DMN施術手技 評価の実際
DMNがどんな理論的背景をもって、どのような経緯で体系化されてきたのかは、こちらの記事でお届けしました。
その中で、
「あるべき場所にあるべき形で骨が収まる。静的にも動的にもこの問題が解決することで、違和感なく動くことが可能になり、痛みや不調から開放されていきます。」
と述べました。今回の記事では、あるべき場所にあるべき形で骨が収まる、という部分をどのように観ていくのか、について書いていこうと思います。
そもそも、人の骨に限らず、動物の体を構成するパーツは、寸分たがわぬ建築物としてみることが可能です。個別のパーツ(心臓や肺・脳や内臓、神経の枝や血管すらも)は個体の大きさに合わせて収められるべき所に収められ、あたかもオーダメードスーツのようにフィットしてその場におさまっています。
骨と骨の関係も同じで、あらゆる関節の適合面は、お互いの骨の形状に合致した形で構成され、必ず噛み合うポジションを持っています。
この骨が収まりのいい位置に並ぶようにすると、人の体は究極、関節構成体の軟部組織があれば筋の収縮がなくてもある程度自立する状態になっている(はず)。
パワーリフティングの世界では、300kgを超えるバーベルを持ち上げるため、まずは「骨受け」と呼ばれる、「骨の上に骨を乗せて立つ感覚」を養うのが大切なのだとか。
パフォーマンスの観点からだけでなく、疼痛や関節疾患の観点で考えると、関節や筋肉がなぜ痛みを出してくるのか。痛みは一つのサインに過ぎません。過剰に、もしくはかかるべきではない方向にストレスが掛かっていることを組織が教えてくれている。ヒトの組織はすべて、正しくかかるストレスにはかなりの耐性をもって作られている。しかし、「関節があるべき位置にない」「ねじれや圧迫のストレスが掛かりすぎている」などの問題があるとすぐに破綻してしまうため、関節を取り巻く軟部組織は感覚器を介して脳に信号を送ってくるわけです。つまり、痛みの治療の一歩目は、そのサインの原因を取り除くことだと考えるわけです。
だからDMNではまず、骨があるべき位置に収まっているかどうかを確認する。どんな細かい関節でも、この配列からの逸脱は許容されません。
ここで、立位・歩行という運動を捉えてみましょう。それによって下肢の骨列評価が可能になります。立位においては、上半身の重量が両側の大腿骨を介して脛骨に伝わり、距腿関節から距骨下関節で母趾側と小趾側に分散されます。
ですので、距腿関節を中間位にしたとき、前足部(母趾側・小趾側均等に)に背屈方向へまっすぐかけた力は、下腿・大腿部を屈曲方向(前傾方向)へ運ぶ力となります。
このようにして生じた挙上においては、足関節が背屈し、膝は伸展、股関節は屈曲しています。この時、距腿関節の背屈はホゾの中で完全に安定しているか、膝関節の伸展は完全伸展が得られているか、股関節の求心性は保たれているかという部分を見ることで、骨の配列が整っているかどうかがわかります。前足部内・外側に均等に力を加えて股関節までその力が伝わらない場合、どこかの関節で骨列はくずれており、その骨列の乱れを引き起こしている軟部組織の緊張を取り除くことで、下肢全体の骨列を整えることができ、関節局所にかかるストレスを減らしていくことができるわけです。
ですからDMNでは、まずこの骨の配列を評価するところから始めます。骨列が乱れる要因は、局所の場合もあれば、他部位(他関節)の場合もあります。これを異常運動の生じる方向と主観的な抵抗感によって評価していくことになります。
骨の配列が崩れている部分が見つかれば、その配列を崩している要因を探し、是正する(筋・筋膜の異常緊張や軟部組織の滑走不良を改善する)ことで関節で生じる痛みや不調は改善する方向へ向かいます。
このような評価方法を、DMNセミナーでは丁寧にお伝えしていきます。まずは骨の並びとじっくり向き合い、乱れている骨列と力の逸脱を確認することで、修正すべき軟部組織の問題を見つけ出すことから始めましょう。
次回の講習日程
2023年4月22・23日(土日)
場所:Re-Vive(東京都国立市中1-18-38 オリーブビル2階)
参加可能人数:6名
お申し込み
参加していただいた方は
・Facebook group非公開グループで症例提示等のフォローアップ
・月1回程度の手技練習会に参加可能(オンラインも可)
などの特典があり、講習受講以降も継続して指導が受けられます。