「医療費のお知らせ」のお話
新年あけましておめでとうございます。
本年も皆様のお役に立つ情報をお届けしてまいります。
よろしくお願いいたします。
さて、新年最初の記事は「医療費のお知らせ」についてです。
医療費のお知らせ、と聞いてピンとこない方はぜひ最後までご覧くださいませ!
1.「医療費のお知らせ」とは
「医療費のお知らせ(医療費通知)」とは、皆様が加入している健康保険から、皆様が利用した医療費などを知らせる書類です。
なぜ医療費に関する書類が送られてくるのかというと、3つの大きな目的があると言われています。
目的①
医療費の履歴を確認してもらうことで、健康状態を確認してもらう。
目的②
医療費の総額を通知することで、加入者全体の医療費が増加しないよう抑制する。
目的③
医療機関から行われた医療費請求に誤りがないかを確認してもらう。
健康保険は協会けんぽだけでなく様々な組合が運営していますが、どこも財政状況が厳しいため、医療費について加入者の方に少しでも意識してもらうきっかけとして位置付けられているようです。
今回は協会けんぽから送られてくる「医療費のお知らせ」を例に説明していきますので、ぜひ参考になさってください。
2.「医療費のお知らせ」に記載されている項目
「医療費のお知らせ」は医療費の記録が記載されている書類ですが、より詳しく言えば医療機関を受診した記録が記載されている書類です。
「医療費のお知らせ」に記載されている項目を見てみましょう。
【「医療費のお知らせ」に記載されている項目の例】
①診察を受けた人
②診察を受けた年月
③医療機関の名称
④医療費の総額
⑤加入者の支払った金額(自己負担額)
などが記載されます。
「医療費のお知らせ」がお手元に届いたら、項目すべてに記載があるか、記載内容が間違っていないか、必ず確認してください。
3.「医療費のお知らせ」は何に使うの?
「医療費のお知らせ」は平成29年分から医療費控除の申請の際に添付資料として利用することができるようになりました。
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができる制度です。
【国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)】
医療費控除を簡単に言うと、医療費の負担が大きい人が利用できる節税対策の制度、となります。
その節税対策の際に「医療費のお知らせ」を活用することができます。
4.注意するべきポイント
医療費のお知らせが届いたら、必ず項目を確認して欲しいと先ほどお伝えいたしました。
確認をする際には、下記のポイントに注意してみてください。
ポイントを意識することでスムーズに医療費のお知らせを読み解けると思います。
注意ポイント①「期間」
医療費のお知らせは「令和1年10月~令和2年9月」までの医療費の履歴が記載されています。
令和2年1月から12月の履歴ではないことで、混乱してしまうことも多いので、期間は重要なポイントです。
医療費控除に利用しようとしている場合、令和1年10月から12月分が含まれてしまっている点と、令和2年10月から12月分が記載されていない点、に特に注意してください。
では、なぜ令和2年10月から12月の記載がないのでしょうか。
協会けんぽの方がサボっているわけでは、もちろんありません。
実は、医療費のお知らせを作成するために必要な医療費のデータは、診療日から3か月以上かかって協会けんぽに送られるのです。
そのため、医療費のお知らせを加入者に送るタイミングには間に合わないので、10月以降の診療にかかる医療費は記載されていません。
★医療費控除を利用する際に、令和2年10月から12月の医療費も申告したい場合には、該当期間の医療費の領収書を必ず保管してください。
注意ポイント②「金額」
医療費のお知らせには「加入者の支払った金額(自己負担額)」が記載されています。
しかし、ここで記載されている金額が、実際に医療機関に支払った金額と異なっていることがあります。
この原因としては例えば、「高額療養費の払い戻し」と「差額ベッド代等入院費用」が挙げられます。
高額療養費の払い戻しを受けている場合には、実際の自己負担額が医療費のお知らせに反映されていないため、医療費控除の際に自分で実際の自己負担額を申告する必要があります。
また、差額ベッド代を含む入院費用の場合には、保険適用外である差額ベッド代は医療費のお知らせに記載されません。
(差額ベッド代は医療費控除の申告の際に計算に入れることができません)
「医療費のお知らせ」に記載される医療費は、あくまで健康保険が適用された医療費だけ、となります。
手元の領収書の金額と違う、と慌ててしまう方もいらっしゃいますので、ぜひこのポイントも押さえてくださいね。
5.いつ届く?
さて、これまでお伝えした医療費のお知らせですが、いつ頃皆様のお手元に届くのかについてもお伝えいたします。
令和2年分の医療費のお知らせについては、令和3年1月中旬から2月上旬ごろ、事業所宛に発送されます。
確定申告にも用いることのある書類ですから、今月から来月中旬ころまでは気にして待ってみてください。
6.最後に
いかがでしょう。
医療費のお知らせ、と聞いて何となく毎年会社から渡されるけど何が書いてあるのかはよくわからない方の一助となれたでしょうか。
今年は昨年から続く感染症拡大の不安もあります。
ぜひこの機会にご自身の医療費について確認してみてください。
2021年の皆様が健康でありますように。
行政書士法人 全国理美容コンサルティング
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