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ルパン三世 「殺し屋はブルースを歌う」Ⅱ

プーンとルパン、そして不二子の三角関係
二人の男に挟まれた女の苦しみは
プーンと再会してすぐ傷を負った
負傷した体の痛みという形で表現されている

不二子がうなされていたのは
ぶり返した過去の心の傷でもあり、現在の体の傷のためでもあり

組織に追われプーンに肩を撃たれて崖下へ落ちた過去
なのにプーンと再会した途端にまた体を撃たれた

恋人同士だった二人の甘い記憶と共に甦る過去の痛み
それは再会によってまた引き起こされた

不二子にとってプーンは愛の喜びだけでなく
自分を追い詰め、重く辛い痛みをもたらす相手


そう、プーンはそのつもりはなかったとはいえ
二度も不二子を殺そうとしていた

自分を逃がしたとはいえ、愛した男は組織の側に付き
自分に銃を向けた
不二子は負傷し海の底に落ちた

そして今度は瀕死の不二子を奪い離さない


だから不二子はルパンを選んだ
自分を殺そうとする男ではなく生かそうとする男を
自分を救うためなら命を捧げてくれる男を、ルパンを
それはプーンが出来なかったこと

ルパンに抱きかかえられ朧げな意識の中で
不二子は異変に気付いたはず
ルパンがプーンを倒さずに背中を向けている意味に
その愛に


不二子はプーンに裏切られた過去を持つ
だからルパンと出会ってからも、どんなにルパンに愛されても
ルパンを信用しない
男を信用しない
どんなに愛しても男は組織、仲間の方に付く
不二子と次元、どちらを取るか
ルパンは次元を取るだろう
男とはそういうもの

だからルパンの不二子への愛を示すために
プーンとの物語が必要だった
遊びではなく、本気で愛していると
それは不二子の過去の男へのトラウマ
ある種の男性不信を癒すという形で示された


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1stのこのルパンはめちゃくちゃカッコいい・・・まるで俳優のよう
モンキー顔だからといってやたら貧相な顔にされるけど、ルパンには顎が必要(笑)。体格も見事


過去を葬り去った不二子は回復し
ディスコで激しく踊り狂う
まるで怪我などなかったかのように 
すべてを忘れるために

でも心にはまた傷を負ってしまった
自分を愛し追いかけて来た男を殺したことに


その不二子が抱えていた傷を、罪を
「今は燃えているか」でルパンが肩代わりしようと過去を変えた途端
今度は不二子に撃たれルパンが負傷してしまう

ルパンが受けた体の傷はある意味
不二子がずっと心に負っていた傷でもある



「殺し屋はブルースを歌う」は不二子の再生の物語

過去の男によって開いた傷口を
別の男の大きな愛によって癒され、生まれ変わった女の物語
プーンの物語は不二子がずっと抱えていたトラウマでもある


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女優のように美しい不二子
1stの不二子はどのシリーズの不二子よりも情が深く、しっとりとした女らしさがある。


「こうやってると、ずっと昔から恋人同士だった気がするぜ
今まで何度も裏切られたのが嘘のような気がする」


ルパンと愛を確かめ合った時にプーンが現れたのは偶然じゃない
ルパンの愛によって不二子の過去の傷が癒されて行く

それはルパンの愛が不二子の心の奥まで届こうとしていたから
だから心の奥底に秘めた傷が、プーンとの再会の物語として現れた


「あたしもよルパン。なんだか本当にあなたのことが好きになったみたい。変ね」


過去を癒し再出発する
二人の愛のスタートの物語



「キザなこと言っちゃって」

不二子を盗られ手も足も出ない
膠着状態の中でニヒルに笑うルパン

事件の前のドライブ
あの甘いひとときから一転
不二子を失うかもしれないというルパンの恐怖

プーンの想いに胸を引き裂かれながら
刻一刻と消えかかっている不二子の命


それは日暮れと共に五ェ門の吹く
悲しい笛の音色で表現されている

用済みだと去りながら帰ることも出来ず
ひっそりと笛を奏でる侍の想い

それは死の淵を彷徨う女を偲んでか
女を巡る哀れな男たちへの情けなのか


見事な演出だと思う





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