【オースブレイカー】「誓い破り」雑感
ウィザーズが「誓い破り」を公式化したらしい。
以前少し遊んだことがあるので感想を書いておく。
結論から言うと私は面白いと思う。面白いけど振り回して遊ぶとすぐ壊れるおもちゃ。そんな感じ。
「誓い破り」
オースブレイカーに酷い訳が付いた。弱小フォーマットは検索性を高めるためにユニークな名前を付けて欲しいものだ。素直にカタカナで「オースブレイカー」で良かったのでは… Elder Dragon Highlanderが公式化した時に権利関係で"Commander"になったのでそういう都合か?
ルールはだいたいこれ。
注意点としてデッキは"誓い破り"と"トレードマークの呪文"無しで58枚である。wikiの906.12については嘘が書いてあるので注意。
とあるので”トレードマークの呪文”は墓地に多かれず、手札に戻る事もできない。”トレードマークの呪文”(ダサいので以下、刻銘呪文)を《差し戻し》すると実質打消しになるのは昔からのテクニック。
ゲーム感
以上の点よりゲーム展開のランダム性が低い。
高速なマナ加速が禁止されているのでEDHにありがちな《太陽の指輪》や《魔力の墓所》でのラッキーマナ加速ができない。構築が雑でもマナ加速を沢山引いてラッキーで勝てるみたいな事が無いので非常にデッキ構築の実力が出るゲームだと感じた。
また、統率者領域に2枚カードが固定されているのは非常に危険で容易にコンボを可能にする。(共闘の悪口も言っています)
真剣に組むとキルターンは2~4ターン。早いデッキは3ターンキルが確定している。もちろん早いデッキは序盤の妨害が刺さるので早い=正義ではない。カジュアルフォーマットなのでゲームの速度感はプレイグループで相談して調整して欲しい。
統率者戦であるような長くて壮大なゲーム展開は期待しない方が良い。公式にはプレイ時間60分とあるが、1回15分で終わるおやつフォーマットである。すぐ死んですぐ次を始める、テンポの良いフォーマットだ。
クリーチャーでマウントを取られるとPWが生き残らないので統率者や刻銘呪文など無かったことになる。全除去かPWに頼らないコンボを用意しておく必要がある。
禁止リストと解禁について
オースブレイカーでは独自の禁止改定が行われる。
詳細はホームページにて
EDHと比べて独自の禁止はこちら
EDHと比べて独自の禁止解除はこちら
RCと同じようにカジュアル集団が管理しているのでゲームバランスに期待するのはお門違い。《マナ噴出》が禁止されて《クルフィックスの預言者》が解禁されているのを見れば一目瞭然である。
もじ「僕の考えた最強のカード」があるなら自粛してください。
話題になりがちな組み合わせ
《神秘を操る者、ジェイス》+《パラダイム・シフト》
スタンダードな4キル。《満潮》の禁止で4ターン目に同時に出すのが難しくなった。もっと早いデッキが沢山あるのでカウンターを含む分正義のヒーローである。
《覆いを割く者、ナーセット》+《Timetwister》
話題になりがちだが、同じ6マナのコンボなので上を使おう。相手の手札を枯らしても統率者領域にカードが2枚あるので勝ちが確定しない。
《世界を揺るがす者、ニッサ》+《起源の波》
スタンダードな4キル。個人的には《起源の波》より《早摘み》の方が3ターンキル率が高まるので強いと思う。
《オニキス教授》+《煙霧の連鎖》
《暗黒の儀式》の禁止でかなり出るのが遅くなった。8マナ出して手札を失いながらリリアナ?への除去を除けてコンボするのは大変なので決まれば拍手。
《龍神、ニコル・ボーラス》+《古呪》
《古呪》でPWを2体倒せば即勝利のぼくのかんがえたさいきょうのこんぼ。相手2人が統率者領域に《古呪》が見えているのに無警戒にPWを出してくれるのであれば良い組み合わせ。刻銘呪文に《古呪》を指定すると手札に無いのがバレるのが致命的。
まずはジェイスやニッサを仮想敵にしてデッキを仕上げるのが良い。
ここにいる統率者は噂と違って「まずまずな強さ」だ。(ジェイス君は強統率者になる才能がある) もっと凶悪な組み合わせは多数存在する。「○○強すぎ!」みたいなのは、他も強すぎるのがたくさんあるので安心してほしい。私が思いつく限りでは90%くらいの確率で2ターンキルが可能なデッキが組めた(《精神壊しの罠》で昇天するが)。それよりも強い組み合わせができたなら、おめでとう君が最強だ。
《古呪》について
オースブレイカーの話題になるとすぐ《古呪》を禁止しろという話になりがちだが、残念ながら浅慮と言わざるを得ない。いざオースブレイカーをやってみると「古呪が無いとゲームになりません、ありがとう古呪。インスタントになりませんか?」みたいな気持ちになる。
