異性の友人を作るには
とあるYouTuberがやっているラジオ動画で、ある女性視聴者が1通の悩みを投稿してきた。悩みの内容は「恋愛として好かれることなく男性の友達を作るにはどうすればいいか」という非常に面白い内容だ。
そこで誠に勝手だが、セクシャルマイノリティ当事者である私がこのことについて考えていきたい。なんせ私もそれで悩んだことがある。
結論から言えば、異性の友人は作れるが維持が難しい。
そんなのは私が言うまでもなく、誰もが分かっていることである。ではなぜそれが難しいのか。男が性欲の猿だからか?女の警戒心が強すぎるからか?それだけではない、と私は思う。
今回の記事ではその理由を大きく2つに分けて話し、それを乗り越えて友情を意図的に生み出す方法を考えていきたい。
男女で会話に求めてるものが違う
まず男女間で大きく違うことが一つある。
それは「会話の目的」である。
男は会話を「議論」として考えている傾向が強い。将来のビジョンや政治家の政策、野球選手の打順など、自分の能力外の話に対しての一つの解決策を考えることが好きである。そのため自分が持っている知識から立てた理論が正しいかどうかを相手にジャッジしてほしいし、それを褒められると自分の承認欲求が満たされる。
私も友人と音楽の話をするとき、最初はいい曲やアーティストについての他愛もない話をしていたのに毎回「今後出てくるアーティストにはこうなってほしい」といった謎の希望を抱いて話が終わる。
要は、男は会話で「意見を言いたいし、聞きたい」のである。
一方で女性は「感情を共有する」ことが目的である。つまり、相手の感情を受け入れるかわりに、自分の感情も無条件で受け入れてほしくて会話するのだ。それゆえに女は自分が今どう感じているのかといった話を互いにして、共感をひたすらし続ける。そのときに自分の意見は全くいらない。というよりも、相手の意見の尊重を優先しているのかもしれない。だから元来聴き役に徹する能力に長けている。
これらは様々な本でも書かれていることであり、どこかで耳にしたことがある人もいるかもしれない。
では、この一般論を現実で足し算するとどうなるか。
男が自分のしたい話(意見)を女に話す。すると女はその話を共感しながら聞いてくれる。そのとき男は自分の承認欲求が満たされ、その女に対して「自分のことを分かってくれるいい子だ」と直感的に感じる。これが男の恋心の始まりである。実際は恋はまだ始まってないが、男は自分の感情の発現に対する感度がめっぽう低い。いつの間にか芽生えたその子に対する好きという感情の出どころと原因が分からないため、お得意のご都合主義の論理的思考で「この子は自分のことが好きだから話を聞いてくれる」と考え始め、そしていつしか「自分はこの子が好きなんだ」と結論づける。
だが先ほども言ったように、女は話を聞いただけで男を好きになることは一切ない。それどころか普通に「友達として」接しているだけだ。それが女性の会話の特徴であり、癖だからだ。それゆえ男がいつの間にか自分に恋心を抱いてくることに混乱する。人によってはそれが気持ち悪いとさえ感じる。
(私も実際それで何度も振られている。)
これが巷でよく見かける男女間のすれ違いの原理ではなかろうか。この原理をもとに話すと、男は女が無感情に共感できることを理解しなければ一生恋を誤解するし、女は男に意見をぶつけない限り一生勝手に恋心を抱かれ続けるだろう。
男女で好きになるまでの初速が違う
そして2つ目の違いは「好きになるきっかけ」である。
男は「目で恋をする」と言われるように「パッと見で素敵な人」が好きである。世の女性のほとんどが嫌がる「男のボディチェック」は、いち男から言わせてもらうと、ほぼ無意識によるものだ。そのボディチェックでは顔や胸のサイズ、お尻から足先まで、目に入る情報の全てを一通り見て好みかどうか判断する。「ジロジロ見ないでほしい」って意見も聞くが、体感では3秒も見ていない。しかも自分でも気付かぬうちに目に入る女性を判定してはランク付けしている。
なので修学旅行で男は「クラスで好きな女子のランキング」っていうしょーもない話ができる。それは男達は意識せず見た目が好みの女性を日頃からランク付けしてるからである。ちなみにそのランキングのラインナップが近い人と仲良くなる。(かといって全く合わなくても仲良くなれる)
一方で女性は「耳で恋する」と言われるように、好きになるなら基本会うことが前提になる。会えばもちろん五感をフルに使うことになるので、体で感じながら相手のスペックを感情的に分析する傾向にある。もちろん写真を見てかっこいいかどうかを判断する男の楽しみ方をすることもあるだろう。ただ真に好きかどうか判断するならば、「清潔感」という名の自分の直感の一次選考を突破した人の中で、さらに会話した時の空気感や男の声質などを考慮して、最終的にその人が好きかどうかを決定する。
