青色専従者の給与、いくらにすると「お得」?
こんにちは!
今日は「青色専従者給与」についてお話します。
独立開業した個人事業主の方や、これから開業しようという方は、毎日が試行錯誤の連続で、聞いたこともない制度や知識に触れることも増えますよね。
その中でも、開業した先輩から「配偶者や家族を青色専従者にするとお得だよ」という話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
専従者にすると何故お得なのか。
そもそも「青色専従者」「青色専従者給与」とは何か。
そして、専従者給与の金額はいくらで設定したらいいのか。
そんな「最初の一歩目」のお役に立てるように記事を書きました。
ぜひ最後までご覧くださいね。
1.「青色専従者」「青色専従者給与」とは
青色専従者なんて言葉、日常ではめったに聞かない言葉ですよね。
今日は「一歩目」の記事ですから、簡単に一言で説明します。
青色専従者とは、個人事業主と一緒にお仕事をする家族のことです。
個人事業主の配偶者、親、兄弟が、一緒にお仕事をして、生計を一つにしていたら、専従者となります。
そして、青色専従者給与とは、青色専従者へ個人事業主が支払う給与のことです。
2.青色専従者給与はなぜお得なのか
個人事業主の方が、家族にお給料を払うとなぜ「お得」になるのでしょうか。
それは、
青色専従者に支払うお給料(青色専従者給与)は、【全額】個人事業主の経費として計上することができ、個人事業主の所得税を節税することができるから
なんです!
青色専従者給与が経費になることは、web検索するとすぐ出てきますので、ご存知の方も多いでしょう。
所得税の計算をすごく簡単に説明すると、
「売上(収入)ー経費」×税率 、です。
つまり、経費が大きくなればなるほど納める税金は少なくなります。
しかしながら、なんでもかんでも経費にできるわけではないことも皆様ご存知の通りです。
その中で青色専従者給与は支払った給与の全額が経費にできる、という強力な節税効果を持っています。
3.青色専従者の給与は高額であればあるほどお得か?
青色専従者給与は全額経費になるからお得だと、お伝えしました。
では例えば、配偶者の青色専従者給与を1,000万円にすれば、より「お得」になるのでしょうか。
まずは、青色専従者給与として認められる金額に上限があるのかが問題になりますね。
実は、青色専従者給与に上限はありません。
ですが、事業規模や業務内容にふさわしい金額でなければならず、事業規模に比べて高額である場合には税務署から指摘される場合があります。
では、事業規模にふさわしい金額の最大金額を設定すれば、経費の金額も大きくなり節税効果が最も高くなるのでしょうか。
もうこんな書き方をしていれば気付いていらっしゃるかと思いますが、
「青色専従者給与を高くすれば節税効果が高まる……わけではない」です。
青色専従者給与を高額にすれば、個人事業主の所得税は抑えられます。
しかし、青色専従者給与を高額にすることで、青色専従者の所得税や住民税などが増えてしまい、結果として節税効果を損なってしまう場合があります。
この後もう少し詳しく説明しますね。
4.「○○万円の壁」との関係
青色専従者制度をお得に活用するためには、
青色専従者にかかる税金と、個人事業主の所得税の節税のバランスが重要です。
青色専従者も個人事業主からお給料をもらうので、金額によっては「所得税」や「住民税」がかかりますし、「社会保険の扶養から外れてしまう」場合もあります。
配偶者が青色専従者になることが多いですが、配偶者の給与をいくらに設定するか考えるときに出てくるのが「○○万円の壁」です。
103万円の壁、130万円の壁、150万円の壁、など聞いたことがある方も多いでしょう。
どんな時に壁が出現するのか、一覧表にまとめました。
壁の出現率が高すぎますね。
いっぱいあって分かりにくい!
ですが、青色専従者の場合に見るべき壁は下記イメージ図の赤枠だけです。
特に注意していただきたいポイントは、
配偶者を青色専従者とした場合、配偶者控除は受けられない、
という点です。
青色専従者制度と配偶者控除は、同時に利用できない制度なので、ご注意くださいね。
5.結局いくらに設定すればいいのか
壁は少し減ったけど、結局いくらに設定するのがお得なのか。
そこが一番問題ですよね。
目次からここに飛んできてくださった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言えば、青色専従者給与は
【月額8万円】または【月額10万円】
に設定することが、おススメです。
それぞれ理由を見ていきましょう。
(1)青色専従者給与を月額8万円にする場合
青色専従者給与もお給料なので、月額88,000円以上に設定すると、所得税を「源泉徴収」しなければいけません。
毎月(特例の場合、半年に1回)、源泉徴収した所得税を納付する、という事務手続きが発生します。
そのため、青色専従者給与を月額8万円にすることで、源泉徴収の事務の手間を減らすことができます。
また、月額8万円とすると年額は96万円となり、住民税も非課税となります。
※自治体によっては、もう少し低くする必要があります。お住いの自治体で確認してみてください。
青色専従者制度を活用する場合、配偶者控除は受けられませんが、配偶者控除(38万円)よりも、青色専従者給与96万円(年額)を経費とする方が、より節税効果が高いです。
(2)青色専従者給与を月額10万円にする場合
この場合には、先ほどと違い、源泉徴収が必要となります。また、住民税もかかってきます。
ですが、青色専従者の給与を月額10万円(年額120万円とした場合、所得税と住民税の負担はおおよそ3万円程度となります。
※所得税
(120万円-基礎控除55万円-給与所得控除48万円)×5%
=8,500円
※住民税
(120万円-基礎控除55万円-給与所得控除45万円)×10%
=20,000円
このように、思ったよりも大きな負担へ変わってしまうわけではないのがポイントですね。
青色専従者の給与を月額10万円にすることは、社会保険の扶養に入ったまま、最大限個人事業主の所得税を削減することができる金額設定となっています。
もちろん、事業内容や規模、住んでいる自治体、配偶者も含めたライフプランなどで、検討すべき事項や重視すべき事項は違ってきます。
上記はあくまで一例ですが、青色専従者給与を考える一歩目としてご活用ください。
以上、行政書士法人 全国理美容コンサルティングでした。
最後までご覧くださり、ありがとうございます!
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