アトランタ・ドリーム②ドラフト選手
今年のドラフトの狙い
さて、第一回が終わってまだ数時間、もう第二回を書いていることに私自身が驚いているところです。さて、前回改善ポイントにていくつか紹介した改善ポイントを覚えていますか?
・2ptエリアでの得点率がよろしくない
・プレーメーカーが少ない
・ショットブロッカーが欲しい
・3ptラインあたりのディフェンス強化
もちろんすべてをルーキーが解決するというのはあまりにも楽観的すぎるところではあります(ベテラン仕事しろよって話になると思いますし、それは仰る通りです)
ですが、チームとしてもそういう選手を狙って獲得することはままあります。まさにチームの新しい主軸に据えたライン・ハワードなんかはチームの軸になる選手という狙いをもって獲得された選手ですよね。
さて、それでは今年のドラフトされたルーキーはどうだったのでしょうか。
彼女たちの話に行く前に少しドラフトについて話をしておくと、WNBAでは毎年36名の選手がやってきます。(WNBAでは指名が3巡目まで存在するため)
ちょうどマーチマッドネスが終わった4月(毎年大体4/11ごろ)に彼女たちのドラフトがされるわけですね。そうしてドラフトされた選手は先輩たちと練習の日々が始まります。
彼女たちが私たちがよく知るNBAの選手たちと違うことはルーキー契約中は契約保証額が定まっていないことです。
上に貼付した通りでベテラン選手にはProtectionがかかっていますが、Entry Levelというルーキー契約を結んだ彼女たちは、キャンプを終え、ロスターに残り、シーズンが始まったときに契約が始まるというなかなか恐ろしいルールなんですね。なので、前に紹介した、ハワードもヒルモンもキャンプを終えてロスターに残ってからサラリーが支払われるようになるんですね。
Gリーグも2way契約もないとなると、なかなか入ってからも険しい道が続くという訳です。
一応この話に詳しく記載されていた記事を見つけたので貼付します。こういうのを見るとやはりcbaというのが面白いなと思ってしまいますね
The WNBA Salary Cap and CBA Explained: Rookie Contracts Part One (substack.com)
さて、それでは選手の紹介に移りましょう。
ルーキー選手紹介
今回のドラフトで、ドリームは3つの指名権を持っていました。1巡目6位、8位、2巡目15位。そして1巡目3位も持っていましたが、これは前回記載した通りでアリシャ・グレイとトレードが成立し、ダラスにわたっています。
なので、今回は3名紹介する運びとなります。
紹介は前回同様、下記の4つを紹介します。
名前・身長・背番号・ポジション
昨シーズンスタッツ
概要
比較選手
それではいきましょう
Haley Jones
名前・身長・背番号・ポジション
名前はヘイリー・ジョーンズ。身長は6'1(185cm) 。背番号は13番。ポジションはPG/SG
大学名・昨シーズンスタッツ
スタンフォード大学・13.5得点-4アシスト-9リバウンド-0.9スティール-0.9ブロック
(FG%:43.2%,3pt%:9.4%)
概要
彼女は長身のポイントガードです。実はドラフトではもっと高い順位で指名されるんじゃないかといわれていた逸材ではあるんですが、強さと弱さがはっきりした選手ということで順位を落としていたようです。
余談ですが、彼女の趣味は動画を取ることで、ドラフトの日や練習の合間に映像を取っているところを目撃されています。あと、ドラフト当日、携帯をグリーンルームに置き忘れ、HCからtwitterで『電話に出ろ』といわれたところから『電話に出ろ』Tシャツが一部販売されていたようです笑
彼女の最大の武器はプレーメイク力。視野の広さとサイズを活かした展開はオンボールだけではなく、オフボールからハイポストに上がって外に展開するパターンも見れました。
これと同じく、スクリーンを使ったP&Rは彼女のハンドリングとパワーが相まって武器の一つとなっていますね。ペネトレイトしてペイントエリアを狙う場面でも彼女の軸の強さが窺えます。
ディフェンスでもP&Rの際のスイッチや、自分が走っていく場面でも相手のガードにサイズの圧力をしっかりかけられる選手であるため、そこまで心配することはないと思われます。
皆さん心配しているのは3ptの方だと思います。大学でNCAAを勝った年が一番3ptが決まっていてその年が35%。そこから確率が上がらないまま、今に至っているということです。なんだかアトランタ慣れしている私からすると耳が痛い話です。
さて、ここまでの流れを一旦整理してみると、下記のようになります。
彼女の長所
・P&Rでの判断力、パスセンスはある。
・ディフェンスもいい。
・ドライブできるパワーとハンドリング
彼女の短所
・3pt%
ただ、我々はこういう選手がどう使われたら強いかということをこの1年沢山見てきたと思います。それは"ペースを上げてプレーをさせること"。
そういう意味で彼女とチームのフィットは今のところ問題ないと思います。ドリームはこれまで同様、早いペースでプレーしていくでしょうし、外角に関してはハワードやアリシャ、エアリなどほかに撃てる選手もいますからね。彼女がリバウンドを取って、そのままゴーという形が恐らくチームにとっても、彼女にとってもいい形になるかなとは思います。
彼女の今後のキャリアを考えると3ptを避けて通ることはほぼ難しいでしょう。ガードとして歩んでいくならばなおのこと。ただ現状怖がらずに打っているところは私的には高評価です。臆することなくやっていいっていうのは私が今年JJから学んだことです。