刻銘呪文にするのは論外である。除去が必要な場面は相手よりも自分が展開が遅れている場面である。刻銘呪文の《古呪》を打つのは難しい。必然的にデッキの中に入れる事になり、《古呪》を刻銘呪文にする選択肢が消えることを理解する事から始めよう。刻銘呪文から《古呪》を打てる場面では自分のPWがすでに出ており、除去よりも勝ちに繋がる刻銘呪文を唱えた方が良い。
どうせ打っても《激情の後見》《偏向はたき》《夏の帳》《(適当な白いカード、思いつかない)》で止まるのがオチである。《激情の後見》《偏向はたき》《徴用》《意志の力》《否定の力》が禁止になったら《古呪》を禁止してもいいかもね。
ちなみに最近《シェオルドレッドの勅令》というカードが出た。こちらはインスタントなので相当強い。
構築論
《魔力の墓所》や《太陽の指輪》のようなイージーなマナ加速がないので低マナ域での動きを安定させた構築が強く、非常に構築のし甲斐があるフォーマットである。
統率者戦は明らかにバランスブレイカーなマナ加速が許可されており、それがランダム性を引き起こすので運で構築力の差を覆すチャンスがある。しかしオースブレイカーにはそれが無い。
デッキが58枚と再現性が確保しやすく、1~3ターン目までにどのような動きをするのかきっちり考えた上で構築を練る必要がある。
色について
白
悲しい事に強い色ではないが優秀なカードはある。《金輪際》系統のカードでPWが出ないようにすると刻銘呪文も唱えられないので一石二鳥である。
《障害の幻霊》《エスパーの歩哨》《マナの税収》《ドラニスの判事》など
青
ピッチカウンターがPW相手に非常に強力である。
《意志の力》《否定の力》だけでなく、《激情の後見》や《徴用》がPW相手に刺さる。刻銘呪文で全員がインスタント・ソーサリーを打つので《ナーセットの逆転》も極めて強力だ。
《魔力の墓所》《太陽の指輪》がないので相手が《リスティックの研究》《神秘的負荷》のマナを払うのが難しく、どんどん引ける。
儀式が無いのでマナ加速に難があり、ピッチカウンターや《呪文貫き》等で相手のテンポを奪うのが重要である。
黒
対PW除去が豊富であり、儀式もある。
「サーチが強い」と言われがちだがどの色でも探したいカードを刻銘呪文に置けるので実は利点があまり生きない。マナがカツカツ過ぎて《悪魔の教示者》すら重く感じる。
《弱者選別》《シェオルドレッドの勅令》《再活性》《吸血鬼の呪詛術士》など
赤
マナ加速に富んでおり、様々な儀式からPWを出すスピード勝負が得意である。
全員ライフが20スタートなので統率者戦では現実的でなかった焼き切る展開も可能になる。また、速攻クリーチャーや火力が多いので相手のPWを落としやすい。一時的なパーマネント奪取もあるので相手のPWの奥義を使えたりする。
《ジェスカの意志》《煮えたぎる歌》《偏向はたき》など
緑
繰り返し使えるマナ加速が少ない世界でマナクリが使えるアドバンテージは大きい。デッキ枚数58枚に1マナのエルフが大量に積めるので序盤の動きが極めて安定している。統率者がPWである事から全除去が飛びにくいゲームなのでエルフの村が滅びにくい。クリーチャーのサイズが大きいのでマウントを取れば対PWが高い。
ナイスなカード
思いついたナイスなカード達を紹介。
《神髄の針》《不滅の太陽》等
PWの起動効果を止めるカードが無色に多数存在する。
《狩り立てられた恐怖》
狩り立てられた恐怖をご存じか?
共闘して強い相手を素早く倒せる下剋上カード。盤面でPWが息できなくなる。13点クロックなのでプレイヤー1人が2ターンで退場する。
1v1になって残ったトークンは《毒の濁流》で始末すれば良い。
《血の盗人》
全PW強制退場で大きな肉が残る。
《キランの真意号》
どの色でも使えてPWに対する攻防性能が高い。
《かき鳴らし鳥》《奉謝の亡霊》
繰り返す増殖。なんと《奉謝の亡霊》はPWにダメージを与えても誘発する。
《睡蓮の花》
マナ加速が遅い世界において破格の性能。
《火炎の襲撃》
PW否定カード。こういうのもあるので統率者抜きで勝てる構築が必要。
《芽ぐみ》
土地6枚とこれでキープできる。簡単。
サンプルデッキリスト
まとめ
"誓い破り"は真剣に組むと情報が少ない事もあって露骨な実力差が出る非常に難しいフォーマットだ。最強のデッキを求めて力いっぱい振り回してしまうとすぐに壊れてしまう。
でもそんな事は気にせず、フレーバーにあふれたデッキで卓を囲んで遊べば良いと思う。
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