こういった好きになるまでの経緯の一般論の違いから、男女が相対した時の互いの好印象の質すらまるで別物になるのが容易に想像できるだろう。一般的に人の第一印象は5〜7秒で決まると言われるが、この第一印象を決定する際に考慮するものが男女で違うのである。
女性はじわじわ好きになるとよく言われるが、おそらく女性の方が男性比べて考慮すべき事項が多すぎるのだ。だからよほどのルックス出ない限り、一回会っただけで好きになることはまずなく、何回か会って自分の直感が本物か慎重に見極める。
だが男達は目に入る情報だけで好きになる候補かどうかを決めることができる。そして男は自分が話したくなるルックスの女性はもれなく自分のパートナー候補である。つまり女性が選別する時期に男はすでに選別を終えており、男は女と話す段階ではもうすでにその女のことが多少好きな場合が多い。
これではすれ違うのは当たり前である…
異性の友人の作り方
今までのことをまとめると以下の通りになる。
・男は自分の話に共感されると承認欲求が満たされるが、女は会話において共感が礼儀であり、好きという感情でやってない。
・男はタイプの女を「見た目」で選ぶことができるので、話しかける前に好きかどうかある程度決まっていることが多い。
・女は「清潔感」を突破した中からタイプの男を探し、話していく中で得られる感情を丁寧に精査して好きかどうか判別する。そのため男から話しかけられた段階では好きでもなんでもないこともある。
以上のことから異性の友情は奇跡的に成立することが出来ても、その後の維持が難しいのである。
話を最初に戻すと「男友達はどうやったら作れるのか」だが、もしこの難題を抱えてもなお欲しいなら、「女性っぽくならない努力」をする必要がある。男は女に対してすぐに「ああ女の子だ」と感想を持ってしまう。その瞬間にオスのスイッチがオンになる。女性にはない感覚だが、もし男友達が欲しいなら女性はここを対策することが必須だ。その際に次の3つのポイントを徹底することが大切だと言える。
①見た目が可愛くなりすぎない
パッと見で素敵な人が好きな男からすれば、清楚系女子は男の大好物である。芸能人で言えば、おのののかや森香澄、田中みなみなどである。イメージとしてはその逆をいくような見た目にしておくと、「女性らしさ」を感じにくくなるので、フラットな立場で話しやすくなる。かといってボーイッシュすぎるとそれはそれでとっつきにくいし、ボーイッシュなのに女の子っぽいことをされると、それはそれで別の癖が発動しそうなので、そのバランスは大切をきちんと保つことが求められる。
②会話中の男の意見に少しだけ歯向かう
男が友達に求めるのは「意見」である。共感は男の恋心の発現率を著しく高めてしまう。だから逆に言えば、男のプライドを傷つける女は男の大敵である。ここでポイントなのは「助言のテンションで感想を話す」ことだ。自分の理論に穴があることを指摘されると、一気に緊張が走るのが男である。その指摘をオブラートに包むとフラットな立場に立ちやすい。
③会話が具体と抽象の行き来で作られる
女性の会話は基本的に具体的すぎる。「私は〜で、こう感じて…」っていうように、確実に話に主人公がいる話し方をする。だが男の会話ではそんな話し方をしないので、こういう話し方をされると違和感があり、「女性と話してるな」と実感されやすい。その対策として、話の入りはぼかして、のちに具体例として自分を登場させる話し方をするといいだろう。例えば「仕事って嫌なこと多いね。こないだ私、こんなことされてさ〜」って感じ。(伝わるだろうか…)
まとめ
私は比較的女性の友人が多い方である。そんな私から言うことがあるとすれば、「男は無条件の共感力を上げればいい」と思う。言い換えれば、「話に乗ってあげる能力」が引き上がると女性は心を比較的開きやすい(気がする)。
だが男はこれが出来ない。私も完璧に出来るわけではない。男には感情を言語化する能力がほぼないと言っていい。共感は相手の話で相手の感情を体験することだ。先ほど少し書いたが、「男には感情の発現に対する感度が著しく低い」ので、人の話を事実で捉えてしまう。だが、これをすると女の気持ちを冷めさせてしまうのだ。相手の感情を完全に理解なんかする必要はない。ただ理解してる風のクオリティは上げておいて損はない。
そして女性へ。男の中にはわざとやっているカスもいるが、基本的に男も女友達が欲しいと考えている。ただ男の脳の傾向上、「見た目が綺麗な人」はどうしても「女」として見てしまう。「すっぴんで会えば」とか「ラフな格好で合えば」とかの発想にいきがちだが、実はそれはあまり対策にならない。女性が見た目で恋人候補になる男の割合と男が恋人候補から外す女の割合はほぼ同じである。男はよほどのことがないと、「女」として見てしまうのだ。
だからこそ言いたいのは、好意を向けられるのは覚悟しておいてほしい。土足で踏み込んでこられるのが嫌なのは重々承知だが、男のデリカシーのなさは女性社会特有の文化ゆえに生まれたものなので仕方ないと割り切って欲しい。その代わり、生殺与奪の権は女が握ってる。