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シンセやドラムマシン 一期一会の物語

 前回までのドラムマシンに関しての投稿を多くの方々に読んで頂きありがとうございます。まさかのサポートして頂いた方もいらっしゃってありがたい限りです。今後もコンスタントに書いていければと思いますのでよろしくお願いします。

 今回は前回までの話とは違い、個人的な機材との想い出を書いてみようかなと思います...。個人的なただの記録です、ボケ防止的な感じです(笑)。

音楽機材との出会いは一期一会。

 ネットショッピング、ネットオークションなど気軽に中古機材を探せる時代ですが、90年代までは中古楽器店リサイクルショップ質屋などをこまめに廻って探すしかありませんでした。しかも目的なものはなかなか見つからず、ふと一目惚れで買った機材も多々あります。
しかし、そうやって探した機材は、その思い出も相まって愛着が湧く事が多く、長年愛用するように。特に偶然入ったお店で掘り出し物の機材を見つけた嬉しさはいまでもはっきり記憶として残ってます。

今回は自分が現在保有している機材との出会いで印象深いモノを紹介したいと思います。

1. Sequencial TOM


 これを手に入れたのは90年代前半、某楽器店でビンテージシンセフェアというものが企画されて、その販売リストにTB-30329800円という情報を見て、当日朝から並ぶため始発で向かいました。当時は303も高騰し始めて、なかなかこの値段では買えないのでチャンスだと思い期待に胸を躍らせながら。
しかし、楽器店に到着するとその時点で50人ちかくの行列(早朝5時台で)が。それを見た時点でもう買えないと思い、列に並ぶこともせず諦めてファミレスで時間つぶし、仕方なく渋谷の楽器店をブラブラしてました。当時はクラブ帰りとかも楽器店のオープン時間まで時間潰して、何件も廻る事もたびたび(体力あったなぁ....)。

 そして、入った某楽器店にてSequencial TOMのルックスに一目ぼれ。石野卓球氏が人生時代に使ってたって話も知っていたのもあって、303を買おうとしてたお金で購入。

武骨な音と武骨なルックス、すぐにお気に入りに。

 このマシンは、自分がドラムマシンを集めるきっかけとなったマシンなので、もし303を買う事ができたなら今頃は...と想い出に残る機材です。
後にTB-303も手に入れましたが(それから8年後)。

2.  ROLAND CR-5000

 これも90年代前半の学生時代、友人と20km以上離れた隣町へ自転車で向かう事になりました。まぁサイクリングなのでカバンも持たず、気軽に出かけました。結構暑い日だったと記憶してます。
その道すがら、それまで知らなかったリサイクルショップ(ファミリー向けみたいな)があって休憩がてらに入ってみたところ、全体的に楽器とかはほとんどないお店なんですが棚の上にタイプライターみたいなものが、それがこのリズムボックスでした。当時はこのマシンの存在は知らなかったのですが、ROLANDって表記を見て即購入(3000円)。しかし自転車で目的地への行きすがらに購入したので、ママチャリのカゴにそのまま入れて全行程30㎞以上の自転車旅。そこそこの重さがあるのでそれをカゴにいれたままサイクリングするのはなかなか大変。何度もハンドルとられながら家に戻ってきた時の疲労感たるや(笑)。

しかし家に戻って来て、音を出した時の衝撃は今でも覚えています。リズムボックスの顔をしたTR-808と一部では言われるだけあって、アナログ音源の迫力のある音。
偶然出会ったこのマシン、もちろん今でも愛用してます。ルックスもいいので、見える所に置いております。

3. KORG POLY‐800

 実は自分のファーストシンセなのですが、高校の頃は親戚に借りていたモノなので、大学進学と共に返却。その後いろんなシンセも持っていたのでこのマシンの事はもうそんなに気にしていませんでした。
大学と家との道すがら、よくカセットテープを購入していたディスカウントショップが潰れて、その建物に新しくお店が入るという事でしたが、それほど何ができるか興味がありませんでした(むしろディスカウントショップが無くなったほうがショック)。
 そして運命の日、夕方その店の前を通るとその新しいお店はリサイクルショップでしかもその日はプレオープンで夕方6時~8時まで2時間だけ開いているという事。
とりあえず入ってみると、機材がたくさん。そしてジャンクという当時あまりなかったコーナー....

