家族のゆくえ(10)

10/18火曜日、入社して半年が過ぎ、ようやっとついた有給休暇を行使して横手から秋田に出た。仕事はめちゃくちゃになるが休まなくてもめちゃくちゃだから大差ない。9時過ぎの汽車に乗り一時間ほどで秋田市に降り立つと駅前のロフトを覗いた。母親に渡す手紙など書こうかとレターセットを物色するうち、組み立てると立体的な紅葉がレーザーカットされ出来上がるやつ、裏面にメッセージ書けるのを買うことにした。それからスヌーピーの2500円くらいの人形。三弟からのスカイプメッセージでは待ち合わせまでまだ一時間ほどあるから、駅内のスタバでカードに書き込むことにした。直前LINEで入った妻からのコメント。母宛ではなかったが、内容は母宛として問題ないように思えた。それから自分のコメント。
12:45の待ち合わせから五分以上遅れて三弟の運転する白い車が秋田駅のロータリーに来た。助手席には父。四弟は居ない。車はそのまま市立病院に向かう。市内の拡張工事の遅れを、呪うような口調で言うのはいつもの父である。秋田はダメだ、秋田には未来は無い。そう言う事をいうのは秋田県人の日常の挨拶だと自分は思う。
市立病院は新築されたばかりで綺麗だ。ここは自分が生まれた病院である。母親がはじめての出産した場所である。その場所にいま母は入院している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?