まずは自信をつけること。そこからがスタートだと思います。そのあたりはコーチングスタッフ達の腕の見せ所ですね。
比較選手:ポイントフォワードとして起用されるなら、ジェイレン・ジョンソン、もしくはベン・シモンズあたりでしょうか。
Laeticia Amihere
名前・身長・背番号・ポジション
名前はレティシア・アミヒア。身長は6'3(191cm)。背番号は7番。ポジションはPF。
大学名・昨シーズンスタッツ
サウスカロライナ大学・7.1得点-1.3アシスト-3.4リバウンド-0.8スティール-1.1ブロック
(FG%:48.7%,3pt%:10.5%)
概要
さて、またしても3ptの苦手な選手と思うかもしれませんが、まぁ彼女は4年間で60本程度しか3pt打っていないので一旦そこは置いておいてください。彼女はカナダ人で、WNBAの世界では彼女と同じ8位指名された選手というのは2013年まで遡るようです。身長は6'3ですが、ウィングスパンは6'10近くあるようで、大学時代のダンクした映像だったり、直近のトレーニングキャンプでもダンク未遂をしていました。
これは余談ですが、実はドリームにはサウスカロライナ大出身者が多く在籍していて、そういうコネクションがあるんじゃないかと噂されていたりします。姉妹チームのホークスではデューク大が同じようなことを言われていましたね笑
彼女の持ち味はまずディフェンスです。その長い腕でウィングたちがドライブしようとするのをディフェンスし続けてきました。ライン・ハワードもその犠牲者の一人で彼女がドラフトされた後には『代表合宿ではずっと私の目の前にいたけど、やっと同じチームになって彼女のディフェンスから解放される』と冗談交じりに語っていたエピソードがあります。国際試合に出場経験もあり、ディフェンスに関して疑いようがないという見方が多いですね。
彼女のブロックのハイライトは色々あるので、是非見てみてほしいですね。
オフェンス面ではパスの中継役をこなすことができます。ポストに入った味方にパスを出したり、ドライブからキックアウトで外の味方にもパスを回せます。前述した通り、このチームはボール回しが少ないことが挙げられているので、中から外に展開する役目を彼女が担うなら、そこにハワードやアリシャの外を合わせることも難しくないでしょう。
弱点はキャッチ&シュートは現状では難しいでしょう。4年間で14本/53本と25,26%位の確率ですので、今すぐこの役割を担わせるのは難しいと思います。それからサウスカロライナ大時代でプレータイプは20分以内だったので、それ以上出場したときのパフォーマンスも気がかりなところです。
さて、一旦まとめてみましょう。
彼女の長所
・ディフェンス
・ボールの中継役
彼女の短所
・3pt含め、外角
正直チームが欲しているボール回しの役割だったり、私が勝手に思っているディフェンダーの獲得としては申し分ない存在じゃないかなと思っています。こういうタイプの選手の育成はコーチングスタッフが苦労するような気もしますが、裏を返せば腕の見せ所。どんな成長を見せてくれるか、個人的には楽しみな存在です。
比較選手:ハーブ・ジョーンズ
Leigha Brown
名前・身長・背番号・ポジション
名前はレイア・ブラウン。身長は6'1(185cm)。背番号は33番。ポジションはG/F
昨シーズンスタッツ
ミシガン大学・17.5得点-5.8アシスト-5.1リバウンド-1.1スティール-0.3ブロック
(FG%:51.3%,3pt%:29%)
概要
彼女は前に紹介したナズ・ヒルモンとは元チームメイトで、こんな写真があがっていました。
彼女たちは二人とも15位で指名されていて、ミシガン大での最高指名順位タイとして並んでいるようです。
さて、彼女の強みはというと、まずは複数ポジションを担当できるところでしょうか。彼女も元々はウィングの選手でしたが、4年時にはリードガードとしてチームをけん引し、チームを勝利に導いています。
プレーメイク力もさることながら、得点力でも抜きんでたところがあり、特にミッドレンジのジャンプシュートを得意としています。3ptはキャリアの中では32%台とシューターというところまではいかないものの、オフェンスの選択肢の一つには組み込まれているでしょう。それから彼女の魅力にはP&Rでの崩しができるということ。アイソレーションのみならず、チームメイトを活かしたプレーができるというところは4年目で身につけたリードガードとしての経験も活きてくるかなと思っています。
彼女の弱点としてはディフェンスでの存在感が薄いということでしょうか。オフェンスでは潤滑油としてチームを回せる素質ではありますが、順位を落とした要因としてはこの辺りが関わっているのかな、というところです。
さて、一度ここまでまとめてみましょう。
彼女の長所
・複数ポジションを兼任してきている
・ミッドレンジシュートがうまい
・プレーメイクもでき、P&Rの選択肢もある
彼女の短所
・ディフェンスでは存在感が薄い
ドリームにおいては恐らくオフボールから動く形になるとは思いますが、彼女のプレーメイク力は全く無駄になるかといえばそんなことはなく、色んなポジションを回しながら、最適解を見つけるのではないかなと思います。個人的には彼女とエアリとヘイリーのバックコートを見てみたいなというのが率直な感想です。
比較選手:カイル・アンダーソンもしくはケビン・ハーター
最後に
さて、これでルーキーの紹介も終わりました。
次回以降は試合見て思ったこととか、数日中にロスターが確定するので、その際に前回、今回で紹介しきれなかった選手をサラッと紹介する回があってもいいかなと思っています。
読むの大変だったでしょうが、読み切っていただき、ありがとうございました。