土壌診断の基礎

 皆さんは土に「適切な状態」がある事を知っていますか?
 排水性や保水性が良く、微生物が活発で多様性があり、作物が育ちやすい土。そんな土があるなら是非とも使いたいと思いませんか?

 土壌診断とは、そんな理想的な土と今現在の土に「どんな違いがあるのかを見付けられる手段」だと思ってください。
 診断では色々な測定項目があり、それぞれの数字は独立しているものですが、数字を比較したりグラフを作ったりと、確かな情報から1つ1つ土の状態を紐解いて行きます。

 測定項目は基本的なものでも非常に多く
 pH
 EC
 リン酸
 塩基飽和度
 カルシウム
 マグネシウム
 カリウム
 CEC
 硝酸態窒素
 微量要素
 など多岐に渡ります。細かく分析する場合にはもっと多くの項目が有りますがまずはこの基本の項目を理解しましょう。

 YouTubeで細かく解説している動画が有るのでまだ見ていない方や、それぞれの意味がわからない方は是非ご覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=Zzjd2GXlwfE&list=PLzeM7Osl1iBMatQyQ4fT1pmyLoJmq4Qf2&index=2


 軽くですがおさらいも含めて触れておきます。

pH
 水分にどれだけの水素イオンが含まれて居るかという濃度。1~14まであり1に近いほど酸性で14に近い程アルカリ性になります。pH単体で動画を撮っていますので詳しくはそちらをご覧下さい。
pHの恐ろしさ〜全農家に知って欲しいこと編〜
 https://youtu.be/4dsVbuqGINM


EC
 硝酸や硫酸、アンモニアなど全部の塩基の総量。これが高いと養分があると勘違いしている人が多いですが、ECだけでは断定出来ることでは無いので注意しましょう。


リン酸
 日本の土質は火山灰土壌が多いため土壌診断を行わずに毎年大量に投入するよう指導する所もありますが、足りないという事例はあまり見かけません。100人に数人程度です。



CEC
 それぞれの土の胃袋の大きさの様なもの。数値が小さかったり大きかったりで改善しようとするものでは無く、土の性質を踏まえた上でどう計画を立てていくかの目安。


塩基飽和度
 CECがどれだけ満たされているのかを知る数値。カルシウムとマグネシウム、カリウムのバランスが重要になっていて土の容量以上に入っていると、健康な状態に戻すまでに数年から10年以上の時間をかけて行かなければならない。


硝酸態窒素
 植物が使える状態になった窒素の量。前作の肥料の残りや緑肥成分、腐食などが窒素として残っていると出てくる。


微量要素
 自然の流れの中で供給されることが多くあまり気にする項目ではないが欠乏や過剰になると一気に生育に影響を及ぼすもの。ホウ素などが施用されることが多い。


 基礎的な部分はざっくりとこのようになっています。土壌診断はどこかビジネス的なイメージや宗教的なイメージをお持ちの方も少なくないと思いますが、実際はきちんとした科学に基づいて感覚ではわからない事をはっきりとした数値で示してくれます。
 毎年同じ作り方をしているのに何故か収量が落ちてきている。同じ圃場で出来が違う。隣の農家は同じ品種を作っているのに信じられない収量を取っている。何故なのか理由がさっぱりわからないという人にこそ一度騙されたと思って診断をしてみて下さい。今まで一回も診断をした事がない人には必ず診断費用以上の効果がある事だと思います。


 さてそんな土壌診断ですが、もちろん無料では出来ません。料金はピンキリで使う薬品の質や分析する機械、分析をかける人の腕によって多少なり結果は変わってしまいます。そういうものだと一回諦めて下さい。

 じゃあ何を基準に分析を出す企業を選べばいいのか?
 そんな話を土の基礎的な部分を交えながら、お話ししていきます。


 まず大きく分けてポイントが3つあります。


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