主人公は遅れてやってくる ~湖南みあの場合~
湖南みあは774inc.が運営する有閑喫茶あにまーれに2021年2月に加入した新人Vtuberの一人だ。同時に加入した大浦るかこ、月野木ちろると3人でみるちーずというユニットを組んでいる。
15歳(成人)で飲酒トークとお歌、声真似が強み。湖南みあは歌がうまい。
私はあにまーれをみるちーず初コラボで知った。
そういう意味ではみるちーずとはあにまーれ同期だ。
そのコラボだが端的に言ってめっちゃよかった。
気になってしまってコラボを見てすぐにみるちーず全員の初配信を見に行った。
当時のメモ帳にこう書いてある。
・湖南みあ
初配信から実写飲酒、ジャグラー、モテ自慢と企業Vらしからぬ破天荒な内容。いわゆる陽キャタイプでダラ雑談が苦にならないタイプそう。歌〇。配信者向きの性格だと思うが他とどう差別化するかで苦労しそう。
今となっては、見る目半々といった感じ。
当時はなんとなく雑談と歌枠メインの配信者になっていくんだろうなと勝手に思っていた。ところが湖南みあはその後、1か月の間に「罰ゲームペヤング配信」「全レス配信」「黒歴史配信」「妹出演配信」「初配信振り返り」ととんでもない勢いでカードを切り始めた。
「面白い配信をしなきゃ、面白い配信をしなきゃ」と何かにせかされているように配信をしているなと何となく感じていた。妹出演配信で妹に「真面目にやってきたのがようやく報われてよかった」と語られていたのを聞いて「あぁ、なるほど」と思ったりもした。
そしてその後、体調不良が続き配信がお休み気味になってしまう。
配信にちょこちょこ愚痴や不安が見え隠れするようになった。あるコラボ配信では自分のあまりのふがいなさにゲーム中に泣き出してしまうようなシーンまであった。あの大浦るかこがめちゃくちゃ動揺していたのが面白かった。
もしかしたら辞めてしまうんじゃないかと思った。理由はわからないけど。
だが、その後湖南みあは急激に持ち直していくことになる。私はその配信を見られていないのだけれど、らんちゃん先輩の飲み雑談にお呼ばれしてから変わったよね、という声が多い。後述するイベントでもとても仲良くしていたそうだ。
元々湖南みあはトークが上手なタイプのライバーだ。よそのライバーのようなアイドル声優のラジオみたいないわゆる「オタクが好きなタイプのトーク」というよりは「女子会でウケる」ようなタイプのトークを展開する。リスナーと距離が近くコメント相手にタメ口でバンバン絡んでいくスタイル。よく笑い、よく呑む。
「あー、あの、あれ」が多い、なかなか言葉が出てこないタイプではあるのだが、出てくる言葉のセンスは独特で「いやその言葉選ぶ!?」みたいな笑いを生む。
同期の月野木ちろるが療養で長期の休止に入ってからは、同じく同期の大浦るかことコンビで活動することが多く、るかこのボケの暴走特急に対してボヤキで対抗する「ボヤキ芸」を身に着けてからはコラボでの存在感がどんどん増していった。
あれ、湖南みあ面白いんじゃないか。
界隈が湖南みあの面白さに気付きだしたタイミングでビッグイベントの発表があった。
あにまーれ3周年イベント「あにまーれにあつまーれ 超獣歌合戦」である。
イベントのレッスン、リハーサルを通じてあにまーれのメンバーの結束が加速度的に固まっていくのを配信を通じてみることができ、無限にニヤニヤしていた。湖南みあの配信もどんどん明るくなり、「最近配信するのが楽しい」という言葉も飛び出すほどだった。あの因幡はねる組長からもお褒めの言葉を賜ったりしていた。
そして三周年記念コラボ後夜祭で、湖南みあは心の内を初めて晒した。活動初期に自信をすっかり失ってしまってみるちーずとして活動したくないと運営に直訴したこと。先輩に運営に、そして「同期」--ではなく「一緒に入った友達」に助けられたこと。涙ぐみながらも語るその姿は非常に、尊かった。
誰かが「あにまーれにようこそ」と言った。
生まれて初めてライブイベントのチケットを購入した。
全体曲のふぁんふぁーれが終わり、チームごとの楽曲披露。
3曲目。
2人の先輩ライバーを引き連れ、センターに立つ湖南みあの姿があった。デビュー4か月の新人が、初期メンバー、最初の追加メンバーを差し置いて堂々のセンター抜擢である。
そしてめちゃくちゃカッコいい歌声を披露した。湖南みあは歌がうまい。配信開始当初はなぜか本気の歌声を披露することを嫌がっていた節があったが、本気で歌う湖南みあやっぱりめちゃくちゃイカしてた。コメントも大興奮だった。
その後、大浦るかこと新人コンビで披露したロキも互いの良さが化学反応を起こしていてめちゃくちゃよかった。バラエティパートではとんでもない回答を晒されながらもいつもの独特の空気感で場に笑いを生んでいた。おもしれー女。
そしてイベントは進み10曲目。
ふたたびセンターには湖南みあの姿があった。今度はチーム全体曲。
楽曲はマクロスΔのワルキューレの「一度だけの恋なら」。歌唱力を求められる楽曲、そのセンターに新人である湖南みあは立った。
完璧なステージだった。デビューからバタバタとあわただしく右に左に迷いながらなんとかここまでやってきた湖南みあがど真ん中に堂々と立って魅せる圧巻のステージ。やべぇ、クソかっけぇ。これはカッコよすぎるんじゃないの!?
「主人公じゃん」
タイムラインにそんな言葉が流れてきた。
確かにその日、湖南みあは主人公だった。
イベントが終わり、先日、湖南みあは同期の大浦るかこに約1か月遅れて収益化配信を行った。収益化配信の予告配信(ややこしいな)で湖南みあは「こんな私が収益化なんかしていいのかなと思ってなかなか踏ん切りがつかなかった」と語っていた。
そんな湖南みあが配信者としてやっていける自信がついたことがとてもうれしかった。そして同期の誰よりも早くメンバーシップを解放した。やるじゃん。配信ではとっておきの声真似とガチの歌を披露した。めちゃくちゃ仕上がってて笑ってしまった。
未だに同期は手ごわい。修羅の国の歴戦の勇士にねるちゃんをして逸材と言わしめる鬼畜眼鏡だ。それでも今の湖南みあなら臆せず対等に渡り合って、追いつくことだって夢じゃないはず。
なぜなら湖南みあは主人公で、その物語はもう走り出したのだから。