義母も女だと思ったとき(その11)
デイケアセンターから家に来る介護士は、皆さん真面目で仕事がよくできた。
オムツ替えも手際が良く、義母への話しかけも沢山してくれていた。
ケアマネージャーの男性以外は主婦の介護士で、週三日ほど、三~四人くらいの人たちが交替で来ていたように思う。
介護士が一番心配していたのは、デイケアセンターから戻った後に義母に水分を取らせることだった。
家に戻れば必ず義母に一杯のお茶を飲ませていたのだ。
あの頃のパシールは、とにかく疲れていた。
深夜まで仕事をしていると、朝は起きられない日もあったのだ。
そういう日はパシールに代わり、義母の世話は出勤前の連れがしていた。
また、義母がデイケアセンターに行く日は玄関の鍵をかけないようにして、介護士の人たちが自由に家に入れるようにしていた。
ある日のことだ。
介護士の人たちのハシャイだ声で目が覚めた。
介護士1「あれ、奥さんは?」
介護士2「寝てる~!」
介護士1&2「ワッハッハッ~!」
パシールのような体たらくな嫁は他にいなかったのだろう。
でも、事情はデイケアセンターの人たちに話してあったのだ。
面白がって話しをしていただけだとは言え、ご近所さんの目もある。
それ以降、家の中に介護士の人たちが出入りするのが不快になってしまった。