数学が苦手な方の医学部受験について
医学部受験の数学対策:数学が苦手なあなたへ
ご無沙汰しています。医学部予備校レユシール講師代表東京大学医学部の片山湧斗です。ここ最近、数学の勉強法についてご相談やお問い合わせを多くいただいたいるため、数学の勉強法についてお話ししたいと思います。私は自身が東京大学理科三類に合格した経験と、10年近く教育業界で医学部受験する生徒さんを指導してきた経験を踏まえて、特に数学が苦手な方に向けに医学部受験の数学の勉強方法をお伝えしたいと思います。
基礎問題精講の重要性
私は翌年度の医学部受験の合格の一つの目安となる基準として、旺文社の『基礎問題精講』シリーズの完成度が挙げられると思います。基礎問題精講は、教科書レベルの問題から入試の基礎的なレベルまでを適切なペースでステップアップしていく内容になっており、標準問題精講は、入試の基礎的なレベルから標準的なレベルの問題へと適切なペースでステップアップしていく内容になっています。これらの参考書は医学部受験の基礎力が身についたかどうかを確認するために相応しい参考書になっています。分量もチャート式に比べて少なく、数学が苦手な人でも手がつけやすい参考書です。
夏休みまでに到達して欲しいレベル
河合塾の偏差値を基準に大まかな志望校別に夏休みに入るまで(7月いっぱい)までに到達しておいて欲しいレベル(理想の到達点)と、志望校を再考した方が良いデッドラインを提示いたします。このような厳しい言葉は本来受験生に伝えるべき内容ではないかもしれませんが、私は甘い言葉ばかり変えて、受験生が現実から目を背けることを助長することのほうがよっぽど罪が重いと考えます。モチベーションを上げることとは別問題です。医学部に合格が難しい現実を分かりながらも伝えないことの方が残酷です。今から示す基準はあくまで目安ですが、精度はかなり高いと思います。以下で出てくる完成度とは例題の問題をランダムに選んだ際に、スラスラ解ける問題の割合を指します。河合塾の偏差値はこちらで確認できます。
上位国立志望(河合塾の偏差値で67.5以上)
理想:標準問題精講 数学ⅢCまで完成度7割
志望校再考レベル:基礎問題精講義 数ⅢCまで完成度8割以下
その他の国立志望
理想:基礎問題精講 数学ⅢCまで完成度9割
志望校再考レベル:基礎問題精講義の完成度が数ⅡBまで6割以下
数学ⅢCの完成度が4割以下
上位私立志望(河合塾の偏差値で67.5以上)
理想:標準問題精講でⅡBまで完成度8割
基礎問題精講 数学ⅢC 完成度8割
志望校再考レベル:基礎問題精講義の完成度が数ⅢCまで7割以下
その他の私立志望
理想:標準問題精講でⅢCまで完成度7割
志望校再考レベル:基礎問題精講義の完成度が数ⅡBまで5割以下
数学ⅢCが苦手な方へ
数学ⅢCがどうしても苦手な方には主に2つのパターンがあると思います。1つ目は数学ⅡBの基礎が定着してないことです。数学ⅠAと数学ⅡBには正直そこまで関連性はありません。もちろん数学ⅠAをやらずに数学ⅡBをやることは難しいですが、数学ⅠAは確率や平面幾何など、分野として独立しているものが多くなっています。一方、数学ⅡBと数学ⅢCはとても関連性が高くなっています。数学ⅡBの基礎が怪しいにもかかわらず、数学ⅢCの勉強をしてもなかなか定着しません。具体例をあげるならば、三角関数の公式や式変形に自信がない人は三角関数の微分積分の計算は必ずと言ってもいいほどできません。他にも指数関数や数学ⅡB範囲の積分微分は数学ⅢCで一番重要な微分積分の計算にとても重要であり、またベクトルや数列の理解が怪しいと複素数平面や極限、二次曲線といった数学ⅢCの理解に苦しみます。数学ⅢCがどうしても苦手な方は今一度数学ⅡBの基礎が定着してるかどうか確認してみてください。
