ブラックパンサー党:10項目の要求
10項目の要求(Ten-Point Program)は1966年にブラックパンサー党が発表した、政党としての要求や活動方針を列記した文書です。党の創始者であるヒューイ・ニュートンとボビー・シールによって書かれ、マルクス主義と黒人ナショナリズムの影響が強く見られますが、アメリカの権利章典と独立宣言も引用され、公民権運動に批判的でありながら、その思想をある程度継続した団体であったことがうかがわれます。
1. 我々は自由を求める。我々黒人コミュニティーの運命を決める権力を求める。
我々は、黒人社会が自らの運命を決められるまで自由になることはできないと考える。
2. 我々は黒人の完全雇用を求める。
我々は、全ての人間に雇用と所得を補償することがアメリカ連邦政府の責任であると考える。もし白人のビジネスマンが雇用を許さないのなら、彼らの生者手段を没収し、コミュニティーがそれを活用してすべての住民を雇用し、高度の生活水準が実現できるようにすべきだと考える。
3. 我々は資本家による黒人コミュニティーからの略奪の終了を求める。
我々は、このレイシスト政府に略奪されたことの損害賠償として、40エーカーの土地と2匹のラバを要求する。40エーカーの土地と2匹のラバは、100年前に我々に約束された奴隷労働と黒人大量虐殺への損害賠償である。現金での支払いも受け付け、集められた資金は我々の多くのコミュニティーへと配ることとする。ドイツ人は、イスラエルのユダヤ人へ、ユダヤ人大量虐殺の損害賠償として援助している。ドイツ人は600万人のユダヤ人を虐殺した。それに比べ、アメリカ人のレイシストは5000万人以上の黒人の惨殺に関わったことを考えると、これはいたって控え目な要求である。
4. 我々は人間が住むにふさわしいまともな住宅を要求する。
我々は、もし白人の地主達が黒人コミュニティーにまともな住宅を与えないのなら、住宅と土地は我々のコミュニティーが、政府の援助と共に、まともな住宅を作り建てることができるように共有化されるべきだと考える。
5. 我々は、我が黒人の人民の教育において、腐敗したアメリカ社会の真の姿があらわにされることを要求する。我々は、我々の本当の歴史と、我々の現代社会における真の役目を学べる教育を求める。
我々は、我が黒人の人民が、人としての自我の意識を高めることができる教育システムを信じている。もし人が、自分のことや社会における自分の居場所が解からなければ、自分以外のものと何も関係づけることができない。
6. 我々はすべての黒人男性の兵役免除を要求する。
我々は、我々黒人をまもらないレイシスト政府のために強制的に軍役と務めさせられるべきではないと考える。我々は、黒人のように、白人レイシストのアメリカ政府に虐げられている世界中の有色人種の人民と戦い、殺すことを拒否する。我々は、レイシストな警察と軍隊による武力と暴力から、どのような手段を使ってでも自己防衛する。
7. 我々は警察による暴力と黒人の殺害の即終了を要求する。
我々は、レイシストな警察による抑制と暴力から黒人コミュニティーをまもることに尽くした黒人自己防衛隊を組織することで、我々のコミュニティーにおける警察の暴力に終止符を打つことができると信じている。アメリカ合衆国憲法修正案第2条は銃を持つ権利を容認している。だから我々はすべての黒人の人民が自己防衛のために銃を持つべきだと考える。
8. 我々は連邦、州、郡、そして市の監獄や刑務所に収容されいているすべての黒人の自由を要求する。
我々は、公平で偏見のない裁判を受けることができないことを理由に、多くの監獄や刑務所に投獄されている黒人の人民すべての解放を要求する。
9. 我々は、裁判を受けるすべての黒人が、アメリカ合衆国憲法に規定のとおり、自らのコミュニティー出身の陪審員によってのみ裁かれることを要求する。
我々は、黒人の人民が公平な裁判を受けられるように裁判所がアメリカ合衆国憲法に従うべきだと考える。アメリカ合衆国憲法第4修正案は、人間は自ら同じピアグループによって裁かれることと規定している。ピアとは同じような経済的、社会的、宗教的、地域的、環境的、歴史的、そして人種的な立場に立つ人のことである。これを行うには、裁判所に黒人被告の出身地である黒人コミュニティーから陪審員の選出することを強制しなければならない。我々は今まで、そして今でも、黒人コミュニティについての「平凡な知識」を持たない全員白人の陪審員によって裁かれている。
10. 我々は土地、食物、住宅、教育、衣服、そして正義と平和を要求する。
人類の歴史において、ある民族が、他の民族とを結び付けてきた政治的なきずなを断ち切り、世界の諸国家の間で、自然の法と自然神の法によって与えられる独立平等の地位を占めることが必要となったとき、 全世界の人々の意見を真摯に尊重するならば、その人々は自分たちが分離せざるを得なくなった理由について公に明言すべきであろう。
我々は、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているということ。こうした権利を確保するために、人々の間に政府が樹立され、政府は統治される者の合意に基づいて正当な権力を得る。そして、いかなる形態の政府であれ、政府がこれらの目的に反するようになったときには、人民には政府を改造または廃止し、新たな政府を樹立し、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる原理をその基盤とし、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる形の権力を組織する権利を有するということ、である。もちろん、長年にわたり樹立されている政府を軽々し い一時的な理由で改造すべきではないことは思慮分別が示す通りである。従って、あらゆる経験が示すように、人類は、慣れ親しんでいる形態を廃止することによって自らの状況を正すよりも、弊害が耐えられ るものである限りは、耐えようとする傾向がある。しかし、権力の乱用と権利の侵害が、常に同じ目標に 向けて長期にわたって続き、人民を絶対的な専制の下に置こうとする意図が明らかであるときには、そのような政府を捨て去り、自らの将来の安全のために新たな保障の組織を作ることが、人民の権利であり義務である
”1人への攻撃は我々全員への攻撃である!我々は黒人の虐殺を止めねばならない!どのような手段を使ってでも!”
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