一つであるリバーブにあまり性能の良くないものを使っていることに気が付いて、そこを本格的なリバーブに変更。
また、それによって響きが変わったために、もたつきが目立ってしまったリズムを、テンポの微調整で修正。
このリズムの修正に一番時間を取られました。
同日15時35分
完成した最終版PVを、クラウド上の私のフォルダにアップして、そのダウンロード用のURLをdot.さんにメールで送信しました。
同日15時56分
dot.さんから、最終版PVを埋め込んだnote記事を投稿したとの連絡が入りました。
記事の原稿は前もって作成されていまして、その草案も前に見せて頂いていました。
それにしてもdot.さんがYouTubeへ投稿したのは初めてのことと思います。
やっぱり、dot.さんは仕事が丁寧で正確で、しかも速いです。
これまで、私と家内にそれぞれ作って頂いたマスクもスカートも、そうでした。
以上が、私が関わったコラボの楽屋話です。
☆
さて、ここからはパヴァーヌの説明をします。
モーリス・ラヴェルの作品に「亡き王女のためのパヴァーヌ」という管弦楽曲があることをご存知でしょうか。たいへん有名な曲で、YouTubeにもたくさん転がっています。
ラヴェルは、19世紀終わり頃から20世紀初頭にかけて勃興したフランス印象主義の大作曲家ですが、パヴァーヌという名称は、もっと古くからあります。
パヴァーヌは、もともと16世紀から17世紀にかけてイギリスで流行したダンスの名前です。
当時のイギリスは、貴族社会。貴族たちの間で流行したのは、速いテンポで踊るガイヤルドと、ゆっくりと荘重に踊るパヴァーヌでした。当時、パヴァーヌの名手と目されていたのは、先代のエリザベス女王です。先代と言っても、現女王のエリザベス二世より400年も前の人ですが。^^
パヴァーヌが、実際にどのような振り付けで踊られていたのかは、よくわからないようですが、踊りの種類は「踏み踊り」と言って、ゆっくりとしたステップで進行するタイプのものだったのは確かなようです。
エリザベス一世時代にイギリスで活躍した作曲家に、ウイリアム・バード(W. Byrd)という人がいまして、彼が作曲したパヴァーヌが残っています。
手前味噌ですが、私が制作したDTMアレンジをお聴きください。アレンジと言いましても、楽器編成をアレンジしたものですので、正確にはトランスクリプションになります。
この、ゆっくりとして荘重な音の運びを聴きますと、パヴァーヌという踏み踊りがどんなものだったのか、想像できるような気がします。
☆
と、ここまでは由緒あるパヴァーヌの説明でしたが、次に、コラボのPVのBGMとして使いました自作の「子猫のパヴァーヌ」の説明をさせて頂きます。
実は単純な猫バカ連想です。
パヴァーヌ → 踏み踊り → 踏み踏み → 子猫のふみふみ
ふみふみは、子猫が、いや成猫になってもやるあれです。
うっとりと夢見心地で猫がするふみふみ。
それなんです。
それがあったから、私の「子猫のパヴァーヌ」にmikepunchさんの「猫たちはお魚の夢を見る」とつながるものを感じたんです。
私の音楽制作は、一曲作るのに、飲まず食わずで(←ウソ)一週間はかかります。
今回異例の早さでPVができたのは、ひとえにこの「子猫のパヴァーヌ」という曲が私のライブラリにあったから。
何となく、ここにもnoteでつながる宿縁めいたものを感じております。
(おわり)