もう一つのパターンは手を動かして練習する回数が少ないからです。数学ⅢCは科目の性質上、実際に手を動かして身に付けることがとても大切になります。理解することももちろん大切ですが、解説を読んでフムフムと理解するだけの勉強法ではあまり実力がつきません。理解することよりも自分で書いて手が動かせるようになることが大切です。従って、まずは同じ問題を繰り返し解くことが大切になります。数学ⅢCの問題は1問1問の計算量が多く、実際に手を動かして勉強することに抵抗を感じる方も多いと思いますが、これを乗り越えない限り、数学ⅢCはできるようにはなりません。例えるならば、筋トレをせずに甲子園の出場を目指すようなものです。また数学ⅢCの基礎問題精講はⅠAⅡBよりも問題の難易度が高く設定されています。人によっては「基礎」というタイトルの問題集なのになかなか進まなくて自信を無くしてしまうかもしれません。しかし、それは間違いです。基礎=簡単ではありません。一度変なプライドは捨てて入門問題精講から始めてみることを推奨します。
それでも数学ⅢCがどうしても苦手な方は、以下の大学を志望することを検討してみてください。
帝京大学
東海大学
近畿大学
金沢医科大学(後期)
これらの大学は全て私立大学ですが、数学ⅢCが出題されないため、数学ⅢC無しでも受験できます。しかし、裏を返せば数学ⅠAⅡBの完成度は高い水準で要求されることになります。元々文系だった方、どうしても数学Ⅲの勉強が間に合わない方は選択肢の1つに入れても良いのかと思います。しかし、数学ⅢCを捨てることはかなり大きなリスクを伴うことは理解した上で行動に移して下さい。
私立第一志望の方へ:共通テストの受験は避ける
私立大学を第一志望とする場合、共通テストの受験は避ける方が賢明です。その理由は以下の通りです。
難易度の上昇:センター試験に比べて共通テストは難易度が高くなっています。共通テストの対策をしないと高得点は難し区なっています。
科目数の増加:共通テストに必要な科目は英語リスニング、国語、社会、情報と私立受験と比べてかなり負担が大きくなります。
志望校対策の遅れ:共通テスト対策に時間を取られることで、志望校対策が遅れてしまうリスクがあります。
試験日程の問題:共通テスト終了後すぐに私立医学部の入試が始まるため、準備が十分にできない可能性があります。
特にセンター試験の時代では私立志望の方でも受験できるケースが多かったのですが、それは今は昔の話です。本当に医学部に行きたいのであるならば、私立1本に絞ることが大切です。私立医学部を受験できる家庭環境にあることは恵まれたことであり、その環境を活用できるのであるなら積極的に活用すべきだと思います。
数学が苦手ならとにかく数学ⅡBをやれ
数学が苦手な人が取り組むべきなのはズバリ数学ⅡBです。数学ⅡBは医学部入試において頻出の範囲であり、前述の通り数学ⅢCの基礎としてとても大切な範囲です。学習をすることが点数に直結すると勉強のモチベーションにもつながります。基礎問題精講の学習が難しい方はまず入門問題精講を最低3回繰り返して解くことから始めましょう。まずは自分のできるレベルの問題から始めていき、解けたという小さな自信を積み重ねていきましょう。
個別指導の活用
それでもどうしても数学の成績が伸びない、独学が難しい、上記の基準に達していないがどうしても志望校を諦めたくないと感じる場合は、個別指導に頼ることも重要です。私は現在基礎問題精講を中心に学習している生徒さんを3名受け持っており、生徒さんのレベル別に応じて必要な内容を取捨選択し解説授業を行なっています。私は数学が苦手な医学部受験生の最後の砦になりたいと考えています。私はただ自分が数学ができるから講師をやっているのではなく、自分が受験というイベントで苦労したからこそ、目標に向けて本気で頑張る受験生を応援したいという気持ちと、自分も生徒さんと一緒に日々成長しその喜びを共有することが本当に楽しいというモチベーションで講師をしています。このような理念のもと、現在私は医学部予備校レユシールという予備校をプロ講師と共同経営しており、医学部受験生を指導しています。実績のあるプロ講師と高い学力を誇る東大理三生講師による完全個別指導により医学部合格まで徹底的にサポートする予備校となっております。本気で医学部に行きたい方、大手の予備校が自分にあっていないと感じる方に最適な予備校となっています。また医学部予備校という名称ではありますが、私自身の経験を活かし、理科三類以外の東大受験生の方も多数指導しております。興味をもっていただいた方は以下のリンクから当予備校のホームページをご参照ください。
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