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ずっと真夜中でいいのに「潜潜話」レビュー

釣りにいったりマラソンしたりするようになってから、すっかり朝方ぶるようになってしまった。などど書きつつ最近は7時間睡眠を心がけているのもあって、家から小中学生が出ていった後の8時過ぎに布団から出ているんだけど、それでも俺の中ではまだまだ朝方ぶっているほうなのです。
そう、もともととんでもなく夜型のだらしない人間、それが僕。

春ぐらいからだったか、中2の娘がリビングのAlexaで「秒針を噛む」を毎朝のように流してて、半分寝ぼけて聴きながら「ああ、今の子はこういう時間に追われてるような、イマドキの焦燥感というか、なるほどこんなのを聴いてるんだな、しかしそれにしても楽曲のレベル高いな」なんて思ってたのです。

が、気がついたら娘と一緒になってどハマリ中、昨秋には大阪のZepp Nambaで「潜潜ツアー・秋の味覚編」にも参戦してきちゃいました。

で、ライブレポを書くにはちょっと時間が経ちすぎちゃったんで、ちょうどそのツアーの日に発売になったフルアルバムのレビューを書こうと思います。

1. 脳裏上のクラッカー

出だしからサビみたいな勢いなのにちゃんとどんどん盛り上がって1パートごとにグッとくる曲。歌詞は流れているというか、少女の恋に限定しているわけじゃなく、どうとでもとれるような、こんなぐしゃぐしゃな気持ちはきっと誰にでもあるし、いくつになっても忘れられないだろうと確信出来る。凄いです。

2. 勘冴えて悔しいわ

曲調としては脳裏上に似ているけど、歌詞の内容はぐっと暗めの、いわゆるぼっちとか非リアとかnerd(オタクというよりは内気だけと没頭してる趣味人ってぐらいのニュアンス)の、僕もまあ中学高校とクラスで浮いてるというかメインのグループには馴染めないみたいな子供だったんで(大人になってもそのままだよ)、こういう思いって勝手にどんどん湧いてきちゃうんだよなって、そういう気持ち。みんなもゲラゲラ道を塞ぐ民に感謝して生き延びよう!イエイ!

3. 居眠り遠征隊

娘の反応がリアルで面白くて、彼女は運動部ではないんですが音楽をやってて、コンクールなんかがあるから「優勝候補と毎回あたるからには負け方ぐらいこっちで決めさせてもらうよ」とか、そういうの凄い!と反応してます。なるほどな、と。僕はまあ、リアルにぼっち系というか、部活動とかロクにやってなかったし、「嫌いの共感会議」みたいなこともほぼ避けて避けて避け続けてきた人生なので、いや、たぶんこの歌詞の主人公も避けてるんだろうけど、そこまで入り込めないというか、ちょっと一歩ひいて聴いちゃうんだけど、それでもやっぱりサビの「お願い誰にも言わないで相手にしナイで」ってとこなんか凄く引き込まれてしまいます。歌詞みるとカタカナが多用されてるんだけど、そこを意識して聴くとまたちょっと切ないというか切実さが伝わってきて、それでまた僕は一歩引いてしまう、みたいな。だから、やっぱり曲の出来が凄く良いんだなと。

4. ハゼ馳せる果てるまで

曲ももちろんなんですがMVがめちゃくちゃ良くて、キュンキュンしてしまう。基本片思い状態みたいなの歌詞なんですが、MVに出てくる女の子は宇宙人で、ポストアポカリプスな世界感のショートムービー仕立てになってて、もう、ハゼ馳せるベースのアニメが見てみたい!そんな気分。「今宵も水に溶けておやすみ」は、サウナのあとの水風呂で毎回口ずさんでます。

5. 蹴っ飛ばした毛布

アルバムではやっとゆっくり目の曲が出てきてちょっと息継ぎできるかな?という感じなんですが、すぐに盛り上がってやっぱり激しくなっちゃう、でも、そこが良いです。この毛布って「セキュリティブランケット」ってやつだと思うんだけど、だからかやっぱり娘が凄くリアルな反応をしてますね(あんまり彼女のことを書くと怒られそうなのでやめときます)。ちょっと大人になっていく過程の心情描写が綺麗に出来ててホントに凄い。

