2024年6月に読んだ本の一言感想
6月は土日の読書会に計3回参加しました。
1.「ぼくらは回収しない」/著:真門浩平
何で見かけたか忘れてしまったけど、雑誌か何かで大々的に取り上げられていたので、興味を持ち読んでみました。
特に最初の二編は、事件は解決するもののモヤモヤは残る感じが好きでした。タイトルから、作中いろいろな思わせぶりな伏線っぽい要素がちりばめられているけど、本当の伏線しか回収されないというような話なのかなと想像していましたが、それとはまた違った意味で「ぼくらは回収しない」という話でした。
2.「記憶の盆をどり」/著:町田康
自分にとっての町田康作品は、「きれぎれ」に続いて本作で二作品目。どの話もめちゃくちゃで面白かった。特に「山羊経」、「付喪神」、「記憶の盆をどり」がお気に入り。乗代雄介さんの解説も秀逸です。
3.「オン・ザ・プラネット」/著:島口 大樹
4.「ここはすべての夜明けまえ」/著:間宮改衣
SF界隈でバズっているようで、お勧め記事をきっかけに読了。正直、自分の好みではなかった。
5.「地球星人」/著:村田沙耶香
読書会に参加していて村田沙耶香さんの話になると、ほぼ必ず話題に挙がる本作。「変な話」だと噂は聞いていたものの未読でした。
結婚・出産(・育児)は村田さんがずっと表現し続けているテーマで、本作を最初読んでいるうちは、そうしたテーマに虐待とかを絡めたような話かなと思っていました。しかしながら、後半は話がさらに加速してあらぬ方向へ・・・。確かに変な話でした。
最後、「これじゃあ、ポハピピンポボピア星人と地球星人は分かり合えないという話じゃん!」と思ったけど、お互いを尊重していれば、必ずしも分かり合う必要はないのかな。コンビニ人間の方が自分は好きだけど、本作も好き。
6.「T/S」/著:藤田貴大
読書会課題本として指定されてていたため読んだ。次に読んだ朝井リョウのスターと合わせて、表現することについてあらためて考えたくなる作品だった。
7.「スター」/著:朝井リョウ
「正欲」でも思ったけど、朝井リョウは、実際に起きた事件・出来事をもとにして、社会の二項対立みたいなものをストーリーにするのが巧み。本作は、学生時代に共同監督した作品で賞を得た二人の主人公が、一人は映画監督に弟子入りして質を高めるが世間にはなかなか届かず、もう一人はyoutube等をベースに手軽に世間に届ける映像を作るが質の追求にリソースを割けないという、真逆の道をたどる話。
作中、作品の質を高めることを何よりも大事にする尚吾が、食事は「完全栄養食」というもので手軽に済ませること、そのことが、料理人である恋人にリスペクトを欠く行為であることまで描いているのが、フェアでよかった。
自分は読み終わった後に悶々と思考が継続する作品が好きで、このフレーズは目からうろこだった。
その他:芥川賞候補作
第171回(2024年上半期)芥川賞候補作5作のうち4作品を読んだ。特に自分は「バリ山行」が一番好きだったけど、割とまっすぐな話だし、ほかの作品も含めて「これが今回受賞するに違いない」というほどのものは自分としては無かったかな。
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