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おばあちゃんの誕生日にあと何回電話できるのだろう

1月18日はおばあちゃんの誕生日だった。2日遅れで今日電話した。おばあちゃんと同居している叔母からは、認知症がだいぶ進行していると聞いていた。

電話に出たおばあちゃんは意外と普通だった。もっと会話ができないかと思っていたが、問題なく話せた。

「2日遅れたけど、お誕生日おめでとう」
「ありがとう。パーなんとかになっちゃったわ。足が悪いから。」
「パーキンソン病?」
「そうそう。覚えられへんねん。治らへんねんて。」
「そうなんや。デイサービスには行ってんの?」
「行ってるで。土曜日にドッグセラピーがあってん。わんこがいっぱいきた。」
「かわいかった?」
「かわいいのとな、おっきいのもおったで。
木曜日は焼き立てのパン売ってるからな、おじいさんにお土産で買って帰ってあげるねん。
土曜日でパンなかったらな、おじいさんに『パンはないんか』言われてん。」
「土曜日はないって教えてあげ」
「せや、たまには顔見せてな。もうすぐ死ぬで。冗談やなしに。」
「死ぬ言うてるうちは大丈夫や。」
「そうやな。からだきぃつけや。」
「うん。またね。」

こんな会話があと何回できる?
会う度に小さくなるおばあちゃんを見るのがこわくて、あまり会いに行けないのだけど、もっと会いに行けばよかったと後悔するのだろうか。

コロナ禍に、もし感染していてうつしてはいけないからと会わないでいたら、知らない間に転倒して骨折して入院して、ペンギンのようなよちよち歩きしかできないおばあちゃんになっていた。

母親も若くて自慢の母親だったが、たまに会うとちゃんと年齢を重ねている。そりゃ私も30代なのだから、母も年を取るか。


いつもおじいちゃんと喧嘩ばかりしてるのに、お土産にパン買って帰るおばあちゃんかわいいな。

いつまでも元気でいてよ。しぬなんて言わないでよ。ほんとうに近づいている気がしてこわいんだよ。

ドッグセラピーのわんちゃん達、おばあちゃんと遊んでくれてありがとう。これからもよろしくお願いします。

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