
全日本大会を"凄く"したい
全日本ミドルロング2022の実行委員長を務めましたS.Kumeです。
約1,000名の皆様にご参加いただけたこと、心より感謝しております。
この記事は、2本立てでお送りします。
(1)2022年度の全日本ミドルロングの運営に参画してくれた運営者に対して、初めてのミーティングで説明する15分間の「イントロダクション」を文字に起こしてご紹介してみます。
(2)2022年度の全日本ミドルロングの最初のミーティング(3月末頃)に実施した「ブレインストーミング」の内容を抜粋してご紹介してみます。
すべてをお伝えすることが出来ませんが、どんなことを考えて運営を行っていたのか、この2本を通して綴り、書き残しておきたいと思います。
(1)運営者向けイントロダクション
キーンコーンカーンコーン、木曜20時になりました。
全日本実行委員会ミーティングのお時間です!
(※こんな始まり方したことない)
皆さん、大体20:00ぴったりにZoomに入室してきます。


さて、どうして今の体制でやっているの?というところをお話しておきます。

全日本大会(ロング)は1975年に始まりました。
それから約40年間と長い間、「県協会の持ち回り制」で全日本大会は続いてきました。
日本オリエンテーリング協会(JOA)は各都道府県協会に全権委任をしておりましたが、2010年を過ぎた頃?から、選手からの競技の質の要望は上がり、県協会の運営能力がそれに見合わなくなり、全日本の質やブランドは低下してしまい、県協会の方々は開催を押し付け合うようになりました。

2012年頃から、本当に全日本大会の担い手が見つからなくなり、プロデューサー制のもと、4年間全日本大会は開催されました。
1期がYMOE山川克則プロデューサー、2期がNishiPRO西村徳真プロデューサーでした。
お二人とも、豊富な大会運営経験はありますので、全日本の質やブランドは向上していきました。
しかし、プロデューサーへの開催負荷負担は重く、お二人が「このままでは全日本大会は誰もやらなくなる」と理事会に直訴しにいらっしゃいました。
そこで、JOAのいちブロック理事の私が打ち出した次の案が下記のような形です。

「全日本大会」はJOAの主要事業のひとつなのだから、開催責任/会計責任はJOAが持つこと。でも、JOAには運営ノウハウやパワーが足りないので、全日本委員会の中に事業者の皆様(YMOE様、NishiPRO様、宮西山野精図様、坂野山遊地図企画様)にもボランティアで入って頂き、どこで全日本大会を開催するのか、いつ開催するのか、どの範囲を委託するのか等を一緒に考えていこうという形を打ち出しました。
ただし、オリエンテーリングはどこかの「土地」を利用させていただく必要があります。そこで、県協会の方々にご協力いただき、全日本大会で「地図」を作成する代わりに、渉外やその後のメンテナンス含めてお願いをしたい、県協会にも事情は様々だが可能であれば当日の運営者も出してほしいというお願いを実施することになりました。
また、「運営」自体をオリエンテーリングの楽しみ方のひとつだと捉えることも出来ると考えているので、県協会・JOAどちらにも属さないボランティアという枠組みも作りました。
それぞれに役割分担を持たせて皆でやっていきましょう、ということです。
そんな形で、まずは3年間、全日本ミドルロングをやってみることになりました。
※スプリントとリレーはリソースの問題で抱えきれないので、別部隊で適宜連携しながら進めています。




が、大きな枠はこんな感じ。

全日本大会が変わろうとしているとき、ある方から「JOAは全日本大会を選手権大会にしたいのか?全世代大会にしたいのか?」という問いをいただきました。
多くの過去の資料を読み(特に濱宇津くんの卒論や記事は参考にしました)、多くの方の意見を伺い、考え、私は「両方」という答えを出しました。
長い人生の中で、節目となるような大会にしたい。それは全世代に共通することです。
一方で、「日本一」の称号を選手に与えられるのは全日本大会だけです。
「全世代へ向けた大会」(小さな子どもから90代のおじいちゃんまで楽しめる大会)と、「日本選手権大会」を両立してこそ、オリエンテーリングの全日本大会であると結論付け、このコンセプトに込めました。

