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ルパン三世 「ルパンは今も燃えているか」Ⅰ

ここで過去改変のストーリーでルパンが積極的に過去を変える行動をしたのは、不二子の時だけだと気づく。

次元の時は歴史が変わる意味がわからず、介入が間に合わなかった。五右衛門の時は信じてもらえずなす術がなかった。そして最後不二子の山荘のシーンで、ルパンは初めて自ら歴史を変える行動を起こしている。

これは、ルパンが不二子に恋人を殺させたことを、ずっと後悔していたとも言える

だからひょんなことから過去に戻った時
過去とは違う行動を起こした

歴史が変わるかもしれないのに
それでもルパンは不二子のために過去を変えた


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プーンをルパンに撃たれ、逆上してルパンを撃ち、プーンに泣き縋る不二子

ルパンの視点からだけども、不二子もプーンの姿も一番よく見えるアングル
女の体の柔らかさがよく出ていて素晴らしい作画だなと思う


ルパンは不二子を思って撃ったのに
そんなこと不二子にわかるわけないよね・・・

 
一度過去を経験してその後の不二子の苦しみを知っているルパンと
パラレルワールドの未来なんてまったく知らない不二子

もし自分がルパンを守るためにプーンを殺していたら
なんて考える余地もない


オリジナルでは不二子がプーンを撃ちルパンを守った
ルパンを選んだように見えるけども
この回では不二子の愛はまだプーンにあったことになる


つまり、女の愛、不二子の愛は男を守る方へ向けられる
ルパンが捨て身になればルパンを守るし
プーンが撃たれればプーンのためにルパンを撃つ

ただそれだけの違い
不二子はプーンもルパンも選びきれない程
自分を愛した男たちを愛している


打算ずくめで生きているはずの不二子が
強い男にしかなびかない不二子が
とっさに弱い男の方へと動いている
男を守ろうとする

そのために銃を取る
それが不二子の母性、愛だよねと思う

理屈じゃない
どこまでも女の性のまま生きる不二子


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ルパンが過去改変のドライブから目を覚まし現在に戻って来た時、歴史が変わったと認識するその印が、不二子に撃たれた左肩の銃槍というのが生々しい。寂しそうに笑うルパンが切ない


女を守るために出来た傷は男の勲章のようなもの
たとえそれが女に撃たれたものだとしても


ルパンならそんなことを言いそう(笑)


不二子はルパンを撃ち、この世界線のルパンにはその傷も体に残っている。なのに不二子はルパンのことを覚えていない。次元や五右衛門のエピソードは出会う前の話だけども、不二子とは出会ってからの話だから覚えていないのはおかしいのよね。

でもそういう話の辻褄よりもシチュエーションの面白さを優先して話を作る、表現したいものを表現するのはいかにも先生らしいなと思う。

辻褄は合わなくてもプーンの話にまつわるパラレルワールドはとてもドラマチックで考えさせるものがある。


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パンチ先生の描くルパンと不二子はドロドロとした因縁を持つのに、設定だけに留めておいてそこを描くことはない。でもその設定から生み出される物語は熟成したワインのような芳香を漂わせ、考察すればするほどこちらを酔わせるのだ。

それはルパンと不二子の関係だけでなく、五右衛門や次元、他のキャラも同じかもしれない。


実験的な作風だったのでスートーリー漫画家というイメージはないけども、プーンの物語に関するこの前後編みたいな話は、パンチ先生のストーリーテラーとしての才能を感じさせる。もしかしたらラブストーリーの名手でもあったかもしれない。

「DEAD OR ALIVE」でもヒロインの恋人に化ける役をルパンにやらせている。ありえない恋人との再会やそれが嘘だとわかった時の気持ちの移り変わりなど、ルパンとの疑似恋愛で揺れる女心を違和感なく描いていた。

カリオストロ系のヒロインとは違ってルパンとの関わりが自然だったのも、ヒロインが「少女」ではなくちゃんと「女」として描かれていたからかもしれない。


「今も燃えているか」は2018年のパート5のDVD用のOVAなので、先生が亡くなる直前に発表されている。体調が思わしくない中どこまで関わったのかわからないけど、珍しく「原作・総監督」としてクレジットされている。

先生が最後にルパンと不二子の愛の物語をリメイクしたのは、男女の愛、ふたりの愛のテーマを密かに終生持ち続けていたのかなと思う。

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