4月30日

 女性のショートパンツから伸びた白い足に、直視して見ることができなかったためかもしれない、でもはっきり見ても分からないだろう沢山の模様が描かれていて、その白く滑らかな肌を侵食して蝕んでいくタトゥーは、周りから好奇な目で見られていた。
 女性はまた同じような男性と歩いていて、ドメスティックな服装を装い、若者が集う街に堂々とした足取りで歩いていく。なんだか二人は、この街に認められたのかというぐらい胸を張っているので、気持ちがいいのかイタイのかはっきりとはしなかった。
 二人が進めば左右に人は散らばっていくようだった。虎の威を借る狐のように、後ろを歩いた。いかにも避けていく人の群れが、この二人を尊敬とか眩い眼差しで見ているというのではなく、どこか異物感のある、腫れ物を触るように節目に避けていくのだ。道を譲る人、はたまたそれに気付かない二人とも馬鹿馬鹿しい。物理的にも論理的にもぶつかりたくないのだろう。そのあからさまな行動が、かえって二人を鼓舞しているようにも見えてきてますますその胸は誇らしく張り上げられ、ブーツの高鳴りは一段と高くなるようだった。
 私はそうして膨らんでいく二人が、いつか爆発してしまう恐れがある危険性を孕んでいるのではないかと感じたのだった。

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