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バレンタインデー

バレンタインの一番古い記憶は、小学校高学年。
初めて買った不二家のハートのチョコレート。誰に渡したんだんだろう。
女子の仲良しグループが2つあって、ミルクグループとリボングループ。
かといって、ごちゃ混ぜにみんなで仲が良く、女子のよくある一時的な仲間外れはあったけど、大きなトラブルってなかった。

クラスでモテていたのは市川君。なんでモテたのかなって思い出してみると、当時流行っていたテレビの「あばれはっちゃく」の主人公に似ていたからかな。ただ、あばれはっちゃくはやんちゃだったけど、市川君は身体が弱くて、学校は休みがち。なのに女子達の憧れの的で、数人で学校を休んでいる市川君にカセットテープでメッセージを吹き込んで家に届けたことがあった。
お母さんに家の応接室に招かれた。市川君のお父さんは競輪の選手でトロフィーや写真が沢山飾ってあった。今思えば、市川君のお母さん、小学生の女子達相手におもてなしするって優しいな。

あれから40年、バレンタインの風習は変わらず続いている。今日は息子の彼女から可愛いチョコレート。小物入れには何を入れよう、嬉しいな。

手作りのチョコレートって、わたしは好きな男性にプレゼントしたことがない。
最初で最後の手作りのバレンタインチョコレートは父親に。
晩年身体も弱り、お酒を飲まなくなって、甘いものを食べるようになったと聞いた。そこで、お菓子作りの上手な友達にお願いして一緒に作ってもらうことになった。

綺麗に焼けたチョコレートマフィン。結局友達がほとんど作ってくれたのだけど、父に送ると喜んでくれた。
それから3か月と少しで亡くなったから、父への最後のプレゼントになった。

変だな、父のことが大嫌いだったのに。

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