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必要とされたい女の子の話。

昔々、ある夢を持った女の子がおりました。

その子はあるものが欲しかったのです。
自分で買うのではなく好きな人に贈られたかったのです。


あるものとは、全女子が1度は憧れたことがあるだろうジェラートピケのモコモコパジャマです。

どれでもいい訳ではなくて、2月のバレンタイン限定のモコモコのものが欲しいのです。

女の子には、彼氏ができました。
その彼氏に「あのパジャマが欲しい」と話しました。
しかし鈍感な彼氏は、「いいね!買ったら?」と言いました。

彼はそういう人なんだ。
パジャマとしてはかなりの高級品だし、もう言えないと女の子は諦めました。

あれから7年。
会話の無くなった夜。

ふと寂しさを感じて、ジェラピケのパジャマが欲しいと思いました。

何度も「可愛い」「好きだよ」が欲しいという女の子。
「もう何度も言ってるよ」と彼氏。

何度も言ってくれてるのは分かってる。
でも何度も言って欲しいのが女なんだと訴える女の子。

理解してくれたように感じても女の子から「可愛い?」と聞かなくてはオウム返しが始まらない。


会話のない夜でも
寂しいと感じた時でも

自分は大事にされてると思いたいから
普段彼が買わなさそうな高級なパジャマが欲しいとまた思うようになりました。

女の子は自分で買おうかなとも考えましたが
大事にされてる気持ちが欲しいから欲しいのであって、
自分で買うと虚しさが込み上げます。

可愛いさが理解できなくても
可愛いパジャマを可愛いって言って欲しいんです。
パジャマが可愛いと思えなくても、可愛いパジャマを着て喜んでる私を見て可愛いと言ってくれたらいいんです。
何が可愛いとか詳細は要らないです。
ただ必要な時に「可愛い」「好きだよ」と言われたいです。


女の子は昔より強くなりました。
思っていたことを相手に言わない力を身につけました。

そしたら涙が出なくなりました。

涙を流すことでストレスを発散していた私は、発散の仕方を1つ失いました。

そしてもう1つの手を使いました。

それは、独り言です。
女の子は、本当の気持ちを言葉に出すと涙が出ます。
言いたかったのに言えなかった言葉。
伝えたいのに言葉にできなかった気持ち。

女の子は、少し前の出来事で感じたことをぽつりぽつりと1人で声に出し始めました。

出来事を時系列に話していくうちに、女の子はようやく涙が出ました。

涙が出るきっかけになった言葉によって、女の子は自分の気持ちに気づくのです。

必要とされたいんですね。
必要のされ方は色々あります。

大切にしてくれていない道具としての必要のされ方
商売道具としての必要のされ方
トロフィーとしての必要のされ方

女の子は必要のされ方を選びませんでした。

なのに、彼は女の子を道具にもしないし経済力のあてにもしないし自慢にもしません。

女の子は、「必要としてるよ」の言葉以外に頼れるものがありません。


女の子は、ある人に「君が考えてる事は1度も考えたこと無かったと気付かされることが多い」と言われました。

女の子はその人のように考えなかったら、気にすることがなければこんな気持ちも生まれないんだなと思いました。

女の子は分かっています。
自分がとてもめんどくさいタイプの女だということに。

だから、自分のことを大事にしなくていいと口に出すのです。
本当は誰よりも大事にして欲しいのに。

女の子は彼に
「君は人に大事にされたいんじゃなくて、たぶん自分に大事にされたいんだよ」とわけの分からない、分かりたくないことを言われました。

もし本当にそうなら、7年前の夢は自分で叶えないといけないということなんでしょうか。

強制終了。おわり。

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