◆迷子のバラッド
2011年7月8日 2:12
覗き込んだ窓辺は汗ばむ初夏の走りに邪魔されて、
夜空の星さえ瞬きするのを忘れたのはいつの頃か、
優しさを包んだ言葉を考えて歩いた夜道も寂しく、
きっと暑さは熱さの厚さを思う程に心は篤くなる。
忘れたわけじゃないのに思い出せなくて悩むには、
きっと苦しみが心に閉ざす扉に封印したかの様に、
ありきたりの絵の具じゃ書き足りなくて悔しさは、
言わないで過ぎ去る時の流れは定めの標べなのか。
カーテンを揺らす涼しげな風がまた頬を掠めては、
誰も居ないと分かっているけど覗き込んだ夜空に、
今日も元気ですかと尋ねてみる空しさは数知れず、
少しの弱さを見せる事さえ拒む凍てつく時は無情。
昔はベッドで目を瞑り
夢のスイッチが入る手前の
現実との狭間の宙ぶらりんで
あっち行ったり、こっち行ったり
色んな物が出たり入ったり消えたり
ちょっと遠出の旅支度に
赤く染まった夕焼けに
黄昏て足を止めたりもする
自分が居たりもした。
膝を抱えて蹲った子猫のように
泣いても母なる胸を失っては
落とす涙は誰に届きますか。
たまには僕で
明日には誰で
いつもの俺も
いつかの自分
迷子のバラッド。そこは行き止まりですか?始まりですか?
星に願いを…
今夜だけは星の願いを。