ショートショート 第5話(いつもの階段)
いつもの階段 2008/11/11 02:37
こんな静かな夜には怯えて震えて、そんな孤独を選んだ自分なのに寂しさを覚えては・・・そっと肩を震える事に何か誰も気付いてもらえないなんて我がままと、そっとして欲しいなんて台詞との裏腹に僕はきっと人の温もりさえ忘れてしまう。悲しい男なんかな。
窓の外は凍えそうな寒空に今にも雨が降りそうな曇り空、きっと世間でな何でもない夜空のキャンパスに誰もが通り過ぎて何もなく、そう足元の小石さえ時間の空間に訪れる登場人物にさえ選ばれない脇役いぜんの背景と化す。
こんな言葉さえ、心閉ざす凍てつく茨な世界に逃げた俺の壁は、そっと触れるだけでも脆く崩れそうな愚かで悲しい・・・つまらな言葉なんだと心に戒める。空に?天に?神に?貴女に?誰に・・・行き先をしらに言葉なんて、届かぬ手紙。想いは一枚の紙に込めたつもりが、その紙さえも己の意思と意味の間に、いとも簡単に敗れてしまった。そんな感じが僕を襲う。
冷たい地表は冬の訪れ間近の足音が、すぐ傍にまで来てる感じが触れる風と空と虚しさから現れては消えてゆく。もうすぐなんだね。僕はそっと膝を抱えるように座り壁に寄り添い、その冷たさと孤独から避けるように、僅かな暖かさを求めては、暗く盲目な世界の片隅で両手を広げては触れる貴女の頬を、掠めては涙するのかな・・・
僕の言葉は何処ですか・・・
言葉は貴女を揺るがすものではなくて、心の色・形・温度・動きを知ってもらう無形のメッセンジャー、届いた時には姿かたちを変えては、降り注ぐ雪の様に、貴女の暖かさに解けては、そっと心に溶け込んで行くでしょう。そんな想いの速さは雪の落ちる早さなのかな。
都会の夜は華やかに鮮やかに彩る。
少し寒い帰り道のこと・・・