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野球肘に対するリコンディショニング

この記事では、成人期における野球肘のリコンディショニングについてまとめています。野球肘に代表される投球障害は、疼痛を引き起こしている患部のアライメント不良や機能不全と、患部にストレスが集中してしまう原因が別に存在していることが多いです。そこでこの記事では、患部の機能改善と患部にストレスが集中する原因(患部外)を解決する方法についてまとめます。野球肘のリコンディショニングに関わるセラピストやトレーナーの方の一助になれば幸いです。
(今回は、野球経験者であるRe-Viveスタッフ平山による記事となっています)

今回の記事に関しては以下の2冊の図書を参考にしています。自らの経験とオリジナルのトレーニング体系に加え、これらの図書を参考にさせていただくことで、記事の内容に厚みを出すことができました。非常に多くの有用な情報が詰まっており、ぜひこちらも合わせてご覧いただくことをおすすめします。


これまでに公開してきたその他の疾患に関する段階的リハビリテーションについては下記からご確認ください。

足関節捻挫の段階的リハビリテーション

膝関節外傷後の段階的リハビリテーション

ハムストリングス肉離れ後のリハビリテーション

肩関節術後の段階的リハビリテーション

Groin painの評価・リコンディショニング

腰椎椎間板ヘルニア術後の段階的リハビリテーション

アキレス腱障害のリハビリテーションマネジメント

野球肘のリハビリStage1(可動域制限の改善)

<Introduction>

野球肘は投球動作を繰り返すことで起こる肘障害の総称です。野球肘は内側障害、外側障害、後方障害に大別されます。

その中でも内側障害は、学童期と成人期で考え方が異なる部分があります。学童期の場合は骨や軟骨が未成熟で修復能力も高いので、後遺症を残さないようにするために損傷の程度や部位を詳細に医師に評価してもらう必要があります。そのため、医療機関との連携も必須です。

骨端線が閉鎖した中高生以上の内側障害では、肘内側の尺側側副靱帯(UCL:Ulnar Collateral Ligament)損傷が主な病態です。

そこで今回のnoteでは、成人期のUCL損傷を想定したケアやトレーニングを紹介していきます。

Stage1~3の3段階で構成しています。
Stage1では肘の完全伸展や完全屈曲でも痛みが出る時期です。ここでは肘関節の運動時痛を消失させるためのリコンディショニングと、患部外のトレーニングを紹介します。

Stege2は、患部を正しいアライメントに保つことで肘屈曲・伸展最終域での痛みがなくなったところからスタートです。四つ這いなど、上肢に荷重をかけられるようになります。患部は正しいアライメントを維持しつつ、さらに動的な安定性を向上させます。患部外トレーニングではバランス機能や股関節機能など、投球動作の基礎となる身体機能を向上させていきます。

Stage3は投球開始の前段階です。全身の協調性を高めていくためのトレーニングを中心に行い、肘の外反ストレスを増加させてしまった原因を解決していく時期となります。

まずはStage1から解説していきます。


<Stage1>

Stage1は肘に炎症がある、もしくは肘の曲げ伸ばしの際に痛みがある時期です。腫れがある場合は無理に患部の運動は行わず、アライメント修正を中心に実施します。

ここでは、上腕と前腕の位置関係のずれ(肘の外反アライメント)を修正します。

この時期は四つ這いなど上肢に体重をかける運動は避けましょう。肘のアライメント修正と並行し、肩甲骨や脊柱、股関節のmobilityを高める患部外の運動を行っていきます。

患部の痛みがないことを確認しながら丁寧に進めていきましょう。


<腕橈骨筋リリース>

Stage1のリコンディショニングで最も大切なことは、肘関節の外反アライメントを修正することです。肘関節の外反アライメントは、前腕外側にある腕橈骨筋の滑走不全によって引き起こされている場合が多いです。

腕橈骨筋は、前腕回内外中間位で肘関節を屈曲することで筋腹が確認できます。筋腹を同定したらそれを把持し、前腕の回内、回外を反復します。

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前腕の運動に伴って腕橈骨筋が橈骨周辺から分離するようにリリースしていきます。把持する部位を徐々に近位へ移動させ、腕橈骨筋が上腕筋間中隔に入り込む部分まで行います。

続いて筋腹を把持したまま肘関節の屈曲・伸展を反復します。

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肘関節伸展時痛が生じる場合は、疼痛の生じない範囲から開始します。
このようにして腕橈骨筋のリリースを行います。


<円回内筋リリース>

円回内筋は、上腕骨内側上顆から起始し、橈骨外側へ停止します。
肘関節が外反すると円回内筋は伸張位となり、緊張した状態になります。
さらに停止部は腕橈骨筋と隣接するため、両筋間の滑走不良も肘外反アライメントを増大させる要因となります。


リリースの方法としては、筋腹に沿って指尖を挿入し、前腕の回内回外運動を反復します。

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指尖の挿入部位を徐々に遠位へ移動させて腕橈骨筋と円回内筋の隣接部までリリースすることで、円回内筋が過剰に橈側へ牽引される状態を改善します。


<肘筋リリース>

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