そう、これが自分とハードオフとの出会い。


まだ関東には店舗数がそんなに無かった頃です。
そしてジャンクコーナーに懐かしいPOLY‐800の姿。しかも2000円という笑うぐらいの値段。
まだ楽器屋でもそこそこ値段がした頃だったので即購入。
もうこの値段の衝撃は凄く、即、家に戻りハードオフの店舗を調べ、次の日には,もう他の店舗へ向かうまでに。

もう20年以上前の出来事ですが未だにハードオフ巡りしてるのは、これがあったからだと思います。

4, ROLAND SH-101

  これは苦労したとか足で探したって感じではないのですが、出会いがおもしろかったので記したいと思います。
小田急線沿いの車窓から、偶然リサイクルショップの看板が見え、後日ふらっと言ってみました。かなり老舗のお店で、ほとんどがガラクタで、売ってるオジサンも趣味でやってるような汚いお店でした。
こりゃ何もないだろうなぁ...って店内フラフラしてると、売れ残りモノが積んである棚の上になにかホコリの被ってるカバーが。
 もう数年は動かして無いだろうと思われるその棚を見せてもらうと、そこには状態のいいSH-101が(笑)。思わず声が出そうになったけど、おじさんに値段聞いたら「8000円で」という一言。もう激安さにびっくりしながらもおじさんの気持ちの変わらないうちに購入。

そのリサイクルショップはその後何度も行きましたが、一度もシンセみたいなモノは無かった気がします。

5. WILL SYSTEMS MAB-303

 かなり昔に出たTB-303のクローン音源。これは中古楽器ではなく新品購入なんですが、これを知ったのが下北沢の楽器店、わかる人にはわかると思うんですがこのお店が企画したマシンです。この楽器店に行った時に、ちょうど中古でTB-303が置いてありまして、音を出して遊んでた所、店員の方が今TB-303のクローンを出す予定があると言って来て、まだほとんど発表されてない資料を見せてくれました。まだ発売日も値段も決まってないって言っていたんですが「予約できるよ」って言われて、思わず予約
しかし1年経っても連絡なく、自分も忘れていた頃に連絡があって購入(予約早かったのかシリアル20番台)へ。でも、てっきり予約した事を忘れていたので貧乏学生だった自分は、急なお金の調達に苦労した記憶があります。初期ロットにはいろいろ不具合があったのですが、無償で修理してくれたりと、このお店にはお世話になりました。

今でも自分の機材ラックには入ってて即音出せる状態にしてある程に愛着があります。見た目からは想像の付かない結構太いベース音出せます。
TB-303の音は出ないですが(笑)。

6. ROLAND TR-707

 これもPOLY800と同じ場所のハードオフで発見。3000円の値札が張ってあったのだけど、その時は財布に3000円の持ち合わせがなく、しかも当時はATMがコンビニに無い時代なので銀行で現金を下ろしてる間に売れたらどうしようという気持ちもあり、大学の後輩に今から来てくれと電話しました。707を抱えたまま店内で後輩を1時間半待ってる間、店員がチラチラこちらを見てるのを無視、そして来た後輩に3000円を借り無事購入
機材は一期一会なので、ほんと逃したら二度と買えないという気持ちがこの頃からあったのでしょう。今でも買わなかった事を後悔する時もあるので、なるべく迷ったら買う!の精神は続いてます。

TR-727ももちろん保有していて、これは普通に中古楽器店で購入したモノですが、その購入した日は今は無きシスコテクノ店というレコード店の開店の日、その727を持ちながら行列に並んで、レコードもその日に大量に購入したことが思い出されます。

7. KORG MS-20

 これはお店では買ってません。大学時代の友人がシンセ大学のゴミ捨て場で拾ったけど音出ないんで直してほしいという依頼。見せてもらうとなんとMS-20。それで音が出る状態までは直しましたが、その拾った本人があんまり好みじゃない音という事。その時に自分はROLAND SH-101をまた超激安で買って2台保有していて、その一台とMS-20と交換しようと持ち掛けたところOK

 その後、自分でメンテして完全動作する様になったMS-20。その修理段階で中を見ると、大学の研究室で使われていたと思われる、マイコンで自動演奏する為の自作インターフェイスが入ってました。これが悪さして動作不良だったので取り外しましたが。昔は普通の大学でもこんな自動演奏の実験してたんだなとしみじみ思ってました。

 自分はSC-55ぐらいしか拾った事無いんですが、知り合いにジュピター4とかDX7などを拾った人がいます。また、某専門学校では昔SYSTEM-100Mとか今では高価なビンテージコンソール(quad-eight)のモジュールが大量に捨てられていた事もあったそうです。
ちなみに、初めてのマイビデオデッキは住んでたマンションのゴミ捨て場からでした(笑)。

8. ROLAND SYSTEM-100M

 自分が学生の時に、受けてた授業の講師でシンセを使って映画音楽などを作ってる方がいらっしゃいました(ちょっとシンセ界では有名な方)。その講師の方が自分がシンセ好きということでSYSTEM-100Mを触らせてくれる機会を設けてくれて、初めてモジュラーシンセに触れる事になり、何度かそこでパッチングとかを習いながら遊ばせてもらいました。

