東京でシク教徒になってみた!
皆さんは「インド人」と聞いてどんな人を想像しますか?
もしインド人の絵を描いてみて、と言われたら?
多くの人は頭にターバンを巻いた男性を思い浮かべるでしょう。それがシク教徒です。
インド人の象徴のように思われているターバンですが、実際にはインド国民の1.7%に過ぎないシク教徒しか、かぶりません。
2018年の夏、私は茗荷谷にあるグルドワラ(シク教寺院)を訪問しました。
海外旅行ができない今、懐かしさとともに、当時書いたレポートをお届けします。
【 シク教とは? 】
シク教(シーク教/スィク教)は、ちょうどムガル帝国が建国されたころに、パンジャーブ地方でナーナク(1469~1538)(↓肖像)が開いた一神教です。
ヒンドゥー教のバクティ信仰(神への絶対帰依)と、イスラム教のスーフィズム(神との合一を求める神秘主義)を融合したような宗教で、カーストや女性蔑視を否定し、輪廻を信じ、人類はみな平等と考え、聖職者はいません。
シクとは「弟子」の意味。それに対し開祖ナーナクとその後継者を「グル(師)」と呼びます。名前の最後に「シング(シン)(獅子、の意)」がつく男性、「コウル(姫、の意)」がつく女性はシク教徒。つまりインド人に名前を聞くだけで、シク教かどうかわかるのです。
そういえば昔、タイガージェット・シンというプロレスラーがいましたよね。彼もシク教徒だったのです。
また男女問わず、右手に鉄の腕輪をはめているのもシク教徒のあかしです。
【 神秘的なキールタンの響き】
日本に2つしかないシク教寺院のうちの1つが茗荷谷駅の近くにあります。2018年のある日曜、そこを訪問しました。
手足を洗い清め、頭をスカーフでおおって礼拝所に入ると、信者の皆さんが「キールタン(賛歌)」を歌っていました。これはナーナクが書いた詩にメロディーをつけたもの。
伴奏に合わせて、パンジャービー語で歌われるキールタンの大合唱を聞いていると、意味が分からなくても、人々の宗教的な高揚感に圧倒されます。
↑歌いながら伴奏を弾く人たち。
左は箱型の手動オルガン(ハーモニウム)。右は小太鼓のタブラ。
偶像崇拝はしないので祭壇に神やグルの像はなく、ただ分厚い聖典が置かれています。この聖典は擬人化されていて、第11代目のグルとして崇拝されています。
入ったらまず祭壇に向かい、ひざまずいてお辞儀をし、お布施をします。礼拝中は男女別々に座ります。
↑ピンクの布で覆われた聖典。
スクリーンには、キールタンの歌詞が英訳とともに映し出される。
【ランガルでシク教徒と仲良くなろう】
礼拝が終わると、みんなが一列に並んで食事をします。シク教といえば、この「ランガル(食事)」。
シク教では誰もが寺院を訪れることを歓迎していて、カーストの違い、宗教や民族の違いがあっても、一緒に同じものを食べることで仲良くなれる、と考えています。
私も信者さんに混じってランガルをいただきました。この日のメニューはジャガイモの煮込み、豆カレー、ヨーグルトスープなど。
日本暮らしが長い信者さんばかりなので、みなさん日本語がお上手です。シク教やインドのことを色々おしえてくれます。
↑ランガルの様子。おかわり自由♡
シク教の総本山、パンジャーブ州アムリットサルにある「黄金寺院」(見出しの写真)で行われるランガルは特に有名で、『聖者たちの食卓』というドキュメンタリー映画にもなりました。
毎日10万人分もの食事が、たった300人のボランティアによって準備される様子が描かれています。いわば世界最大の無料食堂。
いつかまた海外にいけるようになったら、ぜひ行ってみたいと思っています。
↓こちらから『聖者たちの食卓』の予告編が見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=NAsa5gzQROM
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