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東京藝術大学作曲科に0から3年で受かった方法


受験開始時の状態

まず前提として、自分が受験勉強を始めたのは以下のような状態でした。

  • 高校時代に芸大和声1〜3巻まで一通り学習済み

  • ただし、問題が解けるレベルではなく、一通り内容に目を通した程度

  • クラシックには苦手意識があり、ほとんど曲も知らない状態

  • ポピュラー音楽の作曲は独学で学習済み

  • コード理論はわかる

受験の戦歴

自分は3回目で合格したのですが、1回目、2回目の受験は以下のような結果でした。

  • 1回目

    • 最終試験まで通過

    • しかし、全体の順位としてはほぼ最下位に近くギリギリ突破した形

    • 4次試験のソルフェージュ系でほとんど赤点

  • 2回目

    • 最終試験まで通過

    • 最終順位は14位で、合格圏

    • しかし、ピアノ初見で赤点が付き不合格

やったこと

受験のシステムをよく理解する

まず最初に、試験に挑む際はどのように評価が付くのかをよく理解した上で学習に望む必要があります。

試験要項などをよく読むと以下のようなことが書いてあるはずです。

  • 最終審査は1~3次試験の総合得点で判断する

  • 4次試験の科目は、最低限のレベルに達しない受験者は不合格とする

この2点を考えると、以下のことがわかります。

  • 4次試験のソルフェージュ系は最低限のレベルを担保すればよく、逆によくできたところで合格率を上げることはできないこと。

  • 合格率を上げるためには、1〜3次試験で得点を稼ぐ必要があること。

つまり、時間の使い方としては1〜3次試験に力を入れるべきです。
めちゃくちゃソルフェージュができる人を見ると焦るのはわかりますが、合格には関係がないので気にしなくてよいでしょう。

科目の特性をよく理解する

試験である以上、採点としては減点方式が主になります。
自分が試験を経験してみて感じた特性は以下になります。

  • 和声

    • 禁則というルールがあるため減点されやすい。

    • かつ、音楽的なセンスも出るため、加点も出やすい。

    • 一番差のつきやすい科目

  • 厳格対位法

    • 極めて論理的なため、ミスさえしなければ誰でも良いものが書ける。

    • よって、減点はされやすいが加点はされにくい守りの科目

  • コラール

    • ルールがかなり自由なため、あまり減点されにくい

    • センスはある程度出るが、様式が決まっているので点差はつきにくい

  • 作曲

    • ミスになるポイントはあまりないので減点されにくい

    • 細かいセンスでは差がつかない

    • 代わりに、長い曲を書くことで点を稼げる

音楽的にどうかという議論はありますが、試験で相対評価される以上、他の受験生と比べてどのようにポイントを稼ぐかが重要になります。

また、受験生にありがちなミスとして、完璧なものを書こうとして解き切れずに終わってしまうパターンがあります。
(いわゆる高名な先生に師事している人にありがちです。)

書ききらない名作より書き切る駄作です。
試験であるため、素晴らしい音だが書き切っていない答案よりも大して面白みがないが書き切っている答案が評価されます。

大体、3〜8時間で名作が書けるわけないので、試験は試験と割り切ってまずは終わらせることを意識しましょう。

本番形式の練習を行う

自分の場合は、1〜3次試験の模擬試験を半年に3セットずつ解きました。
1年では合わせて6セット、日程にして18日分の試験を解いています。

先ほど申し上げたように、試験では無難な答案を時間内に完成させることが重要です。

何度も本番形式で練習することで、自分なりの時間配分や、陥りがちなミスを発見でき、本番力が上がります。

試験は 音楽能力×試験での発揮率 が点数となります。
どれだけ素晴らしい音楽能力を持っていても、試験能力がないと普通に落ちます。
自分の友達で、自分より遥かに耳がよく、センスのある人がいましたが、終止線を引けずに1次試験で落ちてしまいました。

つまり、この試験は天才でなくても受かる。
むしろ、音楽的な部分を妥協して、試験的なテクニックを忠実に実行できる人が受かるということです。

おわりに

この情報が何かの役に立てば幸いです。

人数は限られますが、もし需要があれば受験対策のレッスンの実施も考えておりますので、ご興味のある方はコメントいただけますと幸いです。





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