シーズン5:第8話 有名な最期の言葉 Famous Last Words
冒頭の1969年のロジャー勤務先での授業の様子はドラマの進行上で必要?などと思っていたのですが、「武器を埋める」行為が平和を得るための行いである、という話はエピソード終盤のシーンと呼応していたのね。
ロジャーが学生に訊かれて答えた最後の言葉がいいです。「歴史に名は残らずとも、我が言葉と行いはとどめたまえ、愛する人の心に」これは原作のセリフ通りなんだろうなと推察。
絞首刑にされた前後のシーンが白黒の無声映画風の演出で映像化されているのも面白い。これは冒頭のシーンでロジャーとブリアナの会話に無声映画の話が出ていたところからのながれか。九死に一生を得たロジャーにジェイミーが掛けた言葉は “You are alive. You’re whole. All is well.” だったのね。シーズン5の最終話でフラッシュバックだわ。
リッジの領地内に石を積み上げたマータフの墓が。ジョカスタ叔母さんの歌が哀しくせつない。歌手でもある方だから、歌も上手いのね。ジョカスタの胸元にはマータフがプロポーズしたときに渡したチャームが。叔母さんを見送ったジェイミーもまたマータフの死に打ちひしがれて、マータフが胸に付けていたジョカスタのチョーカーと同じデザインのブローチが手に握られている。
ロジャーが誤って絞首刑にされたことを謝罪した総督から2,000ヘクタールの土地が譲渡されたものの、事故から3ヶ月経ってもロジャーは深刻なPTSDを抱えている。この病について、まだPTSDという名前がなかった時代なので、ブリアナやクレアの言う病名が興味深かった。
「いとしのクレメンタイン」をジェミーに歌って聞かせるブリアナ、歌が上手い!以前はロジャーに歌はダメって言ってたけど、ロジャーより上手いのでは?
森でジェミーの子守をするジェイミーとクレア。こんな平和な幸せが2人に訪れるなんてねぇと、これまでのシーズンを振り返って感慨深い。そして何とイアンが再登場!優しくて少し頼りないスコットランド少年の姿はもうそこには無く、精悍な顔つきの陰を持ったモホーク族の青年となっていました。ロジャーとの再会はお互いに思うところがあるだろうし、感情的になるよね。そんな心情を見事に表現したロジャーが素晴らしい。
マーサリとロジャーのタロットカードのシーンはカットしても良かったのでは。その直後のブリアナとのシーンが本エピソードの山場の1つ。ブリアナが自分もレイプの後でどれだけ苦しんだかを話し、それでも夫と子供のために闘ったのだと詰め寄るシーンは彼女の気持ちが痛いほど伝わるのだけど、今ここでそれを言ってはロジャーを追い詰めることになるのでは?と心配しました。
帰還したイアンを迎えて皆での食事会。イアンは殆ど話さず、何かを心に抱えている様子。ベッドで眠ることがずっとないと、床で寝る方を選ぶんだね。昔『キャスト・アウェイ』って映画でも観たよ。イアンを気遣うジェイミーの寄り添い方は良いね。
譲渡される土地の測量に出掛けるロジャーとイアン。声の出ないロジャーとあまり語らないイアンの組み合わせは良いのでは。崖の上に立ち、死を考えるロジャー。でもブリアナの顔が思い浮かんで踏みとどまる。
整えられたイアンの寝床、つながれたロロを見たロジャーはイアンの行動を疑い、森を探す。斧を土に埋め、クレアの治療院から盗んだ猛毒の植物の根を煎じているイアンを見つけたロジャーは邪魔をする。同じように死を望んでいたロジャーにだけは邪魔されたくなかったイアンはロジャーと争う。このシーンで2人が本音でぶつかり、前を向く意志を持つところにほっとしました。
最後の言葉よりも、最後に思い浮かぶ人の顔か、どちらも大事だと思うな。
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