 ある日、「SYSTEM-100M欲しい?」って言われて、「是非!」って答えたら、その方のスタジオが移転するらしく、いくつか機材を手放すという事で、その方のもってる100Mを(9台保有とか!?)一台安価で譲ってもらえる事に。
 当時は値段が高く取引されてたので、安価で手に入れることができるのは嬉しかったのですが、やはり貧乏学生、お金がありません。半年ぐらい支払い待ってもらって怒られたのもいい思い出です。
この受け渡し場所が某音楽大学で、その先生がコンピュータミュージックの授業をしていて、ちょっとその時に助手的にお手伝いしたのですが、俺なんかが音大の生徒に教えたりしていいのかと戸惑ってました(笑)。

9. BEHRINGER  SRC2496

 
 コレはほんと最近の話です。自宅スタジオデジタル卓を導入して、PCとかマイクプリそのあたりをなるべくデジタル接続にしようと考えました。そこで安いAD/DAコンバータが必要になり、これが安いので目を付けていて購入を考えていました。

去年の2月、北陸地方は大雪に見舞われ特に金沢は例年にないほどの積雪でした。
しかし、その大雪の日に金沢市内に用事があって行く事になりました。自分は現在富山県在住でして、いつもは金沢へは自ら車を運転して向かうのですが、その時は大雪の為、富山から高速バスを利用しました。
通常、自分で車を運転していく際には金沢駅周辺には駐車スペースの関係であまり行くことはなく、公共交通機関を使わない限りは金沢駅に行くことは滅多にありません。
 しかし、その時は高速バスの終点が金沢駅、しかも用事の待ち合わせまで多少時間があるという事で、近くの商業ビルの中の楽器店にて時間つぶしでもしようと行きました。
そして、そこで見たものは...

明日にでも普通にネットで新品で買おうと思っていたSRC2496。しかも在庫処分1台限りで2980円(笑)

通常価格は3万円程だったので10分の1の価格。

雪が降らなければ、間違いなく出会わなかったという奇跡。その時は雪の神様にちょっと感謝しました(その年に雪のせいで車をぶつけてバンパーがへこみましたが)。

10. ROLAND JUNO-106


これは安くは買ってないです(笑)。

学生時代、大学サボって朝からモーニング狙いでパチンコ(当時の爆連荘のアレパチ)をしてたのですが、その日はびっくりするぐらい好調で、午前中だけで10万勝ち
もうこれはあぶく銭なので使ってしまおうと思い、一気に機材へ投資!って訳でその足で即都内の楽器店巡りに行きました。

 最初に行ったのは渋谷の某楽器店。目についたのはMOOG SOURCEというシンセ。6万円ぐらいでしたが、迷いに迷ってスルー。そして次にTR-808、909、今では信じられないけど5万円程で山積みになってた楽器店がありました。でも、まだそこまでドラムマシン熱が高まってなかったのでスルー。
 次に新宿の楽器店にてMINIMOOGがちょうど10万円で販売中。当時でもかなり安い値段だったのですが、現状渡しっていうのと、この頃はまだMIDI-CVのコンバータが高かったので自分には使いこなせないという事でスルー。
 そして最後に行った楽器店で当時電気グルーヴなどの影響で高値になっていたJUNO-106を発見。もうその時は何か買って帰りたいという気持ちが強く、9万円という値段でしたが迷わず購入。そのまま持って満員電車で帰宅。

あぶく銭だったのでぜんぜん後悔はないのですが、その後に結構安く見る事もあってちょっぴり悔しくもあったり(笑)。
でも、今でもROLANDのboutiqueシリーズなどでリメイクされたりと根強い人気のシンセなので、まぁどんな形でも出会えてよかったかなーとも思ってます。
未だに故障なく現役バリバリです。

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まだまだ機材との出会いの話がありますが今回はここまでで終わりたいと思います。ROLAND SDD-320を買ったリサイクルショップがその数日後、火事で全焼して、結果ビンテージ機材を救った形に...という話もありますが(笑)。


もちろん欲しい機材を適正な価格で買うのは良い事だと思います。
しかし、この様な偶然の出会いも自分が知らない音や使い方などひらめきや制作意欲を掻き立ててくれることもあると思います。

あと普通に安くビンテージ機材が手に入ったら、嬉しいですよね(笑)。


駄文長文失礼いたしました。


長年、シンセ、ドラムマシンをこよなく愛してトラックメイクしてきました。今までの蓄積から何か残せないかと思い文章に書き記しています。