この写真の背中を樹に重ねたことも、小牧に重ねたことも、稲毛さんに重ねたこともあります。彼らを、たくさんの人が応援して待っている。でも、みんなもオリエンテーリングを楽しんでいる。そんな大会を目指しています。

2日間の大きな大会の準備を始めると、大変なことや事務作業がたくさんあります。それでも、何のために運営をするのか、を示したスライドです。
みんなが幸せになるためには、『まず「競技が成立すること」が一番だよね。そして、多くの方に来ていただきたいよね。そして私達がやりたいことをやろう!』という3つの軸と、「幸せになること」というゴールを掲げて走り始めています。

この運営は幾多の修羅場を乗り越えてきた運営の大先輩方がたくさん参画していただいています。若手が最初「やります!」と言っても、なかなかいろいろな事情で前に進めることが難しくなる時がありますが、大先輩方に助けて~!と言うと、嫌な顔ひとつせず助けてくれます。そんな環境で運営できるということを伝えている・・はずなのですが、責任感の強い運営者も多く(笑)、自分で抱えちゃう人も中にはおります。
なるべくそこに気が付いて引きはがしてあげるのも実行委員長の役目だなぁと考え、今年はなるべくそこは意識して動きました。
イントロダクションとしてはこんな感じでしょうか。
当日のみ運営の方にはなかなか時間がなくて説明できていないですが、準備段階から参画いただく運営者には必ず15分の時間をいただいて説明するようにしていました。

今年はLapcenter作ってます!な人もご参画いただきました。
(2)ブレインストーミング

初回はアイスブレイクも兼ねて、ブレインストーミングを行っています。
とにかく、参加者全員に楽しんでもらうにはどんな全日本大会にしたらいいんだろう?ということをブレイクアウトルームに分かれて話をして、それを最後共有しあうというものです。

「北大生」!そうなんです、今年は北海道から運営に参画してくれた運営者もおりました。

託児所やキッズOは私の長年の願いなのですが、諸々あって実施できず。いつかやるぞ。
ハイライトムービーは実際に施策まで落としました。

学生アンバサダーも広報責任者の熱意で施策まで落ちました。GJ!!

ここでもアンバサダー案が推されてます。
今回学生で成功したので地域クラブまで広げてみたいな~

後夜祭(バンケット)も以前から開催したいなぁという思いがありつつなかなか出来ない。
今年はこんな感じでたくさん意見を出し合いました。
多くの世代や混ざっていて、視点が様々なので目から鱗なハナシも出て来たりします。
せっかくなので、2021年度のスライドも引っ張り出してみようかな。



このような形で、最初は皆の頭のなかから始まる全日本大会ですが、それがどんどん膨らんでいき、2日間のひとつの大会に凝縮されていっております。
(3)おわりに
こうやって、みんなと一緒にこの2年間やってきて、私自身達成できたなと思うことと、まだこれからだなと思ったことをTwitterでまとめたのでこちらも引用しておきます。
やり残したこと
キッズO、トレキャン、モデイベ、バンケット、35A以上の自分の年齢別参加(と盛り上がり)、託児所、助成金なし黒字化、その上で運営負荷軽減(省力化)、自分の家族を大切にすること(夫に感謝です。)できたこと(関わった全ての方のおかげ)
競技成立、安全管理*、日本ランキング、1年の節目の大会にすること、SNSの活用と素敵な写真、演出*、ダイジェスト動画、Finishゲート設置、ロゴ/フォント/カラーパレットの統一、翌年使用可能な資料整備*、1,000名参加
*残課題あり今後の課題
継続すること、申込締切の早期化、運営者の負荷に対する対価の提供(お金に関わらず)やってみたいこと
アジア1の大会にすること、海外への広報強化、オリエンテーリング大会以外での広報強化と普及

深夜までデザイン修正してくれたOLKの後輩の日菜ちゃんに感謝。

これからも、全日本大会が長く楽しく続いていったらいいなというお話でした。
来年は第50回です!50という数字に特に意味はないと思うし、ただの節目にしか過ぎないと思っていますが、これまで49回分の選手と運営者の思いが詰まっているという意味では、すごく意味があると思っています。
さて、来年は千葉県勝浦市で11月4,5日に開催します。
全日本大会運営してみたい!という方大募集中です💛
各種SNSのDMまたは【ajoc(@)orienteering.or.jp】まで!
おしまい。