6. Dear Mr 「F」

静かな曲調なんですがこの世界観好きなヤツです、曲調もMVも違うけどハゼ馳せるに通じる不思議な近未来感。住む世界が違うって、SF的にも社会階級的にも解釈できるんですが、どちらかに断定しないままにして、デフォルメの効いたキャラのまま、Fのイニシャルの意味も深入りしないで、イメージを固定しないのがずとまよの楽しみ方だな、と確信してます。

7. こんなこと騒動

これもMVがとても良くて、苦笑いで手を振るシーンは大好きなんですが、ストーリー仕立てのMVのイメージが強すぎて歌詞だけで見るとあれ?だいぶ軽いなというか、軽くは無いんだけど、思春期に発生しがちな人間関係、って言ったら軽すぎるんだけど、ああでもやっぱりそれって実は僕たちにとってもの凄く比重が重い事なんだなって、これ、書いてる事一周回って来た感じありますが、それがMVの映像で明確になったな、と。そこでタイトルに戻るとああ確かにこんなこと騒動だな、と。

8. 眩しいDNAだけ

DNAちゃんが可愛いMVがまた良いんですよこれも!でも、歌詞はとっても暗くて生きる気力を保つのもやっとみたいなディストピア感満載の薄暗い雰囲気、だけど何気にお鍋は美味しそうです。そして歌詞のラストの希望が輝かしすぎて眩しい!暗闇のなかから光を目指すってものすごく使い古されてるはずのものなんですが、全くそんなことを感じさせない新鮮さ、ホントにめっちゃ良いです。痺れる。

9. ヒューマノイド

気が付いてましたよね?プログラムだったんです。僕も、これを読んでいるあなたも。マラハバマッサ。でもやっぱりこの曲も人間の歌ですよね、ヒューマノイドなのに、ずとまよの曲の中ではいちばん人間臭さが出てるように感じます。これがアートってことなんですけど、歌詞の組み立てがホントに見事で、何度でも記憶を冷凍してしまいたくなる奇跡だとか確かめたくなる。おじさんレプリカントとか電気羊とか言い出すと変なスイッチ入るので語りませんが、こういうのホントに大好物なんです。ありがとう。

10. グラスとラムレーズン

突然大人っぽさ、だけどもちろん若々しい大人っぽさ。タイトルや曲調からはお酒を連想させるけど酔っ払ってはいない、バーにいるようでそうでもないようなシーンと頭の中の妄想の繰り返し、啖呵きって寝るふりする駆け引きが出来ればもう大人になれるかな?バーだのカラオケだの居酒屋だのでお酒を飲みだしたころの記憶が蘇って懐かしくなってしまうおじさん、それが僕です。ヒック。

11. 正義

これ、アルバムで通して聴いてると、おじさんここらへんでちょっと泣きそうになるんです。グラスとラムレーズンでお酒を飲みだしたころに戻されて、この曲でやっぱりそのちょっと前の、思春期にズルっと引き込まれて、ああ、もう二度と戻れない僕の青春。だけど思い出して記憶の中で抱きしめることは出来る。赦されてるように思えるというか、この歌に感謝したくなる、そんな曲です。

12. 優しくLAST SMILE

これを聴いて、川本真琴の「焼きそばパン」という曲を思い出して、配信になかったので探してCD買いました。「保健室」と「パン」ぐらいしか共通点ないんだけとね。
で、この曲の良さはやっぱり可愛さ!その、川本真琴的なアグレッシブな可愛さじゃなくて、夜更かしできる自分を自慢したいっていう可愛さ、ストレートな可愛さ。こういうの昔はなかったように思える。可愛さって、87年から国民的美少女とか言い出して、それ以前にアイドルとかぶりっ子とかあって、そういう状況へのカウンター的に川本真琴とか出てきて、フツーの可愛いなんてあんまり音楽になってなかったのかな?と。ずとまよ流のストレートな可愛さ、ホントに尊いです。

13. 秒針を噛む

アルバム通しで聴いて最後にこの曲、イントロ流れた瞬間震えますよね。これを最後にもってくるなんて確信犯ですよ。もう、やっぱりずとまよファンのほとんどの人はこの曲を一番好きなんじゃないでしょうか?僕も気が付けばやっぱりこの曲が最高だと思ってます。記憶を奪って隠して忘れたいぐらい好きです。ずとまよの全てが詰まってますよね。あーもうレビューと称してうだうだ書くの楽しいな!明日仕事行きたくないな!ってついホンネが。うん、好きなことのレビュー書くのに嘘はいらないから。ハレタレイラ。

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