#23「スキ」
noteの記事を(おそらく)最後までは読まず、自分のページを見に来て欲しいために「スキ」を残していくというような、ビジネス・インフルエンス系アカウントに時々見られるPR手法がある。
お読みのあなたが書き手なら、もしかすると似たような経験があるかもしれない。
フォロー外でこの記事にたどり着いてくださった皆様に対しての物言いとしてはすごく不躾なのだが、こと今回の記事に関しては、それは一切ご遠慮いただきたい。
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なんでそんな高圧的な注意書きを頭っから書き殴ったのかというと、まあ実際そういう匂いのする手合いが特に近年は多いなあと思うのもあるが、この「スキ」というのがなんとも妙な響きだなあとも思ったためで。
ネット老人の昔話に少しお付き合いいただこう。
元始SNSは太陽であった。
もとい、ゼロ年代終盤くらいにかけてはSNSは一部の物好きなネット民がクラスタ内の交流に使っていた程度の、今よりも匿名性・閉鎖性の高いオプショナルなツールだった。
それがおもむろに風向きが変わり…あるいは別の方向から風が吹き込んできたというべきか、本名万歳、顔写真万歳、企業広告万歳の一億総アカウント時代に突入しだしたのはおおむね2013年頃からだったかと個人的には記憶している。
当初は「ふぁぼ」だった(黄色い星マークでFavoriteをつける、ブックマークに近いニュアンスの機能だった)Twitterはいつしか「いいね」でハートを送り合うようになり、あるいはグッドボタンの数でコンテンツの質を図るようになった。
「いいね」「Good」「Like」「ハート」…そして「スキ」。概して括れば、つまりは「素敵だと思いました」ってことでしょ?それがこれだけの(そしておそらく他にもたくさんの)表現の幅を持つのだからコトバってすごい。
そしてその中でも「スキ」というのはなんというか、メッセージ性の味付けが濃ゆい。
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