5月は、土日の読書会に2回参加し、文学フリマにも行った。
1.「私雨邸の殺人に関する各人の視点」/著:渡辺優
結構久しぶりに、しっかりとした本格ミステリを読んだ気がして、満足だった。
2.「冬期限定ボンボンショコラ事件」/著:米澤穂信
米澤穂信、安定の面白さだった。アニメ化も楽しみ。
3.「他人事」/著:平山夢明
上記のあらすじにあるとおり、「理解不能な他人たちに囲まれているという日常的不安」に関する短編集だが、自分的にはあまり合わなかった。もう少しイヤミスっぽい感じを期待していたので。
4.文芸誌「代わりに読む人0 創刊準備号」
出版レーベル「代わりに読む人」から刊行された文芸誌「代わりに読む人」。「創刊準備号」ということで、準備をテーマに小説・エッセイ・漫画などが掲載されています。
オルタナ旧市街さんの作品目当てで購入したけど、期待を裏切らずにとてもよかった。あと、それと同じくらい気に入ったのが、わかしょ文庫さんの「八ツ柳商事の最終営業日」。変な人がたくさん出てくる、自分が好きなジャンルのお話だった。職場で昼休みに読んでいたけど、落ち着いて読みたかったから、家に帰ってからゆっくり読んだ。
5.「皆のあらばしり」/著:乗代雄介
何かの雑誌で紹介されていて、面白そうだったので購入。芥川賞候補の割には、純文学っぽくなくてミステリ寄り?もう少し社会的テーマを扱った作品の方が自分は好みかも。
6.「となりのブラックガール」/著:ザキヤ・ダリラ・ハリス、訳: 岩瀬徳子
ポッドキャストで紹介されていて知り購入。BLM小説と紹介されているけど、(自分の受け止めとしては)ちょっとひねったBLMという感じか。
主人公のネラは職場の同僚の言動について、不用意かつ無意識な人種差別的行動として捉えるフシがあって、こう言っちゃなんだけど、マイノリティである黒人女性としての自分に捕らわれているというか、若干こじらせているように自分は感じた。
他方で、後から同僚となる黒人女性ヘイゼルは、白人的価値観を備えていて、白人社会で上手く立ち回り周りの信頼を得ていくけど、それもそれで、ダイバーシティ&インクルージョンが体現できているとは言い難いのかなとも思った(結局、マジョリティ側がマジョリティ社会を維持したままでマイノリティを受け入れているだけで、それはマイノリティがマイノリティ性をある意味放棄してマジョリティ的価値観を受け入れることだから。作中ではオレオ(外見は黒人で、中身は白人)と表現されていた。)。
7.「犬のかたちをしているもの」/著:高瀬 隼子
最近お気に入りの高瀬隼子作品。
正直、男性である自分が本作を本質的に理解するのは不可能というのが感想。ミナシロさんの淡々とした感じが良くて、「おいしいごはんが食べられますように」の芦川さんに、ある意味で似ていると思った。
8.「社会と自分のあいだの難関」/著:那須耕介
久しぶりに小説以外を読んだ。特に第1章(第1講)の「傷つける言葉、自由な表現 「開かれた社会」とその疲れをめぐって」は、自分が気になるテーマにちょうどマッチしていて、勉強になったし面白かった。
9.「水たまりで息をする」/著:高瀬隼子
その他
「Planet Her あるいは最古のフィメールラッパー」/著:九段理江
おすすめしてもらったので、ユリイカを購入して読んだ。自分は九段理江作品が好きだと再確認した。
「犬はかわいい」/著:ナカノヒトリ
5月の文学フリマ東京で購入した作品。おもしろかったです。
ただ、「平坦な絶望を息継ぎで泳ぎ続ける」ということからすると、犬を飼っているという噓をつく理由は、何か後ろ暗いこととか、もっと闇があるのかなと思ったけど、結構ナチュラルに架空の犬の話をしているような印象を受けた。