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Parker のジャック

先日入手したParker FLY deluxe。
例にもれずフルオリジナルではなく、コントロール部に多少改造が施されていた。この記事は、旧型FLY特有の「出力ジャック構造」について纏める。

・FLYには通常のPUとピエゾPUが装備されていて、ステレオ出力が可能。6.3mmステレオ→6.3mmモノ×2のY字ケーブルにより信号を分配できる。
ここまでは問題ない。
問題なのは「ピエゾにはアクティブ回路が繋がれている。バッテリーが必要。ではバッテリーのオンオフはどう処理するのか?」
という点だ。


汎用のビルトインジャック

内側の端子2つは通常PUとピエゾに必要。
大きな端子はアースに必要。これは不可欠。

6.3mmステレオプラグの先端
端子3つのビルトインジャックはこうなる。
アクティブ回路のギターの場合、こういった配線を
取り入れている場合がほとんど。プラグを差せばアースと電池のマイナスが導通する。

「ジャックを差し込むと同時に電源がオンになる」という配線が、汎用ビルトインジャックでは物理的に不可能なのだ。

ではParkerはどうやっているのか?
海外のリペア事例も織り交ぜて紹介する。

●大量生産でこれをやる狂気

中央部分右、リボンケーブルが繋がれている所がジャック。
しかし変な所に端子がある。
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何と初期Parkerは、汎用の「3端子ストラップピンジャック」を自社加工し、
側面に四角い穴を空け、マイクロスイッチを増設。
「プラグを差し込むとオンになる」構造を力技で追加している。

マイクロスイッチの例(OMRON製D2F)

この無茶な加工により端子の数的に不可能だった、
「ジャック抜き差しでの」バッテリーオンオフが可能になっているのだ。

自分の入手した個体はそのマイクロスイッチが故障したのか、
電池のオンオフ用ミニスイッチが増設されていた。
マイクロスイッチも取り外されていた。

という事で、あえて本来の構造に戻すリペアをしようと思う。

●FLY初期ジャックのリペア


まずマイクロスイッチを調達。秋葉原の秋月で130円くらい。
OMRON D2F-01F。
スイッチの白い部分が押し込まれる事で、3つある端子の2つがオンになる。
プラグにスイッチが引っ掛かりすぎない位置を大体決めておく。


ストラップピンジャック自体も若干短く加工されており、独自のロゼットワッシャーパーツを
ボディ側面から回しはめる事でジャックを固定している。


スイッチがハマる場所を正確に削り直す。
スイッチの位置を決めたら、フットスイッチ用緩衝材ワッシャーとナットで
軽く挟み、仮固定する。


次に、最も固定面に近い箇所に紫外線速硬化型の樹脂を塗布、
UVライトで硬化させ、隙間を充填。
樹脂が完全に硬化したら、スイッチ周囲をグルーガンで補強する。


グルーも硬化したら取り付け。バッテリーからのマイナス配線と、
ジャックのアースからの配線をマイクロスイッチにハンダ付け。
これで無事、オンオフが機能した。

ちなみに現在では4端子のジャックが存在しており、こんな面倒な事をせずとも大丈夫な時代にはなっている。

4端子ストラップピンジャック
出力(L)、出力(R)、プラグアース(G)、筐体アース(G)を備えている。