5月1日
雨に何度も打たれた上着を捨てようと思う。ナイロンジャケットで、肌寒いときに重宝した服だ。雨の日には悩まず使用した服だった。今日も着た。
しかし脱いでみると、内側の白い生地がぽろぽろと剥がれ落ちていることがわかった。調べてみるとポリウルタンというらしい。また肩の部分も少し日焼けしていて、色が落ちている。そのことにも今になってやっと気づいた。頻繁に服を変える人からすると、もう寿命はとっくに過ぎているから早く捨てればと言うだろう。私もそう思う。しかし、なんだか捨てようと決心することができなかった。それはこの服が友人から貰ったものであって、捨てるにも捨てきれない思いがあるからだ。友達の思いが、この服には詰まっているように感じてしまうのだ。
三年はお世話になった。三年間、この服は私を包んで守ってくれた。
アニミズムな考えを普段からしているわけではないが、ふとこうして友人を介して思うことがあった。
しかしもう、暖かくなるから使用頻度が減るだろう。そう考えると、捨てどきというのがあちらから私に問いかけているようにも思った。物はなにも言わないが、劣化していく姿で問いかけてくるときがある。この服も私に何かを伝えているような気概を感じてやまなかった。