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ルパン三世 「殺し屋はブルースを歌う」Ⅳ 不二子のその後~2ndのED
これは、私の勝手な想像なのだけど、2ndのEDで「これはもしやプーンとのことでは?」と思ったEDがある。
52話から103話の間に流れた、Cタイプと呼ばれるものである。
2ndのEDは不二子がテーマになっていて、女性=海というのもあって、海辺のシーンで統一されている。
コメディエンヌな本編の不二子と違って、1stの荒野をバイクで走る不二子のシーンを継承し、夕陽が照らす海辺をオープンカーで颯爽と走る哀愁漂う不二子が登場する。
これはAとBのバージョンで、色違いの同じ絵を使い回している。
Cのバージョンも海辺なのだけども、AとBよりも物語があるように作られていて、同じ絵を使いまわしたAやB、不二子が直接出て来ないDのバージョンよりも多くのシーンが作られ、物語性のある凝ったものになっている。
海辺に残された足跡から始まるイントロ。
上空からのショットはとても絵画的で印象に残る
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一枚絵のイラストをカメラワーク(カメラが上へ移動)で、波打ち際を北に向かって歩いている、進んでいるように見せている。
一枚絵を使ったこのカメラワークは、この後も効果的に使われている。
青い海辺に浮かび上がる黄色いトレンチコートの不二子。
黄色いトレンチコートは、アメコミの『ディック・トレイシー』の影響かな?60年代のハードボイルド漫画。
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崖下まで歩き続けた不二子。
海は大きく荒れていて、高波の波しぶきが崖を打つ。
まるで不二子がプーンらに追われて、追い詰められたあの時のように。
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崖の上に立つ不二子。
ここに来るのが目的だったのではと思う。
それは、ここがかつてプーンと自分が別れた場所だからではないか?
二人の仲を引き裂いた場所だからでは?
二人の想い出の最後の場所だからでは?
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眩しい灯台の灯りを避けるように目を瞑る不二子。
それとも何かを思い出しているのか。
そして強い波しぶきが崖を打った時
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何かに気づいたかのように、カっと目を見開く。
その瞬間、不二子の大きなツバのある帽子が、風に吹かれて飛んで行ってしまう。
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風にさらわれ、海の波間に消えゆく不二子の帽子。
自分の一部を失ったかのようなシーンは、プーンを象徴しているのだろうか。
プーンへのはなむけだろうか。
それとも、かつて崖の上から海に飛び込んだ不二子自身の過去のことだろうか。
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風に吹かれる髪をトレンチの高い襟に隠し、崖の上を去る不二子。
ちょっとした仕草もしなやかに描かれる、2ndの色っぽいキャラデザ。
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誰も居なくなった崖。
不二子が訪れ、帽子を飛ばされ、そして去るだけの物語なのに、物悲しく、どこか思いつめたような不二子が居る。
本編の不二子と雰囲気も表情もまるで違う。
波しぶきや崖のシーンを繰り返し丁寧に映し、まるでそこに何かの想いが残るような、言いたげなカメラワーク。
ルパンとの関係でここまで思いつめるのは、考え難い。
不二子に何かしらの想いや過去があって、それを思い出すためにやって来ているように見える。
かつての自分とプーンへ、不二子なりの供養かもしれない。
ちなみに「殺し屋はブルースを歌う」のラストも、不二子は海辺(港)でプーンのことを思い出すシーンで終わっている。
不二子がプーンのことを思い出す時、不二子が海辺に行くのは、二人の別れが海だったからかもしれない。
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1stを観たことなかった当時、なぜ2ndのこのEDだけ暗いのだろうと思ったものだ。なぜこのEDだけ作りこまれて、不二子が悲しそうに見えるのか不思議に思った。
スタッフがどんなつもりで作ったのか、狙ったのかわからないけれど、プーンの話を知っていたら思い当たる作りになっている。
不二子にプーンが居たという過去は、この意味深なED以外は、その後二度と出てくることはない。だから2ndから入った世代は、このEDの意味がわからない。
40年後、作者によって特典という形で密かに再登場したけれども、プーンとの過去は、1stから数年後に始まった2ndの放送時期には、スタッフや視聴者の脳裏にはそれなりに残っていたのかなと思う。
それは、前作の1stの記憶がクリエイターにもファンにも強く残っていて、2ndの人気が出れば出る程、原点である1stもいっそう存在感を増したのかもしれない。