石垣島の夕焼け
石垣島カフェキッチン・セントエルモでお茶をしていた私たちは、優しく夜を迎えようと暮れゆく海をカフェテラスで眺めていた。
到着した時には明るく澄んだ空色が、今は白んだ勿忘草の可憐な色へ変化していく。
キラキラと反射する光も刻一刻と黄金色に変わり、いずれ、全てを塗りつぶす夜がやってくる。
石垣島の夏は夕暮れ時もなお暑く、並んだ2つのアイスコーヒーはあっという間に水滴をグラスの表面に膨らませた。
ケーキを食べながら母が、「観音崎灯台から陽が沈むところが見える」と言った。
「ここからなら直ぐだよ、まだ間に合う」
まだ間に合う、その言葉を受けて直ぐに席を立った。
観音崎灯台は、駐車場が少し離れたところにあり、車を置いてからすこし歩く。
観光スポットではあるが、手入れをされていない雑草が足元へ伸びる。軽く掻き分けながら、四角い灯台へと向かった。
焦がすような太陽から優しい夕日の光へ。空気が適温に変わっていく。
それでも夏の日差しは強く、灯台の壁面へと夕陽が色を落とす。空とおなじパステルの光。そして、影。
優しく解ける気温と気持ちよく吹く風、美しい景色。
全てが許されたような心地になれる場所であった。
キラキラと黄金色に輝くゴールデンアワー。
太陽が沈み切るまで、ずっと見ていた。
輝く陽が沈みきっても、空はまだ明るい。
そこで母が「フサキビーチならまだいける」と言った。
フサキリゾートは車で5分もしない位置にある。薄暮のビーチにはまだまだたくさん人がいて、優しいパステルの空と海を楽しんでいた。
沖縄は昼間のエメラルドグリーンの海は勿論、夕暮れ時もとても美しい。
石垣島はどこにいても僥倖に出会える。
あの全てを許されたような世界に浸って、浄化されにまた行きたいものだ。
(エッセイ調にしてみた)